「えっ、まだ決まってないの。病院跡地だと思っていた」―。季節はずれの陽気に恵まれた18日の日曜日、イトーヨーカドー花巻店で「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(瀧成子代表)による署名活動が行われた。「駅前か病院跡地か」で揺れる中、身を乗り出すようにして署名する市民の姿にメンバーは手ごたえを感じた様子だった。街頭の署名活動は昨年のクリスマスイブに次いで2回目で、今後も月に1回程度行うという。
「今日も早池峰山が白雪にキラキラ輝いています。この霊峰を仰ぐ病院跡地こそが新図書館にピッタリ」―。のぼりを立て、たすき掛けのメンバー約15人が3か所の入り口前で、チラシを配りながら、署名を呼びかけた。親子連れがチラシを手にしながら、何やら言い合っている。「私は、駅前よ」とお母さん。「それは勝手。でも私は断然、病院跡地」と娘さんは署名簿に記名。「イトートーカドーが閉鎖するというニュースを聞いてやってきた。おら、地元じゃねけど…」と岩手町からやってきた男性。「全然、構いません。世界の賢治の図書館を作るんですから」とメンバーが応じると、男性は「そすか」とニッコリ。
この日は東日本大震災で被災し、当地に移住した気仙沼市出身の日出忠英さん(82)が娘さんと一緒に助っ人に駆けつけた。足の不自由な日出さんはイスに腰かけながら、「あれからまもなく、13年。賢治さんのふるさとにふさわしい図書館をぜひ。お世話になった恩返しのつもりです」―。近くでは外国人が興味深げにのぞきこんでいる。メンバ―のひとりが決して上手とは言えない言葉使いで、「Library、OK。Please、your name and address」と促すと、キョトンとした二人が、それでもOK印を指で作って署名簿に横文字。当市で働いているインド人で、外国人としては初めての名簿登載に。この日は2時間の活動で署名総数は229人(うち、花巻市内167人)だった。どんど晴れ。
(写真は日出さんの呼びかけに応じる若い男性=2月18日午前、花巻市小舟渡で)
《追記》~「諦めるな」!!??
ロシアの反政権派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が16日、収監先の北極圏の刑務所で死亡した。毒殺未遂事件に巻き込まれた過去を持つ、本人を主人公にしたドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」(2022年公開)をビデオで観た。「プーチンが最も恐れた男」と言われた同氏は映画の最後でこう語っている。「(仮に僕が殺された時のメッセージは)“諦めるな”だ」ー。今回の死にも疑惑がもたれる中、まさに“遺言”となったこの言葉は私たちひとり一人にとっても、決して無縁ではない。いま、ロシアを含む欧米諸国ではナワリヌイ氏の死を悼む抗議集会が相次いでいる。「君きっと一粒の麦ナワリヌイ」(20日付「朝日新聞」朝日川柳から)
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