「Now we don't wish to live」(もう、私たちには生きる望みはない)、「We only wish die mercifully」(せめて、安らかに死ぬことを願うだけ)―。ガザとの交流の橋渡しをしている釜石市の佐藤直美さんは空爆下の知人から届いたメールに息を飲んだ。「生きていて…」という返信にはまだ「既読」マークはついていない。「凧を揚げて、励ましてやりたい」と佐藤さんの肩を押したのは東日本大震災を経験した被災地・釜石の子どもたちだった。
海を越えた交流は震災1年後に始まった。「3・11」のその日、ガザの青空に復興を願う凧が舞った。ガザの子どもたち約千人が工夫を凝らした手づくりの凧だった。3年後には実際に被災地を訪れ、“被災っ子”たちを励ました。震災12年目の今年も同じ日に凧は宙に。そしてわずか7カ月後、今度はそのガザの子どもたちが死線をさ迷っている。「絶対に生きていてほしい」―。戦闘が始まった先月10月、釜石の海岸の空にはメッセージを背負った凧たちが泳いだ。
「Friendship」「Future」、そして「糸へん」に「世界」の「世」をくっつけた心のこもった“創造字”など「ガザへ届け」とばかりの声が岸壁に響き渡った。「僕たちには、戦争を止めることはできない。でも、戦争を知ることはできる」と子どもたちは口をそろえた。刹那(せつな)、ガザの悲劇に寄り添う凧揚げのこの光景にあの醜悪な光景が重なった。背筋が凍った。戦争が激しさを増すさ中、友好姉妹都市の米国・ホットスプリングス市を訪問した「イーハトーブ」(宮沢賢治の理想郷)の面々のあのはしゃぎぶりである(11月1日付当ブログ「●エッフェル●騒動劇:第2幕」を参照)。神をも恐れぬ所業(しょぎょう)とはこのことを言うのであろう。
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配する「ハマス」とイスラエル側との間の、まるでホロコースト(大量虐殺)を思わせる戦争が始まって、この日(11月7日)はちょうど1が月―。パレスチナ側の死者は1万1000人(7日現在)を超え、うち4千人以上が子どもと見られる。”凧揚げ”交流のニュースはこの日に合わせて、NHKローカル(岩手)で放映された。「忘れないということ。みんなガザのことを思っている。この心を伝えたい」と佐藤さんは話した。
「アラユルコトヲ/ジブンヲカンジョウニ入レズニ/ヨクミキキシワカリ/ソシテワスレズ…ミンナニデクノボートヨバレ/ホメラレモセズ/クニモサレズ/サウイフモノニ/ワタシハナリタイ」(「雨ニモマケズ」)―。そういえば、こう記したのもやはり賢治だった。
「たこたこあがれ/かぜよくうけて/くもまであがれ/てんまであがれ…」(文部省唱歌「凧の唄」)ー。子どもたちが考えた創造字にはたぶん、”平和の糸”が世界中で繋がってほしいという祈りが込められているにちがいない。「イーハトーブ」は賢治が『風の又三郎』で描写したように風が名物である。「風どうど吹いて来(こ)/海のすみから風どうど吹いて来(こ)」という歌い出しで始まる「凧あげ唄」というわらべ歌もある。しかし、この地の空に”賢治凧”が舞う気配はない。
(写真は釜石市の岸壁で凧を揚げる子どもたち=NHKローカルの画面から)
《追記ー1》~10分に一人の子どもが犠牲に!??
「子ども10分に1人殺されている」ーハマス掃討作戦…ガザ市の中心部に到達、 “病院標的”に危機感も。パレスチナ自治区ガザ地区でハマスの掃討作戦を続けるイスラエル軍は、ガザ市の中心部まで進軍し、地上戦を繰り広げていることを明らかにしました(日テレnews、8日午後8時9分)
《追記ー2》~首都圏の首長らが停戦の訴え
東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県知事と5政令市の市長による「九都県市首脳会議」(座長=黒岩祐治・神奈川県知事)は8日、戦闘が激化するパレスチナ自治区ガザを巡って、「即時の一時的な戦闘休止」などを求める宣言を発表した。宣言は、イスラエルやイスラム主義組織ハマスのほか、日本政府や国際社会に向けて発出。戦闘休止に加え、人質の即時解放、国際法の順守、ガザの人道状況の改善などを訴えた。宣言発表は10月末に横浜市で開催された会議で提案されていた(9日付「読売新聞」電子版)
《追記ー4》~足元の不祥事に罰金刑(二元代表制の崩壊ーその1)
直属の部下が10代の女性に対しみだらな行為をしたとして逮捕された事案について、花巻簡易裁判所は8日、罰金80万円の略式命令を出した。当該職員が逮捕・拘留中にもかかわらず、上記の米国訪問に同行した佐藤勝教育長に対して、市民の間から「道義上も問題だ」と厳しい批判の声が上がっていた。自らの監督責任は棚に上げた形で、今後の処分については「刑事処分の内容を確認した上で、対処する」としている(9日付「IBC・岩手放送」配信)
《追記ー5》~もうひとつの足元では”分裂”騒動(二元代表制の崩壊ーその2)
花巻市議会の会派「はなまき市民クラブ」(7人)に所属する市議3人が同会派を離脱し、無会派だった一人を加えて「緑の風」(4人)を新たに立ち上げた。新花巻図書館や駅橋上化などビッグプロジェクトの先行きが不透明な中、「大同団結が必要ないま、市民に背を向ける”分派”行動と言わざる得ない。市政運営にどう対応するのか、監視を強める必要がある」という警戒心が市民の中に出ている(花巻市議会HPより)
《追記ー6》~「イ-ハト-ブ(まるごと賢治)図書館」の実現へ向けて…病院跡地への立地を求めて、署名運動がスタート
花巻市内でフェアトレ-ド店を経営する新田文子さんが主宰する「暮らしと政治の勉強会」など三つの市民団体が、宮沢賢治ゆかりの地「イ-ハト-ブ」にふさわしい“夢の図書館”を目指した全国規模の署名運動を展開中。署名用紙などは以下からラウンロードを。11月23日必着。
★新花巻図書館は病院跡地に!の全国署名を10月1日スタートします。署名用紙のダウンロードはこちらから。集まった署名は11月23日必着でお願いします。
「全国署名を全国に広げます!~これまでの経過説明」はこちらから。おいものブログのカテゴリ-「イ-ハト-ブ図書館をつくる会」は「夢の新花巻図書館を目指して」に変更しました。署名実行委員会の活動も報告していきます。新田さんのURLは以下から
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