■ 宮崎・綾スローフード設立宣言
日本には「身土不二」という言葉がある。これは自分の住んでいる四里四方(16km)で採れる食物を食べていれば病気ををしないと言うことの意である。食材にも四季折々の風土に根付いた作物が豊富にある。
世界には様々な「だし」があるが、昆布、鰹節、椎茸で取る日本の「だし」には唯一脂肪分が出ない。このことが日本料理の神髄ともなっている。日本料理には「だし」を生かした素朴な郷土料理から繊細な風味を演出した懐石料理や精進料理がある。
この三つの「だし」の素材もすべて近郊で採れる。
しかし今日の化学肥料・薬品の普及、食品工業の発達、学校給食の普及、住居形態の変化など日本人が古くから伝承してきた、食に関する感性や美意識と共生できない環境になってしまった。
今急いでしなくてはならないことは伝承の味、伝統の薫りを復活させたり、旬の文化を守り季節感を取り戻すことである。そして日本人として、豊かな自然の恵みを生かして作り上げてきた、古来の郷土料理、食文化の伝統を大切に守り育てて子孫に伝えていくことである。これまでの伝承行為が崩壊したのは食べ物に問題があったのではない。食べてきた人間(即ち、作ってきた人間)側に問題があるので生産者と消費者が賢くなる必要がある。
我々はこの度、スローフード運動の精神に共感し、事業を展開していく所存であるが、イタリアと日本の飲食習慣はかなり異なる。食卓の構成、主食となる食材、気候風土、習慣、歴史、宗教、文化など。これからは日本人としての食の味わい方、楽しみ方や自分の生活全般に対するあり方を考えながら日本的スローフード運動を展開していきたい。
宮崎県の綾町は現代の食の現状を予期し、日本で最初に自然生態系農業に取り組んできた町である。
風土に適した独特な柑橘類や日本一の照葉樹林帯 (3,000Ha) から採れる山野の特産物、ミネラル豊富な清水、淡水魚類など貴重な食資源の宝庫でもある。
我々はこの綾町(東西約9km、南北約13km)の風土を堅持し、スローフード運動を通じて、健康で豊かな地域食文化を育もうとするものである。
TEL:0985-31-8086 FAX:0985-31-8087
E-mail:teruha@miyazaki-aya-slowfood.jp
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