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東京府中の味スタさモンティディオが来た日、おらいの仲間は野川公園でテニスしてだんだ。
11時から1時までテニスして、終ってすんぐがらがら自転車こいで行って、2時半からサポーター席で応援したんだっす。
もう90分ずっと、うさぎのだんす。テニスよりもなんぼつかれだが。ほして、1−0で負けでしまったすな。

ああ、あの頃は、暫定だげんとも3位だっけ。会社でも意気揚々話題にしったもんだけげんと、このごろおらも元気でねんだ。
長谷川、しみけん、まだがんばってけろなー。
『ねむれよいこよ』という記事で、ダックスフンドのももこは奥方と、ヨーキーのななこはわたしと一緒に寝ている、と書いたことがあったが、近頃すこし様子が違う。

夜、もう寝ようということになって、寝室のある2階にワン娘たちを連れて行くと、ももこもななこも、一旦はサッサと奥方のベッドに行ってしまう。
わたしが自分の部屋で、寝に着く前のメールチェックをして、寝ながら読む本を決め、部屋の明かりを枕もとのスタンドに変えると、それを待ち構えていてトコトコやって来るのは、ももこなのである。昨年、夏の頃はこうではなくて、ヨーキーのななこがわたしの腕に絡まって寝ていたが、秋が過ぎて冬になって、気がついてみると、何故かななことももこが入れ替わっていた。

ももこもとても寝つきが良くて、わたしの右腕を枕にすると、フンーとため息をついたすぐ後から、寝息をたて始める。
ワン娘のリズミカルな寝息という、特製睡眠薬の効き目はすばやくて、寄り添って寝ていて、わたしは長く目覚めていられたことがない。本などいくらも読まないうちに、枕もとのスタンドのスイッチを切って、わたしも眠りの中に沈没する。

一晩明けて朝、わたしを起こしに来るのはななこである。朝の5時半から6時くらいになると、ななこはオシッコをしたくなって、トイレシートを設置している部屋で用を済ませてから、はしゃいだ足取りでやって来る。わたしの口元や額や喉を舐めたり、やや過剰な朝の挨拶をする。わかったわかった、もう少し一緒にねんねしよう、と掛け布団を開けてやると、そこにももこはいなくて、ななこがスルリと潜り込んで、すぐわたしの脇で朝寝の体勢になる。

今では、夜、寝入りの時のももこと、朝、目覚めの時のななこの、二匹の入れ替わりにも慣れてしまったが、寝たときには脇にももこがいた筈なのに、何時奥方とななこの方に行ってしまったのだろう。どういうワン娘の習性と気持ちでそうしてるのだろう、と、朝方不思議に思ったことがあったのは、やはりこの冬の初めの頃のことだった。

或るときわたしは、ミニチュアダックスフンドのももこが、1階のガラス戸の内から、暮れなずんできた我が家の庭にじっと注意をそそいで、頼まれもしない番犬の役割を、自分なりに、生真面目な面持ちでやっているのを見て、ちょっと妙なことを考えてしまったことがあった。
きっとももちゃんは、誰にも気付かれないように夜なべをして、わたしに寄り添ってわたしを眠らせ、奥方に寄り添って奥方を眠らせ、そして、ななこに寄り添ってななこを眠らせ、ひとりで苦労性な、みんなのお母さん役をやっているのかもしれないな、チビッコのくせに、と。


