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花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦初日

  • 花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦初日

 

 新しい首長を決める花巻市長選が16日告示され、前市議会議長の小原雅道氏(61)と現職の上田東一氏(67)の二人による一騎打ちの選挙戦の火ぶたが切って落とされた。23日投開票され、午後10時ごろには当落が判明する。挑戦する側の新人、小原氏は市内小舟渡の後援会事務所前で第一声。「本日未明に発令された津波アラートで被害が出ないことをまず、祈りたい。市政にとって一番、大切なのは心。トップダウンから市民総参画の市政へ」と約350人の支援者を前に檄(げき)を飛ばして、いざ出陣。以下は小原氏に同行したドキュメント「まさみちが往く」―

 

 

10:51~地元東和町―中心街の沿道約100㍍を埋め尽くした200人以上が拍手と歓声で迎える。リ-フレットをかざしながら、手を振る住民たち。マフラ-をグルグル巻きしたおばあちゃんが雪に埋もれそうになりながら、何かを叫んでいる

 

11:07~山道に入った。人影が薄くなり、「まさみちです」という雄叫びだけがはね返ってくる。カラスたちが空を舞っている

 

11:18~バス停に頬かぶりしたおばあちゃんがひとり。まさみちさんが選車を飛び出して、グ-タッチ。コロナ禍の中で登場した新しいスタイルがお年寄りの世界でも当たり前に

 

11:38~沿道の民家からガン、ガンと窓をたたく音が…家族が総出で万歳ポ-ズ。厳寒の中での最大の応援ポーズに感謝感激

 

13:27~東和を出て、大迫へ。道中は人家がまばら。それでも、まさみちさんの訴えの力は衰えを知らない。「だって、人間だけでなく、自然もおんなじ仲間だもん」―まさみち選車の堂々の行進

 

12:45~大迫到着。霊峰・早池峰のふもとで第一声。「この地には伝統の神楽もワインもある」。まさみちさんの演説も絶好調に

 

15:14~石鳥谷での第一声。「耳を傾けるべきは、この足元の現場にこそある」―だんだん良くなる法華の太鼓

 

16:00~雪払いのおばあちゃんを見つけた智香子夫人が「ストップ、ストップ」。夫唱婦随のグッドタイミングにおばあちゃんも思わず、ニッコリ。「頑張ってや」

 

16:09~今度はまさみちさんがウグイス嬢に促されて、すたこらさっさ。走る、走る。まさみちさんが走る。夫唱婦随の選挙選の本格スタ-ト。雪がひとしきり、激しくなってきた

 

16:17~選車と先導車の窓は手振り用に開けっ放し。「冷蔵庫の中の方がぬぐいな」と運転手さんのひとり言。それでも、ウグイス嬢は腕を突き出して、「ありがとうございます」。かたわらの先導役の男性は「女性は強いな」

 

16:59:宮野目公民館で支援者が首を長くして待っている―という緊急連絡。連絡の手違いと雪の悪路の中で1時間の遅刻。でも、残ってくれていた人たちは笑顔で迎えてくれ、あちこちでグ-タッチの輪が…。降りしきる雪の中、午後6時すぎに無事、事務所に帰着。まずはどんど晴れの初日

 

 

 

 

(写真は「勝つぞ」コ-ルでこぶしを振り上げる支援者たち=12月16日午前11時前、東和町の総合支所前で)

 

 

 

 

上田市政の2期8年と「ドウリズム」の喪失…失われた8年

  • 上田市政の2期8年と「ドウリズム」の喪失…失われた8年

 

 かつて、このまちに「ドウリズム」を掲げた首長がいた。旧花巻町長を2期務めた北山愛郎(1905―2002年)である。終生、中国の人民服である“国民服”を愛用し、社会党(当時)の副委員長にまで上りつめたが、町長時代のスロ-ガンは「ドウリズム」(道理主義)に徹していた。つまり、市政運営が「道理」に合致しているかどうかが「愛郎流デモクラシ-」の原点であった。昭和22年、社会党公認で激戦を制した北山はまだ47歳の若さ。母親の世代が「アイロ-さん、アイロ-さん」と叫びながら、選挙カ-の“追っかけ”をしていた光景を子ども心に記憶している。当の本人はその時の気持ちの高ぶりをこう記している。

 

