閉ざされた言語空間 ~占領軍の検閲と戦国日本~

 閉ざされた言語空間 ~占領軍の検閲と戦国日本~(江藤淳 著)を読んだので読後感想を述べます。
 この本は、現在のマスコミの自主規制コードを理解するのに役立つ。合衆国国立公文書館の1次資料を基に執筆された。

(第1部) アメリカは日本での検閲をいかに準備していたか。
 検閲局長官プライスは、日本の降伏後を見越して、陸軍長官スティムソンに提案していた。(1943年)
 検閲規則  軍隊の移動 連合国の批判 暗号通信 政治への言及 風聞 公共の安寧を妨げる一切の主題  違反者は軍事法廷で処罰される。
 以上、戦争中に事前に準備されていた。

(第2部) アメリカは日本での検閲をいかに実行したか。
 GHQのスタンスは、最高司令官マッカーサーが、日本政府に命令し、交渉するのではない。
 日本出版法は、禁止したいどんな記事にも注文をつけることができる。日本人に関する限り報道の自由などというものは存在しない。戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画war gilt information programは、占領期に所期の目的を達成した。
 極東国際軍事裁判において、日本は自衛のための戦争をしたと東条英機は語ったが、天皇の指示があったことは占領軍に隠蔽された。
 CCD(占領軍民間検閲支隊)のGHQに雇用された日本人による言論検閲が、戦後日本の言語空間を拘束してきた。
 さらに、マスコミは、独立後も法的な根拠なく自主規制を続けてきた。
 皇室関係の用語はおかしな言葉遣いになっている。例えば、崩御‥お亡くなりになる、践祚‥即位、勅使‥天皇のお使い、行幸‥ご旅行、玉座‥お席、臣籍降下‥皇族の身分を離れる、かえって分かりにくくしている。
2024.04.08:dai:コメント(0):[学習]

統計学が最強の学問

 「統計学が最強の学問」(西内啓 著)と言う本を読んだので概要を報告します。私は、会社時代に統計的品質管理の切れ味の鋭さを実感してきており、品質管理ベーシックコースや実験計画法セミナーや多変量解析セミナーなど様々な教育を受講してきた。読後感想として、現代にこそもっと使用されるべきと想いを新たにした。

 統計リテラシーが社会人の必須の能力になる。ビジネスインテリジェンス、情報すなわち統計学を制する者が世界を制する。どんな分野の議論においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができる。

 疫学の父スノウのコレラ死亡者数の層別し、水道会社間で差がでた。紙とペンの統計学では、ITによる統計学のパワフルさを体験できなかった。サンプリング調査は、その後10年以上も慎重な検証を重ねた結果、驚くほど正確なものだった。正しい判断に必要な最小十分のデータ。

 A/Bテストとは、AパターンとBパターンを両方試して比較すること。カイ二乗検定は、意味のある偏りか、誤差であるかを確かめる解析手法であり、その生じる確率(p値)が5%以下であれば、偶然であるとは言えない(有意差あり)と判断する。

 因果関係の2つの解決方法。一つは、関連しそうな条件を継続的に調査する(管理図)。二つ目は、データの取り方をフェアに条件を揃える(実験計画法)。

 ランダム化比較試験は、科学で扱える対象を自然科学から社会科学へ拡大させた。データ間の関係性を記述する、あるいは一方のデータから他方のデータを予測する数式を推定するのが回帰分析の考え方であり、こうした数式で記述される直線を回帰直線と呼ぶ。

 バラツキを持つ現象に対する理論的な予測もバラツキ、平凡へと回帰する。得られたデータから計算された統計量がどの程度の誤差で真値を推定しているかを数学的に整理することで、無限にデータを集めることなく適切な判断が下せる。平均値の差の検定(t検定)は、考え方は回帰分析と同じ。

 重回帰分析は、説明変数すなわち予測したい結果に影響する要因が複数ある状況へ拡張された回帰分析である。

 統計学の6つの分野:①実態把握を行う社会調査法、②原因究明のための疫学・生物統計学、③抽象的なものを測定する心理統計学、④機械的分類のためのデータマイニング、⑤自然言語処理のためのテキストマイニング、⑥演繹に関心を寄せる計量経済学

 IQを生み出した心理統計学家、多因子分析から合祀変数を生み出す。マーケティングの現場で生まれたデータマイニング、ここではカイ二乗検定が用いられ、回帰モデルの方が役に立つ。言葉を分析するテキストマイニング。

 確率を、頻度論者は何回中の何回と頻度でとらえ、ベイズ派は事前確率と事後確率を考える。

2023.12.28:dai:コメント(0):[学習]

日本国史(下)

