「新図書館の立地場所の候補地のひとつである駅前用地について、土地所有者のJR側から交渉に応じるという前向きの回答をいただいた」―。迷走を続けてきた新花巻図書館の立地場所について、上田東一市長は19日開催の花巻市議会6月定例会の一般質問で、久保田彰孝議員(共産党花巻市議団)に対し、こう答弁した。今後はJR交渉を進める一方で、市民の間で立地希望が高まっている旧花巻病院跡地との事業費や配置イメ-ジなどを比較検討した資料を市民に示した上で、最終的な意見集約をしたいとしている。
この日の答弁で上田市長は譲渡対象ついて、図書館用地として想定しているスポ-ツ用品店敷地のほかに現駐車場も含めた総面積は「3,664平方メ-トル」に上ると初めて具体的な数字を明らかにした。その一方で、譲渡の際の条件としてスポ-ツ用品店の建物そのものも一括取得になることをほのめかした。この場合、当該物件の解体や更地化については「市側で負担することがないようテナント(スポ-ツ用品店)と話し合いたい。場合によっては、土地収用法の適用も視野に入れなくてはならない」と譲渡交渉の前途が必ずしも楽観できないことも示唆した。
一方、すでに市側で買い取ることが協定で決まっている旧花巻病院跡地については、「双方の不動産鑑定価格を比較検討し、妥当な価格で遅くても今年度中に所有権の移転にまでこぎつけたい」とし、さらに病院跡地に他の公共施設の立地も視野に入れた地質調査費を早急に予算計上したいと一歩踏み込んだ。
「図書館問題を担当してきた市川部長は今年度で定年を迎える。これまで苦労してきた労にも報いたい」―。またしても、上田市長の口から「公私混同」のトンデモ発言が飛び出した。生涯学習部の市川清志部長が長年、この問題に取り組んできたことについては私自身、百も承知である。しかし、行政運営にとって「公」と「私」をごっちゃにすることは絶対に避けなければならない“鉄則”である。どうもこの人にとっては“市民目線”よりは身内の都合が優先するらしい。新図書館の駅前立地に異常にこだわり続ける姿勢の背後にはこうした“市民感覚”の欠如が透けて見えてくる。それはひょっとして、”利権”がらみの黒い霧なのかもしれない。
(写真は新図書館問題について、追及する久保田議員=6月19日午前、花巻市議会議場で、インタ-ネット中継の画面から)
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