図書館論争第2弾…花巻市議会一般質問2日目~上田流“詭弁”が破綻する時

  • 図書館論争第2弾…花巻市議会一般質問2日目~上田流“詭弁”が破綻する時

 

 「破綻する瞬間とは意外とあっけないもんだな」―。詭弁に詭弁を重ねてきた上田東一市長の新花巻図書館をめぐる「駅前」立地構想が2日開会の花巻市議会一般質問でその矛盾を白日の下にさらした。伊藤盛幸議員(はなまき市民クラブ)の追及に対し上田市長は突然、その発言をさえぎろうとしたり、反問権を振りかざすなど“荒れる議会”の様相を呈した。これではまるで、殿ご乱心の体(てい)ではないか。

 

 伊藤議員が立地場所について、市側が第1候補に挙げているJR花巻駅前のスポ-ツ店用地と旧総合花巻病院跡地に関連して「病院跡地は市で買い取ることで双方が協定で合意しているのに対し、駅前のJR用地は新規取得になる。市民の多くは税金の二重払いではないかと思っている。市長はこれについて、かねてから『タダではない』発言を繰り返してきたが、改めて市長の真意を伺いたい」と迫った。この“詭弁”のからくりについては当ブログ(2022年12月11日付)で以下のように分析している。

 

●「タダ」発言のからくりを整理しようと思い、市長答弁の録画を聞き直してみた。「たとえば、市が独自にその土地(病院跡地)を他の目的に使おうとした場合、(そこに図書館が建っていれば)新たに土地を求めなければならない。そうすればまた、金がかかってしまう。だから、タダではないと言ったんです。将来的には民間活用(譲渡)ということもあり得る」(12月定例会における市長答弁)―。お得意の数字をちらつかせながら、図書館の病院跡地への立地へ「NO」サイン(予防線)を出したというのがミエミエ。それにしても、いかにもこの人らしい、なかなか手の込んだ“詭弁”ではないか。

 

 「屋上屋を重ねる」とはこのことを言うのであろうか。この日の質疑で上田市長はさらに踏み込んでこう述べた。「病院跡地は立地条件に恵まれており、多面的な有効利用の可能性がある。たとえば、子育て施設や市庁舎、公園化などを望む声が出てくることも考えられる。それを実現するためには他に新しい土地を求めなければならない。そうなると、別の支出を要することになる」―。“詭弁”の破綻はそのすぐ後に続いた。

 

 「事業を進めるに当たって一番重要なのは、それによって生み出される費用対効果(コストパフォ-マンス)。市側としては駅を利用する高校生や若い世代、通勤客などが利用しやすい駅前立地の方が費用対効果の面からも有効と考えている。仮に用地取得費や立体駐車場などの総事業費が病院跡地に比べて高価になったとしても、将来的にはその選択が正しかったと言えると思う。いずれにせよ、双方の事業費比較を市民に示して判断を仰ぎたいが、場合によっては費用対効果よりも事業費が安い方に立地することもあり得る」―。”支離滅裂”を地で行くような論理破綻…この上田答弁に伊藤議員はすかさず、切り返した。

 

 「論理のすり替えではないか。たとえば、駅を利用する高校生の多くが駅前立地を望んでいるという数字がHP上でひとり歩きし、まるでそれが高校生を代表する意見のように受け取られている。この数値に根拠はあるのか。実数を明らかにしてほしい」。伊藤議員がこう追及したのに対し、市川清志生涯学習部長はいったんは「(その数字は)把握していない」と答えたが、その直後に建設部の事務方が手渡した資料を見ながら、ボソボソと答えた。「失礼しました。花巻北、南、東の各高校の在籍数2千人のうちの駅利用者は800人、花北青雲高校は456人うち160人となっています」と明らかにした上で、取ってつけたように続けた。

 

 「駅を利用しない高校生の間でも友だちと待ち合わせる場所としては駅前の方が良い。図書館には勉強スペ-スもあり、利用しやすい。こんな声が多いのも事実です」―。「語りに落ちる」というのはこのこと。駅利用者の実数が予想以上に少ないのは、実は市側にとっては「不都合な数字」なのである。「友達の多くも自転車通学。駅に立ち寄る機会もほとんどない」(知人の高校生)、「娘が東和町から列車通学していた。昼間は授業、帰りは部活で乗り遅れないようにするのが精一杯」(ある母親)…。こんな声は闇に葬り去られたままである。思えば、3年前の「賃貸住宅付き図書館」の駅前立地という、”家賃収入”の費用対効果が皮算用に帰した結果、代わりに“代役”として登場させられたのが純粋な高校生など若者世代だった。考えて見れば、随分とむごい話ではないか。

 

 それにしても、上田市長はなぜこれほどまでに「駅前立地」にこだわるのだろうか。闇(ナゾ)は逆に深まるばかりである。

 

  

 

 

 

 

(写真は語気鋭く上田市長に迫る伊藤議員=3月2日午後、花巻市議会議場で、インタ-ネットの議会中継の画面から)

 

 

2023.03.02:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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