Farm to table ファームトゥテーブル

Farm to table
りんごを作り続けて35年の井沢さんは、品評会で最優秀賞を獲得している実力者。
現在は約●●名からなる朝日営農センターりんご組合長を務めています。りんごの普及のために、東京杉並区の小学校へりんごを届け、りんごの話を子供たちにしているそうです。
無袋りんごは、もぎたてよりも少しおいてからの方がおいしいという人もいます。店頭に並ぶ頃には、食べ頃になっていますよ。生はもちろん、りんごの場合は品種によって、煮て焼いても使えるし、食物繊維のペクチンという成分は、アレルギー疾患の予防効果にもなるようです。

本国フランスでは栽培するのが難しく絶滅してしまった ラ・フランス。
いま世界を代表する生産地が山形なのです。

ラ・フランスは1864年にフランスで発見され、「我が国を代表する味の果物だ」と称えて国名がついたといわれています。
日本に導入されたのは100年前の明治36年。けれど見た目が悪く病気にも弱いので 日本では缶詰加工用を中心に栽培されていた西洋なし(バートレット)の受粉樹として植えられ、果実のおいしさは、一部の農家だけにしか知られていませんでした。
そして、缶詰よりも生のフルーツに人気が集まる時代となり、ついに表舞台へ登場することになったのです。
栽培を始めて約20年になる大石さんの園地は、立ち木が行儀良く並ぶ、ぶどう栽培のような棚仕立て。平棚を張って枝の一本一本を結ぶ方法です。「自然仕立てに比べると経費がかかりますし、収穫量も少なくなります。
でも落下しやすい果実を台風から守ることができて、太陽の光が内部まで通りますから、大きさも揃った良い実になります。栄養も行き渡るので、果物の女王という名にふさわしい味になるんですよ」。
田んぼの転作として西洋なしの栽培を始めた大石さん。「最初はバートレットと同じ方法でやってみましたが、なかなか上手くいかなかったですね。
丈夫な枝の骨組みづくりと、日当たりを良くするために行う冬と夏の剪定、花芽一つから1果だけ残す春の摘果など、勉強会を開きながら取り組んできました」。
天童が生産量日本一の座を獲得した訳はもう一つ。果実の熟度を揃えるための予冷を行う取り組みが早く、味の評価が高まった点です。「収穫後24時間以内に選果にかけて規格を決定し、すぐに2
〜5℃の冷蔵庫に入れて10日間以上冷やすんです」。
出荷時期がきたら貯蔵しておいたものを出庫し、ようやく市場へお目見えとなります。特殊な性質の果物だけに、こまかやな管理が必要なんですね。
生産者  大石隆雄
スタッフ 家族
事業内容 ラ・フランスの栽培
所在地  天童市寺津
連絡先  023-653-9844
「りんごと一緒に置いておくと熟すのが早くなるので、注意してください。食べ頃のサインは肩の部分が耳たぶくらいの感触になった頃。ジャムも作りやすいですし、赤ワインで煮たデザートなどもおすすめですね」。
なし部部長をして5年になる大石さん。現在は早生のオーロラとラ・フランスを 栽培しています。天童市では、来年3月に『新ラ・フランスセンター』が完成予定。1個1個に生産者の名前を明記したシールを貼る、日本初の試みを取り入れていくそう
です。

