新花巻図書館の立地問題…市側は「駅前」で強行突破の構え~「イーハトーブ」、無惨!!??

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 「駅前周辺の方々から、図書館建設についての考えをお聞きしました。私が聞いた限りでは駅前図書館には反対だという声が多かったので、ハッキリ言って驚きました」―。花巻市議会3月定例会の一般質問で5日、羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)は市側が立地場所の第1候補に挙げている花巻駅前の住民の中には「駅前」立地に反対の態度を持っている人が多いという「声なき声」の実態を明らかにした。「駅橋上化の際は西口住民の意向を最大限に尊重すると言っていたが、東口住民に対しては説明会さえもしていない。肝心の足元の住民をないがしろにするものではないか。駐車場の拡幅のため、市道が一方的に廃止することについも事前の説明はなかったという声もあった」と鋭く迫った。

 

 これに対し、菅野圭生涯学習部長は「具体的な問題で、説明の必要が生じた場合は話し合うのはやぶさかではない」と答える一方で、意見集約のために設置された対話型「市民会議」(計4回)の結果を踏まえたうえで、「今議会中(会期3月19日まで)に最終の立地場所について、議会に報告したい」とした。新図書館にかかわる「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」(3月11日開催)や「市図書館協議会」(同18日開催)など大詰めの会議が目白押しの中で、駅前住民の意向を聴き、それをどう反映させようというのか。その場しのぎの言い逃れではないのか。菅野部長の詭弁ぶりはすでに実証ずみだったはずだが…(3日付当ブログ参照)

 

 「レインボ―計画」―。いまから36年前の平成元年、国土交通省(当時、建設省)が主導した花巻駅前の再開発計画(土地区画整理事業)がスタートした。6か年の年月をかけ、10・7ヘクタールの敷地に宮沢賢治をモチーフにしたモニュメントや多目的広場、ショッピングプロムナードなどを整備し、花巻の「顔」としての賑わい創出が約束されたはずだった。しかし、その夢の青写真は人口減に伴う駅利用者の激減などで果されないまま、現在に至っている。

 

 そんな時に浮上したのが、駅橋上化と新図書館の二大プロジェクトだった。「花巻の未来のために」と当時、土地を安価で提供した住民のひとりはぶぜんとした表情で吐き捨てた。「潤ったのはほんの一部の人たち。そして今度は橋上化によって、賢治のイメージさえも消されようとしている。当時の無念さがトラウマみたいに残っている」。この住民が怒りを抑えきれないといった表情で続けた。「これに追い打ちをかけたのが、例の住宅付き図書館の駅前立地だった。寝耳に水どころか、新聞で初めて知った。もう、だまされたくはない」―

 

 「図書館は誰のために、何のために作るのか…」―。羽山議員が質問を終えようとした時、上田東一市長がさえぎるようにして、手を挙げた。「そこなんですよ。誰のために?そりゃ、市民のために作るんですよ」。私は鼻白む思いで議会中継の画面を見つめていた。「高齢者のためだけの図書館で良いのか。それなら今の図書館で十分。若い人は圧倒的に駅前を希望している」(2022年12月議会)―。こう宣(のたま)わったのは一体、誰だったのか。あなたではなかったか。

 

 “若者待望論”を振りかざしながら、一方で高齢者を分断し、あまつさえ今度は足元の住民の心を踏みにじる形で、新図書館は不幸な出自を迎えようとしている。上田市長は直近の記者会見でこうも述べている。「新しい図書館については、まだこれからです。基本計画が最終的に決まって、その上で基本設計に入っていくということになりますから、今の私の任期の中で実施設計あるいは建設工事まで入るとか、そういうところまではいけないと思います」(2月19日付)。あとは野となれ、山となれ…。上田失政の第1号「新興跡地」(花巻城址)の荒れ野がまな裏に浮かんだ。賢治が”夢の国”と呼んだ「イーハトーブ」の、これがいまの無惨な姿である。

 

 

 

 

(写真は意見集約の不公平性を追及する羽山議員=3月5日午前、花巻市議会議場で、インターネット中継の画面から)

 

2025.03.05:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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