 日本国史(下)(田中英道著)の抄録を報告する。

 鎌倉時代。武家政治はどのように始まったか?土地争いを減少させた問注所と貨幣経済の発達。世界史の中に、日本を堂々と登場させた蒙古襲来。

 室町時代。建武の新政は、天皇が権力を用いて自ら親政を行なおうとして武士の反発を買った。「もののあわれ」や「わび・さび」は日本文化の基底と捉える。

戦国・安土桃山時代。時代を大きく動かした鉄砲伝来。奴隷売買、植民地化を、豊臣秀吉がバテレン追放令で救った。徳川家康は、外国人を巧みに利用して日本の安全を確保した。

江戸時代。百万人が暮らす世界最大の都市、江戸の誕生。江戸の学問は実践的だった。上杉鷹山・二宮尊徳にみる、江戸の人々の伝統的道徳観。西洋化は江戸時代から始まった。

明治維新。革命ではなかった事実。明治の骨格を作った徴兵制と教育勅語。民主主義は戦前から始まっていた。明治維新の最大のポイントは律令制の復活。

日清戦争から大東亜戦争まで。日清戦争は19世紀の英露のアジア侵略。欧米・中国との外交戦の末に起きた満州事変。日本が引き込まれて行った大東亜戦争。世界史を裏で操ったユダヤ資本。

現代に続く日本文化の財産。日本の歴史が培った共同体と共にある一体感。GHQは「和」の社会を崩壊させようとした。GHQの呪縛から解放され、日本文化と言うかけがえの無い財産を継承せねばならない。

2023.08.17:dai:コメント(0):[学習]

日本国紀

 日本通史(百田尚樹著)全509ページを読み終えて、その読後感を記述する。

 第1章 古代~大和政権誕生は、文献調査によるもので、田中英道著「日本国史」にある縄文時代の土器や土偶に基づく東北や関東にあったとされる日高見国の説明はなく、縄文時代以前を書き加えた方が良い。

 第2章 飛鳥時代~平城京は、これまでは地域の豪族が群雄割拠していたが、十七条憲法や律令制度により、天皇の地位が不動になった。

 第3章 平安時代は、国風文化の開花した成熟の時代であるが、摂関政治の弊害が出て、武士が台頭した時代だった。

 第4章 鎌倉幕府~応仁の乱は、武力を背景に幕府と朝廷との争いの時代であり、権力と権威が異なる日本独特の形ができた。

 第5章 戦国時代は、実力のあるものが権力を握り、鉄砲伝来とその国産化、キリスト教宣教師による植民地化・奴隷売買の動きを、アジアで唯一、わが国の豊臣秀吉が伴天連追放令で食い止めたことは注目される。

 第6章 江戸時代は、戦国時代の圧倒的な武力を背景に鎖国し、一国平和主義に徹して、平和で安全な時代を築いた。

 第7章 幕末~明治維新は、黒船来航の混乱で、内乱があり激動の時代だった。いわゆる薩長史観とは異なり、幕府が欧米から供与されたライフル銃を持つ、官軍との内戦を避けるために、徳川慶喜将軍が大政奉還を行ったことには評価される。

 第8章 明治の夜明けでは、天皇の許に一致団結し、欧米の植民地化を避けるべく、日本の大改造と驚異の近代化を行った。

 第9章 世界に打って出る日本は、不平等条約に苦しみながら、日清・日露戦争に勝ち抜き、アジアの中で唯一勝ち残った。

 第10章 大正から昭和へは、国際連盟で常任理事国へ、人種差別撤廃を提起するが稚拙な外交力もあり、ファシズムの嵐に飲み込まれていく。

 第11章 大東亜戦争は、当初の戦争目的から逸脱して、太平洋が戦場に。アメリカ軍の巧妙に仕掛けられた真珠湾攻撃の罠に嵌まり敗戦へ。

 第12章 敗戦と占領は、連合国軍GHQによる統治は巧妙で、WGIPによる洗脳は、左翼リベラル、マスゴミ、戦後教育を受けた者に、今も自虐史観として残った。

 第13章 日本の復興は、第二次世界大戦の結果、アジア・アフリア植民地諸国が独立した。日本は、戦前に教育を受けた人たちの頑張りで、朝鮮戦争の特需があり、その後、奇跡の経済発展をした。

 終章 平成は、バブル崩壊とソ連崩壊があり、中共の台頭やロシア・ウクライナ戦争など世界情勢は波乱含みになった。

 これまでの日本の歴史を振り返り、今後はどのように行動するか、国際平和主義に基づき行動すべきは明らかである。ただ、アメリカや中共やロシアなどが巧妙な外交戦を仕掛けてくることを予想するべきだ。内部で異なる意見を戦わせつつも、最後は天皇を中心に一つにまとまって対応することが大切と考える。

