今月15日から断続的に続いていた大雨による洪水や土砂災害に対する対応のあり方について「過剰反応」ではないかという批判が起きる中、今度は市災害警戒本部(本部長、地域振興部長)が開設中にもかかわらず、花巻市の上田東一市長が20日午後、地元選出の県議の選挙応援に出席していたことが県議当事者のフェイスブック(FB)から明らかになった。「危機管理の甘さどころか、市民の安心・安全を本気で考えているのか」という政治不信の声が市民の間から噴出している。
問題の事案は20日午後6時から、花巻市内で開催された川村伸浩県議(自民党)の総決起大会。川村県議は9月に予定されている県議選への出馬を表明しており、この日は後援会などの支援者約300人が詰めかけた。来賓のひとりとして出席した上田市長も腕を振り上げて「ガンバロ-3唱」を唱和した。一方でこの日午後零時8分に開設された市災害警戒本部が廃止されたのは夜の10時50分になってから。上田市長がその開設中に選挙応援に出向いたことについて、「一体、市長の口癖の危機管理はどこに行ったのか。ワンランク上の災害対策本部(本部長は市長)が発令されていないという言い逃れは市民感覚としてはとても通用しない」という怒りの声がもれた。
「2万8773世帯6万9151人」―。15日に発令された「高齢者等避難」(警戒レベル3)の際、実際に避難したのは3世帯7人だったが、この時は「備えあれば、憂いなし」と上田市長の判断を評価する声もまだあった。その後も断続的に自主避難などが呼びかけられたが、避難者はゼロに止まり、次第に「呼びかけと実際の避難行動」との”ミスマッチ“への批判が高まりつつあった。その矢先に起きたのが今回の「選挙応援」事件。「道義的な責任はもちろんのこと、市政全般にわたる“政治責任”さえ問われかねない」と語気を強めた市民が電話をかけてきた。
そういえば2年前、コロナ禍に伴う「岩手緊急事態」宣言が出された際、親族と飲食を共にして処分された藤原忠雅副市長(当時)が今回、川村県議の選対本部の総括責任者に名を連ねていることがわかった。この時の上田市長の処分の甘さにも市民の批判が相次いだ。「同じ穴のムジナ」―とはまさにこのこと、合点した。
(写真は災害警戒本部が開設中にもかかわらず、選挙応援に駆けつけた上田市長=右から2人目、檀上は川村県議。花巻市野田で。川村県議のFBから)
この記事へのコメントはこちら