立ち上がる市民…ジーン・シャープからのメッセージ

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 「とりたてて勇敢でも立派でもない『普通の人』が日常生活の延長から社会変革の道へ」―。今年の幕開けはアメリカの政治学者、故ジーン・シャープの代表作『独裁制から民主主義へ』を読み解くNHKEテレ「100分de名著」を視聴することから始まった。新花巻図書館の「病院跡地」への立地を求めて、街頭署名に立つ市民の姿がジーンのメッセージにそのまま、重なった。非暴力による社会変革への扉が足元のこのまちでも確実に開かれつつある予感がした。

 

 ジーンは「独裁勢力は、民衆が政権を受け入れ、降伏し従順することにより成り立っている」とし、だからこそ「抗議行動や説得、非協力、干渉などによって、その勢力を倒すことができる」と述べている。その鍵となる考えはこうである。「権力は一枚岩盤のようなものではなく、また権力を持つ者の固有の性質に由来するものでもない。つまり、いかなる政治的権力もどんな統治機構も、支配者の命令に対する国民の服従に由来する。もし、国民が服従しないのであれば、支配者の権力は消滅する」。自ら言っているようにインドの非暴力主義者、マハトマ・ガンジーの影響が読み取れる。

 

 私は街頭に立つ高齢者の姿を見て、とくに「説得」の大切さを感じた。署名活動は重要な意思表示の手段である。その決断を促すためには時間をかけた「対話」こそが欠かせない。孫の世代と向き合い、10分近くも話し込む女性とそれに熱心に聞き入る相手の姿を何度も目撃した。「何かが確実に動いているな」と思った。別の女性は「ピンポーン」作戦と名づけて、一軒一軒の呼び鈴を押して歩いた。「もちろん玄関払いもあるが、でも逆に相手に引き留められることも…」―。ある日のツイッタ-には次のように書き込んでいた。

 

 「いまの酷い状況から抜け出すためには、自分が変わるしかない。勇気ある第一歩が大事。今日も無駄かもしれない。しかし、いま政治で何が行われているのか、知ってもらいたい。同じ“愚民”同士で対話して、少しでもレベルアップのため、これから草の根活動をしてきます。今日は寒い」。身近な抑圧者に「NO」を突きつける―。ジーンが主張する「非暴力という『武器』」を手に入れた市民が着実に増えつつあるようだ。

 

 

 

(写真は世代を超えて話し込む署名活動の女性たち=2023年12月24日、イトーヨーカドー花巻店で)

 

 

2024.02.22:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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