ふるさと納税に関連した「公開質問状」に対し、期限までに応答がなかった件については11月21日付当ブログで触れたが、忘れた頃(26日)になって1通の封書が届いた。「回答」(以下に掲載)なる文書を一読し、例の「ご飯論法」を真っ先に思い出した。上掲のイラストで示したように「論点ずらし」の典型的な話法として知られる。だが回答文書はもっと、ひねくれているように感じた。そういえば、“東大話法”っていうのもある。東京大学東洋文化研究所の安富歩教授が提唱した用語で、以下のように定義している。
「常に自らを傍観者の立場に置き、自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ、論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで、明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのようにして、その主張を通す論争の技法であり、それを支える思考方法」(要旨)―。今回、私が旧菊池捍邸が賢治寓話『黒ぶだう』の舞台だとする、いわゆる「モデル説」について見解をただしたのは他ならない上田東一市長がこの説に「疑義」を呈しながら、一方でふるさと納税の宣伝に使っている―という「ダブルスタンダード」(二重基準)の是非の一点だけである。
「論点ずらしどころか、何も答えていない」―。東大話法の手にかかると、こんな風になるという典型例だが、議会答弁の際に好んで使う「反問権」の行使もこの話法が土台になっている。その12月定例会は12月6日に開会する。「衣の袖から鎧(よろい)が見える」…反問権の背後には“本音”もちらつくので、外野席にはたまらない。遅ればせながら、上田市長は東大話法の本家本元である「東大法学部」のご出身だった。
<回 答>
ご存じの通り、現在でも多くの方が宮沢賢治作品を研究し、その成果を新たな説として提唱しているところであり、作品のモデルなどについてもいろいろな説が提唱されているところです。多くの方が宮沢賢治作品を研究することはそれだけ宮沢賢治の世界を豊かにすることであるとも考えられ、それらの説は研究の成果として尊重されるべきところだと考えております。
しかしながら、市として個々の研究の成果についてその当否を判断すべきとは考えていないところであります。実際、増子様以外の研究者の方からも他の方が提唱している説に対し市として賛成または反対をはっきりさせるべきではないかとの意見を頂くこともありますが、市としてはそのような意見は述べていないところです。増子様ご指摘のモデル説についても同様ですので、ご理解を賜りたいと存じます。
(写真は「ご飯論法」のイラスト。法政大学の上西充子教授がネーミングのきっかけを作った=インターネット上に公開の画像から)
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