「蓼(タデ)喰う虫も好き好き」という諺があるように、そばは農薬いらず。
食べ方同様、栽培も<シンプル イズ ベスト>のようです。
食欲がないお昼時など、「あっさりと蕎麦でも食べて」と思うのは、消化が早くて胃にもたれないから。
けれど意外(?)にも、そばの栄養価は充実度大。アミノ酸スコ
アが非常に高い良質のタンパク質や、健康維持に必要な効能を持つビタミンB群が豊富で、肝臓を保護する効果があると言われているコリン(蕎麦をすすりながら日本酒というのも理にかなっているんですね)、記憶力の強化にも役立つおなじみのポリフェノール(ルチン)、お腹をすっきりさせてくれる食物繊維も含んでいるのです。
高橋さんがそばの栽培を始めたのは約10年前。田んぼとストックという花の生産に加えて、「新らしいコンバインを買ったんで、そばもやろうかと(笑)」。
栽培は6月上旬から始まります。まずは春からの雑草を減らす耕起と、水はけを良くするための溝掘り。やせた土地でも育つことから、かつては米の収穫が難しかった山間などで多く栽培されていたもの。
あまり手間がかからないから仕事は楽?と思いきや、「農業は自然が相手ですからね。きちんと耕耘しないと種をスズメやハトに食べられてしまうし、水に弱いので、生育期間に強い雨が降ると台無しになってしまうんですよ」。
過去には1/3しか発芽しなかったことや、大雨にたたかれたり台風で倒れてしまったり、収穫前に初雪が振って半分しか収穫できなかったこともあったとか。多く蒔いても収量はほんのわずか。「そういう年はほんとガッカリしますよ」と高橋さん。
旨いそばが育つには寒暖の差が大きく、霧が多い土地が向いています。丹生川と朧気川が貫流する尾花沢盆地は寒暖の差40度と、まさに好適地です。組合員で石臼も買って粉の販売もスタート。関東の高級な蕎麦屋さんへも卸しているそうです。
生産者  高橋喜久雄
スタッフ 家族
事業内容 そばの栽培
所在地  尾花沢市大字原田43
連絡先  0237-28-2542
「実の水分は15%で保存する決まりがあって、それ以下になると風味がそこなわれるんです。でもここでは15,5%で味が更にいいものだから、規格外で出荷しているんですよ。一般の方がそば粉を買った場合、酸化を防ぐために冷凍庫で保存してください」。
スキーのインストラクターをして30年のキャリアを持つ高橋さん。スキー場でそばを振る舞うこともあるとか。また栽培農家、そば屋、消費者による「ゆう遊三味会」を結成し、芭蕉の時代からそば切りがあったことに由来して、平成11年から 「おくのほ
そ道・尾花沢そば街道」を開始。収穫したそばのほとんどが、地元のそば屋へ卸してます。

大豆は枝豆が成熟したもの。「畑のお肉」とはよく言ったもので、
まるまるとした粒の中に、良質のたんぱく質がたっぷり含まれています。
サポニン、レシチン、イソフラボン。どこかで1度は耳にしたことがある言葉かと思いますが、これらは大豆に含まれる代表的な栄養素。
中性脂肪の生成を抑えたり、記憶力・集中力のアップ、骨粗鬆症、更年期障害、抗がん作用などに効果を発揮するといわれています。調味料や豆腐、納豆の原料になる食材ですが、日本で使われている大豆のほとんどがアメリカや中国からの輸入物。
遺伝子組み換えをしていない国産大豆が見直されているなか、山形県の生産量も年々増えて、全国第7位(平成14年度)と健闘中です。
JAさがえ西村山女性部河北支部の役員を務める柴田さん。
さくらんぼ、きゅうり、白菜、大根などの野菜と、白大豆(タチユタカ)、青大豆(秘伝)を栽培しています。
さくらんぼの出荷とほぼ同じ時期、大豆の種まきも始まるため、5月から6月は大忙し。「大豆は空気が好きなんです。土が締まると根がはらないから、うね間をよく耕して、土寄せをしてやります」。土には米ぬかや鶏糞を混ぜているそうで、「有機肥料にすることで土が丈夫になっていきますから、結果的に作物も抵抗力がつきます。でも堆肥はやりすぎてもダメですね」。
10月から11月、葉が黄色になって枯れてきた頃、さやを振ってカラカラと音がするようになったら収穫です。
大豆専用のコンバインで刈り取りますが、サヤに付いた毛が乾燥して舞い上がるため、
「うっかり吸い込むと咳が止まらなくてね、これが大変なんですよ」とご主人。平成14年から秘伝大豆の格付けも行われるようになり、粒の大小や粒揃いなどの検査を受けて出荷です。
河北町の秘伝大豆は、そのほとんどが山形市内の豆腐専門店へ納められています。天然のにがりと、蔵王山麓を源流とする地下水で作られているそうで、「出来上がった時に持ってきてくれて、みんなで試食をしました。ちゃんと大豆の味がする、おいしい豆腐になっていましたね」。
生産者  柴田雅子
スタッフ JAさがえ西村山女性部河北支部
事業内容 大豆の栽培
所在地  河北町
連絡先  JAさがえ西村山
     河北営農生活センター
     西村山郡河北町谷地字真木41 0237-72-2125
「秘伝は粒が大きいので、おせち料理の数の子豆にすると見栄えも豪華です。ぬたにして餅とからめたり、ナスの和え物にしり。醤油で味付けした煮豆もいいですし、油で揚げて砂糖とからめると、ちょっとしたおやつにもなります
大豆で心配されるのは遺伝子組み換えの問題ですが、日本では、商品として流通して いる物はないのでご安心を。山形での大豆の総消費は年間約9.000トンで、そのうち 県産品の利用は10%程度とごくわずか。栄養成分の損失が少ないうちに加工されるのが地物の利点ですから、積極的に取り入れたいですね。