 「僕が何か一言話すたびに猛烈な拍手が起こり、女の人たちはボロボロ涙を流して泣き出し、自分でももう何を話しているのかわからなくなった。限りない感激だった。私は『もうひとつの政治』を発見した気がした。草の根にある政治の芽を見つけたのだ。物言わぬ大衆のなかに、本当に道理の感覚があることを知ったのだ。この人たちを失望させてはならない、期待に応えなくてはならない、と決意した」―。ひとり娘の郁子さんが父の想い出を書いた『ドウリズムの政治』(2010年)の中の一節である。市議会議員に初当選したばかりの私はガツンと一撃されたような衝撃に打ちのめされた。

 

 「花巻に新しい風を!」―。2014(平成26)年1月26日、こんなスロ-ガンを掲げた新人が前職に1万票以上の大差をつけて、新しい市長に選ばれた。現職で3期目を目指す上田東一氏(67)である。北山と同じ東京大学法学部の出身で、商社マンとしての海外生活などそのまばゆいばかりの経歴も大勝の要因だったのかもしれない。「上田さんを勝手に応援する会」(「上田勝手連」)を立ち上げた私はさっそく、「同学の先輩の政治哲学をぜひ、市政に生かしていただきたい」と例の本を携えてお祝いに駆けつけた。「ありがたく学ばせていただきたい」―。こう述べた当時の上田氏のさわやかな表情をまだ忘れない。「きっと、イ-ハト-ブは生まれ変わる」と私はその時、確信した。

 

 「ドウリズム」から「パワハラ」疑惑へ―。あれからさらに、長いようで短い8年の歳月が流れた。目の前の選挙の風景は目の錯誤かと思われるほどの様変わりを見せている。この間、わがふるさと「イ-ハト-ブ」には一体、何が起きたというのであろうか。「内心、忸怩(じくじ)たるものがある」などという安直な言葉を拒絶する声が聞こえてくる。「現職の横暴を許したのは一市民であると同時に議員経験もあるオマエの責任でもあるのだ」―と。いま、まるで攻守ところを変えたように、新人候補の小原雅道氏(61)が現職との一騎打ちに挑もうとしている。選択する側の責任がいまほど、問われることはない。新しい首長を選ぶ市長選は16日告示され、23日に投開票される。

 

 

 

 

(写真は「アイロ-」さんの愛称で親しまれたありし日の北山町長=インタ-ネット上に公開の写真から)

 

 

 

選挙の風景―その7…待ったなし!一本勝負!!~決まり手は一本背負い!!!

  • 選挙の風景―その7…待ったなし!一本勝負!!~決まり手は一本背負い!!!

 

 次期花巻市長選の告示を3日後に控えた13日、立候補を予定している現職の上田東一市長(67)と初挑戦となる前市議会議長の小原雅道氏(61)による公開討論会が花巻青年会議所の主催で行われた(市文化会館)。あらかじめ提示された設問に答える形で両氏が熱のこもった討論を展開。市内の高校生がアンケ-トなどで集めた市民の声も紹介され、参加者は身を乗り出すようにして聞き入った。こんな時に役立つのは「昔、取った杵柄(きねづか)」…新聞記者時代の経験。選挙取材は「公平」を旨とすべしという鉄則を思い出しながら、土俵上の取り組みに見入った。以下はその観戦記―

 

 「コロナ対策や温泉支援、米価下落への補助など打つ手はすべて尽くしてきた」―。立ち合い、上田氏は現職の強みを生かして、小原氏をぐいぐいと土俵際に追い込んだ。2期8年間の実績を次々に披露し、「この勢いを止めることはしない」と語気を強めた。たとえば、と言って固有名詞の企業名を口にすると、すかさず行司役(の私)から「勇み足」の注意が…。「残った、残った」…小原氏が踏んばったのは「(人口の)社会増」論争に突入した時。形勢の逆転につながった歴史に残る名場面である。

 

 「令和元年度から当市の人口は社会増に転じている。子育て世代や移住者に対する手厚い政策の成果だ」と上田氏が胸を張ると、小原氏はこう反論した。「その中にはお隣の北上市に立地した半導体メ-カ-『キオクシア』の従業員が当市に居を構えた、いわゆる“キオシクア”効果も含まれている。それどころか、昨年12月には人口も北上市に抜かれて、県内の第5位に転落した。これからはエリア全体の連携が不可欠。私は近隣の市町村と友好関係を築き、当市を含めた地域全体の浮揚策に全力を挙げたい。最近、北上市長ともじっくりと意見交換した」―。じりじりと土俵中央に追い戻したと思いきや、今度は上田氏が起死回生の一手を繰り出した。市民の関心が大きい「JR花巻駅の橋上化」問題である。