雨をよけながら通勤帰りのバスを待っていると、マンションに住んでいたとき同じ階で、同じく子供を持たない夫婦だった、Kさんの奥さんに会った。
マンションの住人だったころ、我が家のワンコ事情はミニチュアダックスフンドのももこの1頭飼いだったが、Kさん家はマルチーズを2頭飼いしていて、幼犬だったももこと、一緒に遊んでもらったりしたことがあった。
久しぶりにKさんの奥さんの話をきいてみると、ところが、そのころ飼っていたマルチーズは、一昨年、昨年と相次いで死んでしまい、現在はわたしの知らない、若いマルチーズを飼っているのだという。
そういわれてみれば確かに、近ごろ近所でたまに見かけるKさんの奥さんの散歩姿は、1頭だけを連れたものだった。
しばらく、2頭のマルチーズの生前の思い出話をしていたが、続けてKさんの奥さんは、夫婦で一緒に育てて来た、ワンコの切れ目をエンの切れ目として、昨年10月、Kさんと離婚したことを話し始めた。
わたしは居ずまいを正した。
Kさんの奥さんは今年還暦をむかえる年の方だし、Kさんは奥さんより何才か上と聞いていたので、まさしく、世間でよくいう熟年離婚なわけである。
そう言われてみれば、マンションの管理組合の理事をKさんと一緒にやったとき、交わした会話のなかに、そういう危うい進展を思わせる内容はすでにあった。Kさんと奥さんは、もう何年も夕食を伴にしたことがないというのであった。Kさんは仕事で帰りが遅く、ほとんど毎日外で飲んで食べて帰るし、奥さんは一人分だけ手早くしつらえた惣菜で、ちょっとお酒を飲んで、夕飯を終えてしまうということだった。
そんなふうに、一緒の生活を過ごしている夫婦というのもあるのだな、と、わたしは自分の通念に、少し引っかかる思いを持ったことがあったのだった。
バスの中の二人掛け席でKさんの奥さんは、元夫との財産分与で、これがあっちに行ってあれはこっちに来てと、堰を切ったように話した。それはわたしが聞いても全くどうなるものでもなかった。わたしの耳から流れ込んできたものは、出口のない沼であるわたしを濁らせるばかりだった。
そしてその話がほぼ尽きると、それから、現在の生活設計について話して、わたしより3つ前のバス停で降りるまで、話は止むことがなかった。

永いあいだ夫婦で一緒に育てた、ワンコの切れ目がエンの切れ目になってしまった、という子供を持たない夫婦の離婚話を、わたしは交友関係のごく身近に、もう1組知っている。
わたしの友人には、子供を持たない夫婦が多いから、そういう例を多く聞くのかと考えたが、少子化とペットについての、次のような統計情報を考えあわせると、案外それは何処にでもよくある話なのかもしれない。
わたしも意図せずにいささか貢献している、日本の家庭の少子化の進み具合は激しく、現在、家庭内のペット数は子供数をこえたそうである。

ワンコがカスガイと呟きながら、雨の道路の足元をたしかめたしかめ、その夜は俯きながら歩いて帰った。



ミニチュアダックスフンドのももこは、とても性格の好いワンコだが、ひとつだけとても強情になることがある。
それは何かお気に入りをみつけて確保したときで、わたしや奥方の靴下や下着、ちょっとした小物などが多い。
そうなると、食べ物に係わる以外の事には、いつものんびりしているのが、こそこそ人を窺うような目つきになる。
そして執着のつよい時は、あまり眠らずに守っていることさえある。
何時もは、3、4時間もすれば飽きてしまうので、わたしは大体放っておくが、時には奥方が大事にしているものなどで、どうしても取り上げなければならないものもある。
そういう時は、まず大声で人間に話すように、それはお母さんの大事なもので、ももちゃんの玩具ではない、ダメです、と何回か繰り返し演説する。
それから、熱いものを持つ時に使うミトンの手袋をして、ももこに強制執行をする。
一瞬だけうなって噛むしぐさをすることもあるが、取り上げてしまえばもうそれまでである。

しかしこれが、ヨークシャーテリアのななこに対してはももこの態度が全然違う。
ななこは何時もももこを気にして、ももこの行動を真似ているから、ももこがお気に入りを確保すると、ななこはもうそれが欲しくってしょうがない。
けれど、ももこの権威に一目置いているので、真っ直ぐには取りに行かず、あからさまな関心を示しながら、ももこの様子を窺っている。
おねだりの甘えた泣き声をたてたりもする。
そしてちょっとしたももこの油断を見透かして、素早く掠め取って逃げるのだが、さて、そこで、ももこは、別に何の反応もしないのである。
いつも通りのトロンとした目で、ただ、ふーんと見ている。
シメシメという感じではしゃいでるななこを横目に見ながら、わたしと奥方は、ドウイウコトナンダロウネとももこの不思議を考えている。



我が家では、夫婦がそれぞれワンコを1匹づつ抱いて寝ている。
奥方はミニチュアダックスフンドのももこと、わたしはヨークシャーテリアのななこと寝ている。
わたしが先に寝に就くときは、ももこも一緒に寝ることもあるが、朝はいつのまにか奥方の方に行っている。ななこもわたしが朝出かけた後は、奥方の方へ行って2度寝する。
ワンコはどちらも寝つきがよくて、わたしに腕枕をさせたり、肩に顎をのせたりして、フンーとため息をついてすぐ寝入ってしまう。

