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米屋こうじさんのこと その1(木造駅舎から)

  • 米屋こうじさんのこと その1(木造駅舎から)

 今年の最後を飾る展示事業は『米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』である。米屋さんは、故広田泉さんと山形鉄道との縁を作ってくれた方でもあり、今春の『広田泉写真展』にはトークショーもお願いした方である。そんな米屋さんに今回は、高校生との合同作品展をお願いし、図々しくも高校生との交流会もお願いしている。

 

 改めて米屋こうじさんと山形鉄道との『縁』について紹介したい。米屋さんは日本各地の木造駅舎を訪ね歩く中で、無人になり荒れた駅舎に出会うこともしばしばで、「いつか木造駅舎のなかで写真展ができればなぁ…」と考えるようになったといいます。西大塚駅を訪ねた時、駅務室の中が手つかずのまま空いていて、写真展のスペースとして手頃そうだったのが決め手となって、山形鉄道にお願いしたのだそうです。そして2010年のゴールデンウィークに最初の試みというべき「木造駅舎展」を開催します。さらに2011年の東北大震災の際には、復興のために何かをしたいとの思いから「東北の鉄道応援チャリティー写真展」を広田泉さんを含むプロの写真家仲間と地元の写真愛好家と共に実施しています。

 → 広田泉伝[1] 西大塚駅に降臨:おらだの会 (samidare.jp)

 

 その後も西大塚駅を拠点としての活動が行われます。米屋さんのその時々の思いを理解することはできないと思いますが、まずは活動の様子をブログでご覧ください。

2010年4~5月 最初の試み「木造駅舎展」 (於:西大塚駅)

2011年4~5月 「東北の鉄道応援チャリティ写真展」 (於:西大塚駅)

 → 鉄道憧憬 【ご報告・お礼】「東北の鉄道応援」写真展 in 山形鉄道 (fc2.com)

2012年  2月  「山形鉄道大学~米屋こうじ先生と行く鉄道写真教室ツアー」

 → ごあいさつ : 近況&ご案内 

2012年4~5月 「ホームトレイン~Home Train」展 (於:西大塚駅)

        羽前成田駅でも写真展、蚕桑駅はイルミネーション

 →  写真展 : 山形鉄道駅舎内写真展・後半スタートです。

2014年  5月   「山形鉄道の四季~100歳を記念して」 (於:西大塚駅)

 →  写真展 : GWに山形鉄道西大塚駅舎で写真展開催します!

2015年 9月  「登録有形文化財登録記念 西大塚駅想い出の写真展」  (於:西大塚駅)

2023.10.17:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

「物語のある風景」展から

  • 「物語のある風景」展から

 10月6日から『米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』が行われている。会場のちゃぶ台には図録が置かれている。その図録には、作品と共に生徒たちが「ポエム」と呼んでいるメッセージが加えられているのだが、これが鑑賞する者にとってはとても楽しく、味わい深いものとなる。その中で私が惹かれた作品が上の写真である。ポエムを紹介しよう。

 

    車窓より/稲穂に山に/心揺れ/昔の人の/遠い思い出 (鮎貝駅)

 

 車窓から見える風景に心が揺れるものがあった。この景色にはどれほどの人々の暮らしがあり、想い出が刻まれているのだろうか、といった内容でしょうか。友達をモデルにして物語を表現する作品が多い中で、こうした作品に出会えたことは新鮮でもある。見慣れた景色の中に時を超えた物語があることを感じながら、小さな列車旅をしてみたいと思う。(写真展は22日まで)

2023.10.13:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

もう一つの「さよなら列車」も

  • もう一つの「さよなら列車」も
  • もう一つの「さよなら列車」も

 今、「長井線を走った蒸気機関車展」を行っている。展示している中に、96型のさよなら列車の写真が2枚ある。1枚は長井線のさよなら列車となった59634号であり、もう一枚は米坂線のさよなら列車となった「9634号」である。59634号が現在は北九州市の鉄道記念館に保存されていることはブログで先に紹介していたとおりである。

 

 先日、鉄道ファンの方々が全国から集まって、成田駅前の広場で芋煮会をなさった。その中の一人が、「9634号の頭が新潟県の新津鉄道資料館に展示されていますよ。」と教えてくれたのである。68691号と59634号に続いて9634号も、現役を終えてなおそれぞれの地で多くの人に愛され、見守られながら生きていることを確認できたのである。

 

 この地で共に生きていた友達が、全国に散らばりながらも、その人生を全うした姿を見るようで、何とも言えないものを感じた。

 

 

 

59634号との再会はこちらから

→ 「さよならSL」との再会:おらだの会 (samidare.jp)

2023.09.25:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

駅に集う人々 ~ 出会いと別れと

  • 駅に集う人々  ~  出会いと別れと

 秋分の日を前にした9月22日(金)、今日はいろんな人が駅茶においでになった。最初の人は、古い駅の模型を作るために成田駅に見学に来たという方。成田駅の構造や意匠の特徴などを説明すると、さらに詳しい説明を返してくれる人だった。「中まで見せてもらって良かった。開場時間まで待ってて良かった。」と語ってくれました。

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 次は宮城県からおいでになったご夫婦。旦那さんの父親が国鉄職員で、小さい頃から鉄道が好きだったのが、高校時代に読んだ本の影響で私鉄やローカル線に興味を持ったのだという。廃線や廃駅のことなども教えてもらいました。奥さんが「たくさん話を聞いてもらって、うちの人はとても楽しそうでした。山並みの姿がとても素敵で、この景色には癒されました。」と語ってくれました。

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 そしてもう一人は、今月で転勤となる地元紙の支社長さん。「週末の午後だったら会えるかと思って」と、わざわざご挨拶に来てくれたのでした。支社長さんは、山形鉄道と共におらだの会の活動についてもいつも応援してくれた方でした。「戦友との別れ」のような思いが沸き起こり、帰り際には、思わず握手を求めていました。新しい職場での活躍を期待し、これからも私たちのことを見守って欲しいものです。

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 駅茶のカギを締めながら、「北の大地に消えゆく ~ 駅に集う人々」というドキュメンタリーに流れたテロップを思い出した。

・人にはそれぞれ自分の暮らし、人生を、思い出を支えてくれた駅がある

・こうして駅があれば人と人の縁もつながることができる

・人は駅に何を託すのか? (私は駅に何を託すのだろうか)

2023.09.23:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

うわぁー、SLだ!

  • うわぁー、SLだ!

 9月8日から「長井線を走った蒸気機関車展」を開催している。ある日、「うわぁー、SLだ!」と元気な声が聞こえたかと思うと、駅茶に5歳ぐらいの男の子が飛び込んで来た。遅れてきたお父さんに聞くと、SLが大好きなのだという。男の子は写真を見ながら、「ここにもSLが走っていたんだ。」と歓声を上げた。

 

 ふと機関士服を提供してくれた山形市のKさんのことを思い出した。Kさんは長井線で蒸気機関車を運転していたという。ここにKさんがいたら、この男の子にどんな話をしてくれるのだろうか。静かな語り口のKさんに、目を輝かせながら聞いている姿が目に浮かんだ。

 

 写真などで当時の様子を伝えることはできるかもしれない。けれども、その当時の人々の思いを伝えることは難しいものだ。もっといろんな話を聞いておけばよかったと思う。

 

 

 

【おらだの会】写真は佐久間信人氏提供。Kさんの機関士服はこちらから

 → 成田駅の宝物(28) 国鉄時代の機関士服:おらだの会 (samidare.jp)

2023.09.21:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]