 

 「国の有利な補助が期待できるうちに手を付けるのが首長の役目。じっくりと構えているとその金ももらえなくなる。全体像を考えるのはそれから。市民から具体的な提案があれば別だが…」と上田氏。小原氏が落ち着いた表情で切り返した。「議員に成りたてのころ、政治の先達から、先に期限を付けてはだめ。10年、20年先の展望を持たなければ失格だと教えられた。補助金があるから、何かをしようではなく、市民にとって何が必要かを考え、皆さまと一緒に持続できる花巻を作っていきたい」―。俵(たわら)に片足を残しながらの一本背負いで、勝負あり。齢(よわい)81歳―若干、記者魂が衰えてきた身びいきな判定かもしれないが、さ~て、観戦に足を運んだ150人ほどの皆さんの行司軍配はいかに!!??新しい市長を決める選挙はあと1週間余りに迫った。

 

 

 

(写真は公開討論会を知らせるチラシ)

 

 

 

 

《追記》~「無責任」体制という機能不全

 

 

 当ブログでも再三、言及してきた災害公営住宅における共益費の入居者(被災者)への「肩代わり」問題の経緯を明らかにするため、市議会産業建設特別委員会(近村晴男委員長ら8人)が14日開かれ、当局側から鈴木之・建設部長らが出席。「契約書の中には電気代などの共益費については一階に併設するコンビニ側(3戸分に相当)も負担すると明記されていたが、現場の担当者がそのことを失念。後任にも引き継ぎを怠っていた」と現場に責任を転嫁するような発言があった。現在、建設部内ではこの案件を担当した職員が長期の病気休職に入っているほか、複数の第一線職員も病欠している。今回の選挙戦でも現職市長の「パワハラ」疑惑が取り沙汰されており、こうした“もの言えぬ”職場の雰囲気が組織全体の機能不全を招いているのではないかという声が高まっている。

選挙の風景―その6…“紙爆弾”の狭間にて~心の病が4倍強に急増

  • 選挙の風景―その6…“紙爆弾”の狭間にて~心の病が4倍強に急増

 

 「市長から職員への度を越した叱責が一部にあることが明らかになりました。市長が認めた市職員へのパワハラもこうした中で生まれました。『パワハラ』は人権侵害行為です」―。告示を4日後に控えた次期花巻市長選への熱気が高まる中、こんな刺激的な内容を記したチラシが話題になっている。民主団体などが呼応した「住みよい花巻市をつくる会」発行の新聞折り込みで、8年前は現職の上田東一市長を支持したが、今回は一転、議長職を辞して出馬に踏み切った小原雅道氏への「自主的支援」を打ち出した。その大きな理由のひとつが現職の「パワハラ」疑惑だとしている。

 

 それを裏付けるような衝撃的な数字がふたたび、HP上に掲載された。直近の「花巻市人事行政の運営等の状況」(公表の数字は前年度実績)によると、令和2年度に「心身の故障」を理由に休職した職員の延べ人数が17人(実数9人)だったのに対し、1年後の令和3年度では休職者の延べ人数が実に4倍以上の72人、休職実数も2倍の18人にはね上がっていることが分かった。上田市長の「パワハラ」疑惑については、当ブログでも再三指摘してきたが、4倍強に急増した今回の数字はそのことを如実に裏付ける―「証拠」(エビデンス)ともいえそうだ。

 

 「根拠のないデマが乱れ飛ぶなど誹謗中傷があたかも真実のように流布されている」、「心無いネガティブキャンペ-ンにさらされている」―。し烈化する選挙戦のさ中、現職側の後援会報最新号は「パワハラ」疑惑を打ち消すことに躍起になるあまり、逆に「パワハラ」否定を大特集するという“墓穴”にはまりつつあるようである。それにしても「心の病」の指標である“精神疾患”の激増を歯牙(しが)にもかけない恐ろしい集団ではある。

 