子供の頃、わたしは末っ子なので母親と一緒に寝ていた。
時々、父が一緒に寝ようと誘うのだが、わたしはいつも嫌がった。父の身体は煙草くさかったし、酒くさいこともあった。そして抱き寄せられる身体がゴツゴツしていて、気持ちよくなかった。
すると父は『少年ケニヤ』を読んでやるから、と誘うのだった。
父が読んでくれる「おもしろブック」の連載『少年ケニヤ』には、ウラーという土人の、妖術つかいの呪術師が登場して、少年ケニヤと対決する。
崖っぷちの細道の行く手は土砂崩れに阻まれ、土人たちとウラーが迫って来る。ウラーの髪はメデユッサのように顔の前に乱れ、その奥から真っ赤な目が睨んでいる。
小学生になってから、麻疹に伏せて昏睡しているとき、わたしはこのウラーの真っ赤な目に追われて、何度も長いうわ言をつぶやいた。逃げても逃げてもウラーが追ってくる。息を荒げて、なにか叫んで目が覚めた。
目は覚めたが、目が開かなかった。目蓋のなかの目やにが固まって、目が開かなかったのだ。わたしは目が潰れてしまったと思って、母親を呼びながら泣いた。

ワンコたちは寝ていて、わたしも顔負けの鼾をかいておどろかせたりする。
女の子のくせに無作法なと、首を起こし薄目をひらいて見ると、ワンコたちも薄目をあけて見ている。ももこはマイペースでまたすぐ寝入ってしまうが、ななこは「なに、なに、何なの」という表情でわたしを見ている。
寝つきの良いワンコたちはすぐにまた寝入って、何の夢を見ているのだろう。庭の土を掘ってでもいるつもりなのだろうか、ななこがしきりに前脚を動かしている。

ワンコが登場する2つのサイトが気になって、わたしはほとんど毎日見に行く。

1つは『daisukeとnanaの部屋』というブログサイトで、daiちゃんというやや大きめなミニチュアダックスフンドを中心にして、辰つぁんとその家族の日々の様子が綴られている。辰つぁんは、わたしも参加していた『んだんだ方言掲示板』という山形弁限定サイトの、書き込み仲間だった。
http://blog.goo.ne.jp/daisuke-nana

もう1つは『ほぼ日刊イトイ新聞』の『きまぐれカメラ』というコーナーで、イトイさんちのブイヨンちゃんが『にんげんのおかあさん』や『ばかおやじ』と、”ほぼ日”食う寝る遊んでいるのを見ることができる。
http://www.1101.com/cgi-bin/photolive.cgi?p=060216kimagure&s=0

この2つのサイトに登場する、daiちゃんとブイヨンちゃんは、ピーナッツコミックのように人間の言葉をつぶやく。サンケイ新聞の連載漫画で、スヌーピーに日本語を語らせているのは詩人の谷川俊太郎だが、daiちゃんとブイヨンちゃんに日本語をつぶやかせているのは、辰つぁんとイトイさんという『オヤジドノ』たちなのである。

『daisukeとnanaの部屋』のある日の画像
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/3d/1f0ea3d3542e13b1655130b19a9082f9.jpg
にそえられた、daiちゃんの顔をした辰つぁんの気持ちはこう言う。
『ママがボクのソファーにコタツ置いたから困ってるの。』

わたしは、この最後尾についている『の』が可愛いなと思って、しばらく見ている。
『ハラスがいた日々』で中野孝次は、ワンコ好きなひとの歌った短歌を紹介していて、それは、今度生まれ変わったら犬になって、自分の愛犬と心ゆくまで戯れてみたいという大意だったが、ナンダ、辰つぁんハ生マレ変ワラナクテモ先取リシテ楽シンデルジャナイカ、と羨ましさ半分でわたしはつぶやく。

『きまぐれカメラ』の方はこうである。
http://www.1101.com/cgi-bin/photolive.cgi?p=060216kimagure&s=20 03/05 10:29
ブイヨンちゃんの顔をしたイトイさんはご機嫌だ。
『お掃除をする前に、人間のおかあさんが、「あさからできあい」をしてくれました。ほんとは「できあい」よりも、散歩のほうが好きです。<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>』

