Farm to table ファームトゥテーブル

Farm to table
生産者  柴田吉美
スタッフ 奥様(千恵子)
事業内容 赤根ほうれん草の栽培
所在地  山形市
連絡先  山形市風間1317
自 宅  023-687-2321
「甘味が高く、アクがないので、生のサラダにしても食べられます。さっと茹でておひたしにしたら、醤油の他に、ゴマあえ、ピーナツあえ、白あえにしたり、玉子とじの汁物、常夜鍋(ほうれん草やと豚肉の鍋)などにも合いますね」。
柴田さんが栽培している山形赤根は、あるテレビ番組の厳選素材としても登場するほど。ほうれん草以外にもゴーヤ、オクラ、トマト、里芋などを栽培していて、まさに農業のプロ。いろんな方が、相談しに来られるようです。

60cm以上にもなる大きな葉、一株1kgのビッグサイズにもなる青菜。
丸ごと漬けた青菜漬は山形の食文化を担う漬物になりました。
長野県の野沢菜漬、九州の高菜漬など、各地に茎葉を使った特産品がありますが、山形県といえば青菜漬。
材料は高菜と同じアブラナ科の野菜で、明治40年代に種子が導入され、漬物用に山形青菜(やまがたせいさい)として栽培がスタートしました。
昔の人にとって漬物は、野菜の収穫がない冬の時期の大切な保存食。青菜には、カロチン、カルシウム、ビタミンC、鉄分などが含まれています。
青菜は9月上旬には種を播きます。
「この時にね、覆土するかわりにぬかをかけるんですよ。そうすると土の表面がやわらかくなるんです」 と、JA山形地区女性部青菜加工グループ代表の渡邊タケさん。
覆土とは、土壌が乾くと発芽と生育不良の原因になるため、播種をした後に上から土をかけて乾燥を防ぐこと。
しかし、その一方で根こぶ病は水を介して増えていくので、排水対策も行わなくてはならないとか。「アブラナ科の野菜を毎年作り続けても、根こぶ病になりやすくなるんですよ。
最近、葉大根を植えると病原菌が減ると聞いて、来年は是非やろうと思っています。これを<おとり作物>というらしいですよ」。
新しいことに果敢にチャレンジしていく、元気あふれる意欲が伝わってきました。
11月末、雪が積もる前に収穫し、いよいよ漬け込み開始。1次加工は塩漬の作業。
「1つの桶に3500Kg。ひたすら塩をふるから、目がヒリヒリと痛くて。この時が一番大変。30cmの板を渡して、その上に8人のメンバーが乗り、重しをかけていくんです。かけ声をかけてリズムを取るから、青菜ダンスっていってます(笑)」。
5、6日経ったら塩水を洗ってしぼり、オリジナルの調味料、砂糖、酒精、醸造酢に漬けて袋詰め。また細かく刻んだ干し大根、ニンジン、から芋、ショウガ、紅花をまぜたおみ漬も作っています。
注文は北海道や関東方面からも多く、顧客リストだけで400名ほどいるとか。発送がすべて終わる1月か2月には、スタッフみんなで旅行にでかけるそうです。
生産者  渡邊タケ
スタッフ JA山形地区女性部青菜加工グループ
事業内容 青菜の栽培と漬物加工
所在地  山形市
連絡先  JAやまがた中央営農センター
     山形市天神町59 023-684-2547
自宅   023-643-2927
「時間が経ってべっこう色に変わったら、山形では油炒めにしたり、打ち豆と一緒に煮込む「くきな煮」などにします。庄内では、味噌を塗ったおにぎりを青菜漬で巻いて焼く「弁慶めし」などもありますね。おみ漬は、納豆やチャーハンなどに入れてもおいしいですよ」
加工グループが発足して18年。現在約30名のメンバーがいます。渡邊さんは山形県JA女性組織協議会の会長を6年、北海道・東北地区女性組織協議会会長などを務めた経歴の持ち主。組織運営で心がけているのは「後輩に問題を残さないこと」。かつては年間200日も外出していたそうで、「これからはパソコンも習ってみたい」と、とてもパワフルな方でした。