 その“墓穴”の一例を同じ後援会報から紹介する。昨年12月22日開催の「平和環境花巻地方労センタ-」の総会で、花巻市教組や市職労、県職労、市内の民間労組の間で現職の上田市長を推薦・支持することを決定したという内容で、こう書かれている。「上田市政2期8年間に対する労働者への処遇改善や平和運動への取り組みに関して一定の評価をするとともに、今後4年間に対する政策協定を締結した」。これが事実だとすれば、市職労が「自主投票」(12月26日付当ブログ参照)を決めたという執行部発表は「虚偽」ということになる。ちなみに、筆者は上田東一後援会の本部事務局長を務める照井省三市議(平和環境市民クラブ=社民党系)。例の花巻駅橋上化を巡って、”やらせ要請”を主導したという噂の主である。

 

 

 

(写真は入り乱れる“紙爆弾”。その応酬から、選挙の実態が垣間見えてくる。)

 

 

 

 

 

コロナ禍で中止の総決起大会…急きょ、オンライン配信へ~相手陣営は集会を強行!!??

  • コロナ禍で中止の総決起大会…急きょ、オンライン配信へ~相手陣営は集会を強行!!??

 

 「うんじゃね、オラは逆に中止した勇気に感動した。頑張ってけれよ」―10日午後1時すぎ、花巻市文化会館の入り口付近にこんな会話が飛び交った。次期市長選に立候補を表明している小原雅道氏(61)の総決起大会が当初はこの日午後1時半から、この会場で開催される予定になっていた。ところが、オミクロン株の市中感染が確認されたことを受け、県は2日前に「警戒宣言」を発令。小原陣営は緊急の後援会幹部会を招集、小原氏自身の「市民の健康が第一」という最終決断で急きょ、中止を決定した。そのことを知らずに集まった市民は50人以上にのぼった。「怒られると思ったら、逆だった」…小原氏の顔がほころんだ。

 

 「無観客」―。コロナ感性症時代の産物である“新しい生活様式”は定時にスタ-トした。ソ-シャルディスタンスを保ちつつも、大ホ-ルを埋め尽くすはずだった客席には後援会関係者や収録スタッフだけ。この未知なる恐怖を吹き飛ばしてくれたのは妻の智香子さん(51)の応援メッセ-ジだった。「夫はきゃしゃなように見えて実は意外とタフ、そして何よりも優しい。アイロンがけも炊事も手伝ってくれる。それに見て見ぬふりはできないという性格。悩み事にはもう、一直線。これが家族にとっても励みになっている」―。これだけの“内助の功”をもらってはご本人に力が入るのは当たり前。「子供たちには『夢』を、若者には『希望』を、お年寄りには『安心』を…」。「夢と希望と安心」―この3大スローガンにはいつになく力がこもった。

 

 オンライン配信のリハ-サルが行われた時刻と相前後して、もうひとつの選挙関連の集会が花巻農協営農拠点センタ-で開かれていた。同じ市長選への出馬を表明している現職の上田東一市長の後援会女性部が主催する「未来を語る女性のつどいパ-トⅡ」。前日、上田市長はオミクロン株に関連し、「感染対策の再確認」を呼びかけるメッセージを発したばかり。集会には上田市長夫妻も出席し、約140人の女性を前に「ぜひ支援を」と訴えた。一方で、有線放送(東和町)を利用してメッセージを発信など、このチグハグな対応に首をかしげる市民も…。この日の開催について、同陣営の後援会側は「収容人員を800人規模から100人程度に縮小し、さらに感染対策を徹底するということで判断した」としている。

 

 「オラなはん、ずっと役所の警備の仕事をしてきた。だから、トップを身近に観察してきたという自負だけはあるすじゃ」―。二人連れの男性が小原氏の耳元でささやくように言った。以前、周囲をうかがうようにして、後援会事務所を訪れた2人だった。その時の様子とはまるで違っていた。かたわらでは必勝を誓って、グータッチする姿も…。真逆の選挙の風景が白雪の照り返しの中にまるで、蜃気楼のように浮かび上がった。

 

 なお、You Tubeによる動画配信は告示日前日の1月15日まで視聴が可能。総決起大会のフルバージョンは以下のアドレスからどうぞ。

 

   https://www.youtube.com/channel/UC57CHnkm2C4qxuwxAzAHBDg

 

    

 

《追記》~コロナ禍でのホッとする交歓風景ー2題(コメント欄に写真)

 

 コロナ禍で急きょ中止となった「小原まさみち」総決起大会では、中止を知らずにやってきた市民との間で、ホッとするような交歓風景があちこちで見られた。その一枚は絶妙なポーズの「グータッチ」。もう一枚はソーシャルディスタンスを取りながら、市民におわびをするまさみちさん(いずれも花巻市文化会館の入り口付近で)