「図書館のあり方を根本から考え直そう」―。花巻市主催の「としょかんワ-クショップ」(7月から10月にかけて計7回開催)の参加者ら図書館問題に関心のある市民有志が立ち上げを計画していた「新花巻図書館―まるごと市民会議」が16日、正式に発足した。発起人には各層から10人が名前を連ね、当市在住の翻訳家、菊池賞(ほまれ)さん(55)を代表に選んだ。この日の会議で菊池さんは「図書館を入り口にして、将来のまちづくりも考えていきたい」と抱負を語った。その皮切りに12月6日、自身が図書館に育てられたという菊池さんが「図書館と私」をテ-マに記念講演する。日程と発起人の顔ぶれは以下の通り。
●時:2020年12月6日(日) 14:30~16:00
●場所:花北新興センタ-(花巻市四日町1丁目-1-27)
●定員:50人(予約不要)
<講師プロフィ-ル>
花巻市生まれ、浦和高校を経て東京大学卒業。翻訳家。18世紀以前の学術文献(ラテン語・ドイツ語・イタリア語)の翻訳を専門とし、訳書にはA・キルヒャ-『普遍音樂』(工作舎)、E・G・バロン『リュ-ト 神々の楽器』(東京コレギウム)、V・ガリレイ『フロニモ』(同)等がある。
また、2016年からは高校生専門塾「大学受験Λ(ラムダ)」を主宰し、地元の若い人間の育成に情熱を注ぐ。図書館は人を育てる場との信念から、良質の図書館なくして地域の発展はあり得ないと断じる。自他ともに認める図書館のヘビ-ユ-ザ-であり、首都圏の100カ所近い図書館を利用した経験をもとに、今回の講演では半生を振り返りながら、図書館によって自身がいかに育てられたかを語る。
<発起人名簿>(花巻市内在住者)
★鈴木 守:賢治研究家 著書に『本統の賢治と本当の露』など
★澄川 嘉彦:映像作家 主な作品に「タイマグラばあちゃん」、「大きな家」など。絵本『馬と生きる』で岩手競馬馬事文化賞
★中村 萬敬(かずたか):元花巻図書館長 石鳥谷町芸術文化協会事務局長
★牧野 幹(みき):絵本専門士 読書推進団体「こども広場・マグノリア」代表
★日出 忠英(ただえい):造園家 気仙沼市で東日本大震災に被災後、花巻市に移住。宮城県登米市の仏教寺院「香林寺」の造園など
★菊池 克美:写真家 岩手県写真連盟会長。岩手県美術選奨(1998年)、アサヒカメラ年度賞1位(1994年)など
★藤根 奈実子:岩手大学人文社会科学科1年生
★平嶋 孔輝:富士大学柔道部監督 青果小売「アグリズム」店主
★増子 義久:元市議(事務局長) 主著に『イ-ハト-ブ騒動記』、『賢治の時代』など
※
「新花巻図書館―まるごと市民会議」(結成趣意書)
「図書館って、な~に」―。コロナ禍の今年、宮沢賢治のふるさと「イ-ハト-ブはなまき」では熱い“図書館”論議が交わされました。きっかけは1月末に突然、当局側から示された「住宅付き図書館」の駅前立地(新花巻図書館複合施設整備事業構想)という政策提言でした。多くの市民にとってはまさに寝耳に水、にわかにはそのイメ-ジさえ描くことができませんでした。
やがて、議会内に「新花巻図書館整備特別委員会」が設置され、市民の間でもこの問題の重要性が認識されるようになりました。「行政に任せっぱなしだった私たちの側にも責任があるのではないか」という反省もそこにはありました。
一方、当局側は「としょかんワ-クショップ」(WS)を企画し、計7回のWSには高校生から高齢者まで世代を超えた市民が集い、「夢の図書館」を語り合いました。「図書館こそが誰にでも開かれた空間ではないのか」という共通の認識がそこから生まれました。そして、その思いは「自分たちで自分たちの図書館を実現しようではないか」という大きな声に結集しました。
そうした声を今後に生かそうと、WSに参加した有志らを中心に「おらが図書館」を目指した“まるごと市民会議”の結成を呼びかけることにしました。みんなでワイワイ、図書館を語り合おうではありませんか。多くの市民の皆さまの賛同を得ることができれば幸いです。
《問い合わせ先》
携帯 090-6229-7738 E-mail mmikisanpe0309@yahoo.co.jp
(牧野 幹)
携帯 090-5356-7968 E-mail ymasuko@rapid.ocn.ne.jp
(増子 義久)
(写真は発起人代表としてのあいさつをする菊池さん=11月16日、花巻市内で)
《追記》~市民との意見交換会
上田東一市長は12日、「住宅付き」図書館構想の撤回を表明した(12日付当ブログ参照)。このことを受けた市民との意見交換会が以下の日程で行われる(11月15日付「広報はなまき」掲載)。こちらにも是非、足を運んでいただきたいと思う。
<11月26日(木)> なはんプラザ(午後6時半~同8時半)
<11月29日(日)> なはんプラザ(午前10時~正午)
<11月30日(月)> 石鳥谷生涯学習会館(午後6時半~同8時半)
<12月2日(水)> 東和コミュニティセンター(同上)
<12月4日(金)> 大迫交流活性化センター(同上)
この記事へのコメントはこちら