2023.07.17:dai:コメント(0):[学習]

大東亜戦争 日本は勝利の方程式を持っていた

 「大東亜戦争 日本は勝利の方程式を持っていた」(茂木弘道著、ハート出版)と言う本を読んだので紹介します。

 日本は、無謀な太平洋戦争に入って行ったと戦後の歴史で学んできたが、実は勝てる戦略として「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」を持っていた。日本は侵略戦争をしたのか?コミンテルンの敗戦革命狙いの世界戦争介入は、ヴェノナ文書で確認されている。米上院軍事外交合同委員会におけるマッカーサー証言では、日本が戦争に飛び込んで行った動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだった。日本との戦争の全ては、戦争に入りたいと言う狂人(ルーズベルト)の欲望であった。(フーバー大統領)

 対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案とは、言わば戦争遂行のプロジェクト案と言える。方針1は、速やかに極東における米英蘭の根拠を覆滅して自存自衛を確立する。?介石政権の屈伏=汪兆銘・?介石連合政権を樹立する。独伊と提携して先ず英の屈伏を図る。方針2は、極力戦争相手の拡大を防止し第3国の利導に勉む。重要資源地域ならびに主要交通線を確保して長期持久の体制を整う。大東亜戦争と命名した通り、アジアを戦場とする計画だった。この戦略の基に、細かな戦術が考えられた。

 戦術として要領1は、あらゆる手段を尽くして適時米海軍を誘致しこれを撃滅するに勉める。要領2(1)は、オーストラリア・インドとイギリスの連鎖を遮断し、イギリスからの離反を策す。ビルマの独立を促進し、その成果を利導してインド独立を刺激する。要領2(2)は、独伊には、近東、北アフリア、スエズ作戦を実施すると共に、インドに対し施策を行う。対英封鎖を強化する。情勢これを許すに至れば、英本土上陸作戦を実施する。要領2(3)は、3国で協力して行うことは、インド洋を通ずる三国間の連絡提携に勉める。海上作戦を強化する。占領地資源の対英流出を禁絶する。

 要領3は、日独伊が協力してアメリカの戦意を喪失させる。要領3(1)は、比島の取扱いは差し当たり現政権を存続させることとし、戦争終末促進に資するよう考慮する。対米通商破壊戦を徹底する。支那および南洋資源の対米流出を禁絶する。対米宣伝謀略を強化する。その重点を米海軍主力の極東への誘致ならびに米極東政策の反省と日米戦無意義指摘に置き、米国世論の厭戦気分の誘致に導く。米豪関係の離隔を図る。要領3(2)は、独伊には、大西洋およびインド洋方面における対米海上攻勢を強化する。中南米に対する軍事・経済・政治的攻勢を強化する。

 要領4は、支那に対しては、対英米蘭戦争、特にその作戦の成果を活用して援蒋を禁絶し、抗戦力の減殺を図り、在支租界の把握、南洋華僑の利導、作戦の強化等、政戦略の手段を積極化し、以って重慶政権の屈伏を促進する。

 要領5は、帝国は南方に対する作戦間、極力対ソ戦争の惹起を防止するに勉める。独ソ両国の意向に拠って両国を講和させ、ソ連を枢軸側に引き入れ、他方日蘇関係を調整しつつ場合に拠っては、ソ連のインド・イラン方面進出を助長することを考慮する。

 要領6は、仏印に対しては現施策を続行し、タイに対しては対英失地回復を以って帝国の施策に協調するよう誘導する。

 要領7は、常時戦局の推移、国際情勢、敵国民心の動向等に対し厳密なる監視考察を加えつつ、戦争終結のため下記の機会を補足するに勉める。南方に対する作戦の主要段落。支那に対する作戦の主要段落、特に?政権の屈伏。欧州戦局の情勢変化の好機、特に英本土の没落、独ソ戦の終末、対インド施策を成功させる。

 実際的シミュレーションにより、勝利の証明できた。

 なぜ勝利の戦略が実現できなかったのか?ミッドウェー作戦、ニューギニア派兵、真珠湾攻撃の戦術的成功と戦略的失敗、ガダルカナル島への陸軍投入、海軍の誇大戦果発表など、様々な想定外による。

 秋丸機関と歴史の偽造された。腹案に沿った戦いをすれば勝てた。杉山参謀総長が国策に反すると焼却命令を出した。

 日米戦争の全ては、戦争に入りたい狂人ルーズベルト大統領によって、巧みに真珠湾攻撃の罠を仕掛けられ、山本五十六司令長官がそれにまんまと嵌まってしまったことから始まったと言える。

2023.05.12:dai:コメント(0):[学習]