「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(上)~12月定例会一般質問から

  • 「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(上)~12月定例会一般質問から

 

 「市側はなぜ、これほどまでに図書館の駅前立地にこだわるのか。もはや、ミステリ-としか言いようがない」―。花巻市議会12月定例会の一般質問が4日から始まり、初日のこの日は本舘憲一議員(はなまき市民クラブ)と新会派「緑の風」の伊藤盛幸議員が市民の間に広がる“疑惑の闇”の解明に迫った。

 

 有識者らで構成する「花巻図書館整備市民懇話会」が「花巻図書館への提言」を提出したのは10年以上前の2012年10月にさかのぼる。現上田(東一)市政に代わってからもすでに9年が経過。先月24日に1年2か月ぶりに開かれた「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」で、立地場所の決定までさらに9カ月間の延長が明るみに出た(11月24日付当ブログ参照)。これだけ長期間の行政の“停滞”はほとんど稀有(けう)な異常事態だとしか言いようがない。

 

 「将来、総合花巻病院移転した後の跡地に郊外から図書館を移転させ、民間活力を活かす多機能的な複合施設として整備し、中心市街地における新たな都市機能とすることを目指しています」(平成28年1月、「都市再生整備計画―花巻中央地区/都市再構築戦略事業」)―。本舘議員は新図書館の立地場所として、当初は「病院跡地」と明記されていた文書を示しながら、「その後、第一候補が駅前に変更になった。なぜなのか。JR花巻駅橋上化(自由通路整備)との相乗効果によって、駅前の活性化(賑わい創出)を期待したからだと理解するが、ほかに別の理由があってのことか」とただした。

 

 これに対し、松田英基副市長は「図書館と橋上化とがセットであれば、その相乗効果で一定の賑わい創出は期待できる。しかし、図書館が仮に病院跡地に立地されることになった場合でも乗降客の安全や駅西口の利便性を考え、橋上化は単独でも進めたい」と答えた。この答弁を受けた上田市長が「反問権」を行使し、気色ばんだ表情でまくしたてた。「別の理由とは一体、何ですか。まったく、理解できない。私たちは議会や市民の意見に謙虚に耳を傾け、それを尊重してやってきた」―。感情的な発言に対し、安易に反問権を認める議長采配にも首をひねりたくなった。

 

 続いて登壇した伊藤議員は冒頭で「憲法」の条文を取り上げながら、こう切り出した。「これまでの経緯を見ると、議会や市民への情報提供が十分だったとはとても言えない。当局ときちんと質疑応答ができるのは3か月一度の定例会だけ。しかも、立地場所の先延ばしの決定を公表したのは(11月24日開催の)試案検討会議の場で、議会側は寝耳に水だった。さらに、開催通知が委員に届いたのはわずか3日前で、20人の委員の半分近く(実際には9人)も欠席している。余りにも議会や市民を無視した拙速なやり方ではないか。憲法15条は(すべての公務員は)全体の奉仕者だと定めている」―

 

 さらに、伊藤議員は追い打ちをかけた。「高校生や若者世代の多くが図書館の駅前立地を望んでいるというデ-タがHP上などでひとり歩きしているが、科学的な根拠はあるのか。(一部の生徒を抽出するのではなく)全高校生(6校)を対象にしたアンケ-トを実施して得られる数値デ-タこそが科学的な数値と言えるのではないか。最近、病院跡地への立地を望む約4、800人(正確には4、730人)の署名が市長宛てに提出されたと聞いている。この数字こそが民意を反映した科学的な根拠ではないのか」―

 

 予想していた通り、上田市長の得意技―目くらまし的な“禅問答”がここで登場した。「科学的な根拠と言ってもよく分からないんですよね。とくに人文(科学)の分野では“科学的”な判断を下すのは難しい。哲学的というか、各人の価値判断が優先されるのでは…」(この辺の数字のマジック=詐術については27日付当ブログを参照)―。「頭隠して、尻隠さず」…行司軍配の手がさっと、議会側に上がったように見えた。

 

 

 

 

 

(写真は東北駅百選に選ばれているJR花巻駅前で繰り広げられる“駅前戦争”。戦火が収まる気配はない。出迎える賢治(のシルエット)が泣いている)

 

 

 

 

<署名延長のお知らせ>

 

 

 新花巻図書館の旧病院跡地への立地を求める署名運動は全国の皆さまのご協力により、4,730筆という予想以上の賛同をいただくことができました。支援者の一人として、感謝申し上げます。行政側の動向が不透明な中、主催団体の「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(代表 瀧成子)は引き続き、全国規模の署名運動を続けることにしました。締め切りは2024(令和6)年1月末必着。送付先は:〒025-0084岩手県花巻市桜町2丁目187-1署名実行委員会宛て。問い合わせ先は:080-1883-7656(向小路まちライブラリー、四戸)、0198―22-7291(おいものせなか)

 

 署名用紙のダウンロードは、こちらから。 「全国署名を全国に広げます!~これまでの経過説明」はこちらから。署名実行委員会の活動報告などは「おいものブログ」(新田文子さん)の以下のURLからどうぞ。

 

 https://oimonosenaka.com/

 

 

 

 

 

 

2023.12.04:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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