「私が心配しているのは、がれきの取り扱いなんですよ。市民もあるいは花巻の経済界に大きな貢献をした新興製作所の跡地がああいう形でコ ンクリート殻になっていると、衛生上も問題があるんじゃないかというのは市民の声だと思う。これはいわゆる土地利用とか何かの問題じゃなくて、いわゆる国道4号線を来たときに、コンクリート殻が未だにある…」(4月10日開催の議員説明会会議録から)―。旧新興製作所跡地に関するこの発言を知って、どでびっくりした(当地の方言で、腰を抜かすほどの驚きの表現)。発言者は「社民クラブ」所属の照井省三議員である。10年ほど前の同議員の発言を思い出して「どでった」のだった。
「花巻城址の乱開発防止とその周辺の景観保全は私たちの最低限の願い。百年の計を視野に入れ、条例制定に心からの配慮を」―。市当局が旧新興跡地の取得を断念し、当該地が不動産業者の手に渡った直後、その跡地にパチンコ店やホームセンタ―を建設する計画が明らかになった。危機感を抱いた中心市街地の住民らは(仮称)「花巻城址周辺景観保全条例」の制定を求める請願書を議会側に提出した。平成27(2015)年3月18日、その賛否を問う3月定例会本会議が開会され、反対多数でこの請願は否決された。私が賛成討論に立った後、照井議員が以下のような反対の弁を述べた。
「まさに今やスーパーもないという市街地、花巻城址の景観や賢治のまちづくりも結構ですけれども、まず優先すべきことは生活者の利便を第一に考えることだと思います」(同日の会議録から)―。実はこの発言には上田市政の“露払い役”に徹するような伏線があった。同議員は自身の「市政ニュース」(平成27年1月14日号)で、こううそぶいて憚(はばか)ることはなかった。「私はこの店舗建設(パチンコ店など)をまちづくりの活性化へと結び付けていくことが大事であると受け止めています。また、新たに市民の雇用の場が生まれることについて歓迎すべきと考えます」
あれから、足かけ10年―。跡地取得に反対する先陣に立ち、景観条例に異議を唱えたこの同じ人物が今度は「がれきの放置」に注文を付けている。こんな廃墟に誰がした…この倒錯した神経にまたまた「どでって」しまった。ついでに、“二枚舌”ぶりをもうひとつ―
「総合花巻病院/5億円の財政支援」―同議員の「市政ニュース」(2024年3月28日号、通算437号)にこんな大見出しが躍った。「非公開」、つまり“門外不出”とされていたはずの議員説明会(3月22日開催、3月26日付と4月19日付「当ブログ」も参照)の様子がこと細かに掲載してあった。当初は議員としての使命感がそうさせたのかなと思ったが、やはり早とちりだった。過去の言動の経緯と何よりもこの人物が上田東一市長の後援会事務局長を長年、務めているという事実がふと頭によみがえったからである。単なる”勇み足”というか、調子に乗っただけだったのだろう。
照井議員など3人が所属する議会会派「社民クラブ」は女性政治家の闘志、福島瑞穂・社民党党首が率いるその傘下に身を置いている。この関係図をひも解いているうちに頭がこんがらがってきた。誰か、”正解”を教えてほしいものである。
(写真は荒れ放題の旧新興跡地の上部平坦地。かつて花巻城の三の丸があった場所で、明治以降は「東公園」として住民の憩いの場となり、桜の名所でもあった=花巻市城内で)
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