フォトキャンペーン入賞作品の紹介を再開します。優秀賞2点の最初は、pepe._.papaさんの作品です。出札口付近を撮った作品は少なくないように思いますが、このアングルから切り取った作品はなかったような気がします。
見慣れたはずの景色ですが、堂々と胸を張っているように見えてきます。成田駅のレトロな魅力と風格をぎゅっと押し出した一枚のように思います。
フォトキャンペーンのスポンサー賞に入選された5点の最後は、nagai_camera.clubさんの作品です。
この作品を観ると停車場には此方(こちら)と彼方(あちら)の二つの空間があることに気づかされる。彼方に見える景色は、過去なのか未来なのか。若人にとってこの空間は、希望に続くものなのか、切ない過去に続くものなのか。あるいは逡巡する現在の心象を映すものなのか。
100年という歴史の中でそれぞれの思いを抱きながらここから旅立った人と、降り立った人がいる。そしてこれからも「青春」という名のかけがえのない物語が、紡がれていくのだろう。
【おらだの会】2022年も今日が大晦日。開業100年目の今年は、たくさんの人からの応援を得て事業を実施することができました。心から感謝申し上げます。
来年はいよいよ荒砥までの全線開業100年目にあたります。沿線住民が思いを一つにして記念事業に取組んでいくことだろうと思います。明年も山形鉄道並びに羽前成田駅、そしておらだの会をよろしくお願い申し上げます。
それでは皆さんどうぞ佳いお年をお迎えください。
(おらだの会一同)
フォトキャン入賞作品の3作目はtamarider005さんの「100年の椅子」と題する作品です。ホーム側に置かれているこのベンチは、1986年(昭和61年)9月5日に撮影された写真にも映っています。以前、ブログでメモリアルオブジェとして紹介したことがありましたが、この作品のような存在であることには全く気付きませんでした。
防雪林の幹間から差し込んでくる陽射しが、錆びたベンチのささくれを浮かび上がらせている。風雪に耐えながら深い皺を刻んだ老人のように、たくさんの人生を見守って来たのであろうか。今もなお、旅する者を穏やかに温かく包み込んでくれているようだ。
この作品は、これまで気づかなかった駅舎の魅力を教えてくれるものでした。確かな撮影技術と共に一瞬の間に、この空間の意味するものを感得される感性には驚かされる。このような作品に巡り合えたことに感謝したい。
メモリアルオブジェの記事はこちらから
→ メモリアルオブジェ ベンチと木製はしご:おらだの会 (samidare.jp)
【おらだの会】このコメントは、審査会での意見や講評をまとめたものではありません。
フォトキャン入賞作品の2作目はkeaton.master.2018さんのこの写真です。CMで「想い出はモノクローム」という歌詞が流れていたが、白黒写真を見るとそれだけで「懐かしい」と感じる回路が働くようである。
けれどもこの写真にはもう一つの仕掛けが隠されているような気がする。それは「そこには私がいたはずだ」と思わせるような空間を準備しているのではないか、という点である。
駅においでになる方の多くは「懐かしい」との感想を残していかれます。「懐かしい」と思ってシャッターを押すとき、レンズの先にはあの頃の自分が見えているのかもしれない。