「できあい」というのは、ブイヨンちゃんに樋口可南子さんが頬ずりしていることで、その女性らしい仕草をみとめて、手を肩におくような軽い批評性が、ワンコ言葉のなかに込められている。これまたわたしは羨ましさ半分で、少シおやじノ顔出シスギダヨ、と文句を言いながら、けれど、可愛さが失われない画像と言葉を、いいなと思って見ている。

もうひとつ、ワンコ絡みでほとんど毎日見ている、この日のサンケイ新聞朝刊のピーナッツコーナーでは、チャーリー・ブラウンの妹のサリーが、隣の部屋にいるチャーリーに『もう、おなか空いた?』と呼びかけていた。
チャーリーはスヌーピーをお腹にのせて、ソファーに横になっている。『返事をしたら、お腹が動いて犬が目を覚ましてしまう』と困っている。
我が家のももこがまだ4ヶ月くらいの幼犬だった頃、あぐらの中で眠らせて、チャリーと同じ理由で足のしびれを我慢していたことがあったのを、わたしは思い出した。あれも、もう8年前のことになる。

世界で1番知られているワンコ、ピーナッツの漫画は、1950年に始まっている。
チャーリー・ブラウンも齢を重ねていれば、わたしや『オヤジドノ』たちと同世代になっていたはずである。
漫画の世界に住んでいるチャーリーは歳をとらないが、1950年初期の漫画の絵と、今の姿ははっきり変わって来ている。肥ったわけでも、皺ができたわけでもない。チャーリー・ブラウン もともと頭髪は薄め?。
けれども初期の絵に比べて、描く線はやわらかく丸くなった。思いやりがあり気さくで、周りに控えめに生きていくための性格が、チャーリー・ブラウンの姿かたちの特徴に、重ねられる年齢の代わりに定着している。

『オヤジドノ』たちもわたしも、『身体と心を滅して』遊んでいるうちに、思えば遠く来たもんだ。


我が家の愛犬たちはどちらも小型犬で、散歩に連れて歩くと、幼稚園の引率のようだと言われる。
2匹のうち1匹は、ミニチュアダックスフンドのももこで、今年の夏が来ると、もう8歳になる。
もう1匹、ヨークシャーテリアのななこは、我が家の末っ子役で、今2歳半である。
生後8ヶ月ほどで体の成長は止まり、その後見た目は同じようなので、私たち夫婦はいつまでも子供扱いを止めない。
犬の年齢を人間の年齢に換算してみると、ももこは46歳、ななこは25歳となるのだが、夫婦は子離れが出来ないのである。
幼児語で話しかけることは珍しくなく、愛称も、ももちゃん→ももちん→ももぴん→ももちゃんぐむ、と(ななこの場合も同様)甘く意味不明に変形して、収拾も歯止めも付けられないまま、この先どうなるかも分からない。
子供を持たない私たち夫婦が、愛犬たちに幼児語ではなしかけるのは、堰き止められていた川が流れ始めたような開放感があって、分別ではやめられないのである。

かくして痴人の愛は進行する。

昨年の4月の頃だったろうか、向かいの空き地の隣で、家の建直しがあったとき、我が奥方は大工さんに片手間仕事の交渉に行った。
それは、前から夫婦で何度か話し合ってきた、心配事の解決策をたのみに行ったのだった。
私たちが居間のソファーに腰を下ろしていると、愛犬たちは、そこに飛び乗って擦り寄って来る。
ソファーの上でキスの挨拶を受けたり、膝の上で体を抱いたまま眠らせたり、手足の肉球をいたずらしたりして戯れるのは、夫婦と愛犬たちと、どちらにも欠かせない安息の時間なのだが、乗り降りのとき、小型犬の足腰関節に掛かる負担が体を傷めないか、心配でならなかった。
そしてその心配事は、私が使っているベッドについても、ももことななこは乗り降りをしたがったので、同じだった。
ソファーの上もベッドの上も、私たち夫婦と愛犬たちが、同じ平面にいるべきではないのかもしれない。
むしろ少しの間我慢して、乗り降りしないようにしつけるのが正しい解決なのだろう。
私は犬の健康・医学・習性・種別特性・心理等々について、すくなくても6、7冊の本は勉強して来たのであったが。

