明けましておめでとうございます。図書館“騒動”に明け暮れた昨年でしたが、今年の初夢にもまたぞろ、本たちの隊列行進がたち現れそうな気配です。おそらく、その本たちはみんなピカピカと光り輝いているはずです。さ~て、2023年のスタ-ト…夢枕には予想通り、病院跡地に完成した「イーハトーブ図書館」のオープニングセレモニーの光景がすっくと姿を見せました。世代を超えた人たちの喜びが周囲に満ちあふれています。白雪をいただいた霊峰・早池峰から後光が射し込んできました。”降臨”の瞬間…。初夢はふくらみっ放し。「私の夢の図書館」セレクト5ーへどうぞ。
●日本一の「イ-ハト-ブ図書館」の実現へ
花巻市は将来都市像として「市民パワ-をひとつに歴史と文化で拓く/笑顔の花咲く温(あった)か都市(まち)/イ-ハト-ブはなまき」というスロ-ガンを掲げている。「イ-ハト-ブ」とはいうまでもなく、宮沢賢治が思い描いた理想郷「ドリ-ムランド」(『注文の多い料理店』広告チラシ)を指す。賢治ファンだけではなく、観光客の誘客も期待した“賢治”ライブラリ-を
●「死ぬまでに行きたい世界の図書館15選」へのノミネ-トを
旅行口コミサイト「トリップアドバイザ-」がかつて全米を沸かせた映画「バケットリスト」(棺桶リスト)にあやかって、「死ぬまでに行きたい世界の図書館15選」を公表。日本では「まちとしょテラソ」(長野県小布施町立図書館)と「京都マンガミュ-ジアム」(京都市)が見事選ばれた。「イ-ハト-ブ図書館」もぜひ、この棺桶リスト入りを目指して。ちなみに第1位は「ヴァスコンセロス図書館」(メキシコシティ)、「テラソ」は堂々の第6位
●『つづきの図書館』のような図書館を
本書は当市出身の童話作家、柏葉幸子さんの作。「図書館のつづき」ではなく、自分の本を読んでもらった本の側が読書好きのその少女の「つづき」を知りたくなったという奇想天外な物語。図書館から本たちが飛び出してくるような、そんなワクワクする光景が目に浮かぶ。さて、「イ-ハト-ブ図書館」からはどんな主人公たちが街なかに繰り出してくることか
●たとえば、「ホ-ムレス」など〝変な人”でも自由に出入りできる―「誰にでも開かれた」図書館の実現を夢見て
この“変な人”発言は市主催の若者世代対象の図書館WSで出された。揚げ足を取るつもりはない。米国映画「パブリック-図書館の奇跡」は寒波の中で、ホ-ムレスが図書館を占拠するという筋書きになっている。どうして、図書館側はホ-ムレスの要求を受け入れたのか。図書館の役割とは何か―「イーハトーブ図書館」がそのことを考えるきっかけになれば
●「成長し続ける有機体」としての図書館…進化する図書館とは
インド図書館学の父と言われるランガナ-タンの言葉。賢治自身、「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です」(『春と修羅』序)と書いている。有機体とは実に永久不滅の現象で、その意味では「賢治」そのものが不滅ということでもある。世代を継ぎながらの「賢治本」の集積に終わりはない。「イ-ハト-ブ図書館」は永遠に進化し続ける
<注>~「まちとしょテラソ」
図書館を闇夜を照らす行灯(あんどん)にたとえて「照らそう」をイメ-ジした命名。Terra(ラテン語で地球や大地の意)とSow(英語で種をまく意)を組み合わせた図書館像も浮かび上がる。小布施町は「テラソ」を中心にした「まちじゅう図書館」運動も展開している。2011年、「Library of the Year」大賞受賞。館長は2013年から公募方式に。開館は2009年7月
(写真は棺桶リストに選ばれた「まちとしょテラソ」=インタ-ネット上に公開の写真から