米の栄養素は、エネルギー源となる炭水化物が大半ですが、
意外にもアミノ酸を含む
たんぱく質も豊富。ビタミンやミネラルも含んでいます。
日本で栽培されているお米の品種は、水稲、もち米、酒米などを合わせると、なんと300種以上。その中で、「ササニシキ」「はえぬき」「はなの舞」「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」などが山形で作られています。同じ品種でも土地の気候や栽培方法などが変わるため、全国で生産されているコシヒカリの味はそれぞれ。
山形を代表するはえぬきは、全国食味ランキングで9年連続「特A」を獲得しています。
平成14年に山形県ベストアグリ賞を受賞した平吹正春さん。山形市本沢地区の『山形ハーベストサービス』代表を務めています。本沢地区は、平成15年度の新嘗祭献穀水田に指定されるなど、昔から献上米を作っていた歴史があるところ。
古くは山形城の出城があった場所でもあるんです。食味レベルを高めるための工夫は、「でんぷん質がたまりすぎると逆に味が落ちるんで、ここ2年位は肥料を減らしています」。
米作りは、苗を植えるタイミングから、水の調整、収穫時期まで、日々天候を見て判断しますから、無事に刈り取りが終わるまでは出かけられないとか。
「今年は火星が接近したから冷夏でしたよね。毎年やり方も考えないといけないから、つくづく自然を相手にする仕事だなって感じます」。
平吹さんは昨年の12月、もっとお米を食べてもらう機会を作ろうとおにぎり屋をオープン。
もちろん、本沢産コシヒカリ100%使用です。「家の子供はご飯を食べなかったのに、ここのおにぎりを食べてからお米を食べるようになったって、お礼に来られた方がいて。こんな嬉しいことはなかったです」。農業を始めて37年。長年の苦労が報われた思いだったと話していました。
生産者  平吹正春
スタッフ 山形ハーベストサービスの仲間
事業内容 米の栽培
所在地  山形市大字前明石111 
連絡先   ハーベストサービス 023-645-8070
自 宅  023-643-8412
「理想的な食べ方は、玄米で買って家庭で精米し、すぐに食べること。スーパーや販売所に設置されている精米器を利用してください。特に新米は冷たい水で洗って炊くのがポイントですね。長く浸すとぬかのくさみを吸ってしまうので、最初の水はすぐに流しましょう」。
平成2年に発足した山形ハーベストサービスは、現在7名のメンバーで構成。コシヒカリとはえぬき、もち米を作付し、刈取受託も行っています。乾燥から出荷まで、一貫した体制をとることで、生産者の顔がみえる山形米を提供しているそうです。