大工さんは、本当に好いのですねと確かめて、ソファーの4本脚をすばやくミニチュアダックスフンド状態にしてくれた。
変形されて、イタリア=ミラノ製の座椅子仕様となったソファーは、分別出来ない私たち夫婦によく似て、格好よくなかった。やれやれの外観になってしまった。
話してみると、大工さんもチワワを飼っている犬好きの人で、私のベッドも知り合いのリサイクルショップに運んでくれることになった。
家具修理屋さんにたのめば、1万円くらいのところを犬仲間友情価格、〆て5千円にしてもらった。
現在、私が使っている通信販売で買ったベッドも、とても奇妙なものだ。
ドイツ製だとのことだが、ぺったんこな枠組みに反った板を張り渡したスノコのようなもので、愛犬たちが乗ろうと降りようと安全は絶対間違いない。

私たち夫婦飼い主は分別を放棄して、痴人の愛に流されているが、愛犬どうしの間には微笑ましいたしかなものが生まれ育っている。
生後2ヶ月弱のころから、ももこと何時も一緒のななこは、ももこを母親と思っているようなのだ。
ななこは嬉しいことがあったとき、先ずももこの脚を甘噛みしてはしゃぎ回る。
纏われつかれるももこにも、それに応える母性が芽生えて来ているようで、散歩のとき他所の犬がななこに接近するのを許さなくなった。
我が家の愛犬たちは、子離れできない飼い主たちとは別に、年齢相応に成育しているのであった。

小説家の佐藤愛子が『犬は犬らしく』という本を出している。
本屋で立ち読みをしてみた。きっと私のような、犬を我が子のように可愛がっている不心得者が、叱られているだろうと思って気になったからだ。
佐藤愛子は佐藤愛子らしく叱っていた。

けれど首をすくめる気分にはならなかった。厳しくしかられようとも、この気持ちは直らない、『惚れたってことが運の尽き』とでもいう他ない状態だからだ。

家の居間で不心得者がソファーに横になると、お嬢さんたちがやって来る。ヨークシャーテリアのななこは、私の左肩に小さな顔を乗せて寄り添う。ミニチュアダックスフンドのももこは、腰のあたりに体を乗せて、それぞれ、そこを寛ぎの定位置としている。ももこがいる位置は、二年前ななこが家に来る前から変わらない。

ももこが四歳になったころ、いっしょに転寝をしていて夢を見た。

ももこが保育園に行きたいと言う。 アイコンタクトでそう言っているのが分かった。 奥方が駈けずりまわって、入園の手続きをとった。 保育園に行くときに被る帽子や、バッグや上着を見せると、大喜びで立つようにして抱きついてくる。 「よかった、よかった」と頭を撫でてやると、顔中なめまわして嬉しさを爆発させる。 奥方はお返事の練習をさせようと言う。 「*年保育、ひまわり組、ももこさん」「わん」 二度くらいは真面目に練習をするが、ももこは嬉しさが我慢できず、はしゃいで手を甘嚙みする。 「ひまわり組のももこさん、ひまわり組のももこさん」奥方も気分をたかぶらせて、いっしょにはしゃいでいる。 わくわくした日が何日か過ぎて、ももこが初めて保育園に行く朝が来た。 ももこに青い上着を着せて、黄色い帽子を被せ登園の身支度をさせてみる。 なんだか似合わないなと思うが、かわいそうで言えない。 ももこは緊張しているのか、ちょっと困ったような表情だ。 ご飯をもらうときもこんな顔つきだなと思う。 近所の園児たちが迎えに来た。 ももこは脚が短いので、バッグをひきずって行く。 奥方が気になるから隠れてついてってみるね、といって少し間を空けて出かけていく。 ・・・・・そこで目が覚めた。

奥方に夢のことを話すと、お馬鹿な亭主は大笑いをされて、近所の友達にも報告されてしまった。

『痴人、夢を語る』という言葉がある。不心得者から痴人に成り上がって、先行きが思いやられる、新年ブログ初めの作文になった。

ももこちゃんとななこちゃんを比べて見てると、
ずいぶん違いのあることがわかる。

うんこのとき、2匹ともせっぱつまった顔をしている。
しかし、ももこちゃんは四肢をしっかりふんばり、一仕事している感じである。
職人さんのようだ。
ななこちゃんは片足浮いていたりして、実にバランスが悪い。
未熟なスポーツマンは、よけいなところに力が入る。
スキーのターンを、首筋の力でやろうとしているヤツを思い出して笑った。

おしっこのとき、
ももこちゃんはけっこう余裕があって、周りを見やったりしているが
目はぼーっとしている。放尿の脱力感なんだろうか。
ななこちゃんはこれも落ち着かない。
とてもぶかっこうに踏ん張って、ワンコというよりも虫のおしっこのようなのだ。
お嬢さん、も少しなんとかならない?と思うのだが、でも可愛い。

さて、人間は個室で行うので他人のことはわからないが、
やはりせっぱつまった表情や、ぼーっとした顔なのだろう。
まあ、同じだろう。そんなに違うわけがない。


(んだんだ方言掲示板)とういサイトに投稿したものを転載します。ヤマガタ弁です。

うぢのももこちゃんの本名は、カロリーヌていうんだっす。
ももこちゃんの友達の隣の娘は、ブリジットていうんだげんと、
オラはバズちゃんて呼んでんだ。
ももこちゃんは、このごろ落ち着いた好いお姉ちゃんになってきて
庭で、花のにおいをかいでたりしてる姿がよぐ似合うんだっす。
バズちゃんは、まだ19歳のキャピキャピなのに、なしてだがオラに惚れてんだは。
オラにまとわりついでうるさいくらいなんだっす。
会社の帰りに、玄関先で会ったりすっど、もう大声でオラのこと呼んで
あんまり大声だされっど恥ずがすいがら、傍さよってぐど
乱暴なキスキスキスキス、身もだえ、失禁、もう人目をはばかる濃厚シーン
親にみつかったら大変だがら、「もうやめろ」てゆっても聞がねくて
若いからだをひきはがすのが、ほんてん大変なんだっす。

バズちゃんは月に1、2回、オラのうぢさお泊りで遊びにくるんだ。
遊びに来て、最初、ちょこっとだげももこちゃんと遊ぶげんと
ほとんどはオラの傍さいで、気いひぐためオラの手の指ちょしたり
ズボンのベルトひっぱったり、何言いたいんだか、オラの横顔をずっとみづめだりしてるんだ。
無理やりひざの上さ乗ってきて、とろんとした灰青のまなぐで見上げられっど
さすがにオラもめんこくなて、「マドモアゼル ブリジット、バーズちゃん」なて呼んで
ほっぺつついだり、腕のあだり撫でたりしてやっど
まだ、たちまち濃厚なキスキスキスキス、おじさんもうたいへんなんだっす。
花咲く乙女ブリジットの、ほんてん変な趣味は
オラの頭のにおいフェチていうが、オラの使た枕カバーが好きで好きで
ベッドの上の枕カバーさ顔ばうづめて、体よじってバタバタ身もだえするんだっす。
こだな薄毛の、ダチョウみだいな、おやじあだまの何が好いんだがあ、
枯れたと思ってるげんと、まだある種のフェロモンがあるんだが
本人にはさっぱりわがらねくて、不思議に思てるんだっす。

* 年齢表記は犬齢を人間年齢に変換して表示しました。

...もっと詳しく
ももこちゃんとななこちゃんと記念撮影。

ももこちゃんの眼差しが、中原中也の肖像写真のものと似ているという人がいます。

ボーヨーボーヨーと、中原中也は口癖で言っていたそうです。
カンガルーみたいにお腹にいれちゃう。

まだななこが自分で歩いて散歩ができないとき
こうして外に連れて出ました。

ひとに行き会うと、みんなに笑われました。

小ギャルも
だいぶあかぬけ、というか黒ぬけて来たでしょう。
ひたいにまだ黒毛が残っていて
三ツ目小僧のようにもみえます。
ななこは、私と奥方とももこちゃんの三人を、親と思っているようです。
三人のなかでは、ももこちゃんが一番しつけの厳しいおかあさんで、
あんまりしつこくすると、お説教をくらわします。

ももこちゃんに絡み付いて離れません。
ななこの遊んで遊んで攻撃です。
ももこちゃんも喉声をだして遊んでいます。
仲良くなってくれて、よかった。


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