もともとは京都辺りで食べられるようになったといわれる食用菊。
シャキシャキした歯ごたえと、かすかなほろ苦さが魅力で、
悪玉コレステロールを退治する物質が含まれているそうです。
山形生まれなら「もってのほか」という言葉を聞けば、ほとんどの人が食べる菊を思い浮かべられるけれど、なんとも不思議な呼び方です。
「天皇の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」とか、「もってのほかおいしい!」などが由来だそうで、正式な品種名は「延命楽(えんめいらく)」。
食用菊の中では晩生で、淡い紫色とシャキシャキした歯ざわりが特徴です。その他、山形で栽培されている食用菊は、黄菊の「寿」や「岩風」など。こちらは花びらが柔らかで、鮮やかな色が料理に華を添えてくれます。
「薄紫色の菊は東北、関東の方では黄色い菊を食べるのが主流。関東方面は料理屋も多いし、山形以上に需要があるんですよ」
と栽培を始めて約30年になる斉藤さん。広い市場で評価を得るための工夫は、苗を植える前の土づくり。4年ほど前から有機肥料に精米所から仕入れた米ぬかをたっぷり混ぜているのだそう。
米ぬかは健康や美容にいい食品として知られている通り、ビタミンやミネラルがとても豊富。「この成分が土の中で発酵して、微生物の活動が活発になる。そして弾力のあるフカフカの土が出来上がる」。根っこがのびのびと張るから、栄養の吸収がよくなる訳です。
斉藤さんのハウスでは、夏菊、秋菊を合わせてもっか4品種を栽培中。2月中の育苗や春先の栽培期間は温度管理に注意を払い、収穫は朝6時前にスタート。
「日差しが強くなってしまうと、花の保湿が減ってしまうからね」。適度にほころんだ花びらに傷がつかないよう、一つ一つを丁寧に摘み取り、大急ぎで市場へ出荷します。
出来のいい菊とはどんな状態のもの?の問いには「仕事にこれでいいはないからね。上手く出来たら、もっと良いものをと思うもの。
計算通りにいかないのが、おもしろさでもあるかな」と、菊づくりに対する強い探求心が伝わってきました。
生産者  齋藤良伸
スタッフ 家族
事業内容 食用菊の栽培
所在地  山形市
連絡先  JAやまがた中央営農センター
     山形市天神町59 023-684-2547
「茹でるときは沸騰したお湯に酢を加えて、散らした花びらをさっと入れる。歯触りが大事だから、茹で時間は35秒。冷水にとって一度冷まして、よーく水を切る。シンプルなのは酢醤油をかけるおひたしだけど、クルミ和えや天ぷら、吸い物、漬物など、なんでも合いますよ」。
斎藤さんの趣味は野球。スポーツ少年団のコーチを務めていて、これまでにも甲子園に出場するほどの優秀な子供達を輩出してきました。仕事では同じ菊農家のメンバーと一緒に、関東方面などで試食販売会を開催するなど、菊の消費宣伝も積極的に行っています。「山形といえば菊」という知名度が高まっているのも、こうした活動のおかげなんですね。

日本には9〜10世紀に伝来。幕末、明治に全国に広がり、
いまでは日本人にとっても馴染みのふかーい野菜です。
きゅうりは大半が水分で、栄養素として含んでいるのは、利尿作用やむくみに効果があるカリウム、カロチン、ビタミンCなど。アスコルビナーゼというビタミンCを壊す酵素も持っているため、多種類の野菜を使うジュースなどには向かないと言われていますが、酢を加えることでその働きを止めることができます。
りんご酢を加えたり、料理なら酢の物やドレッシングをかけたサラダなど、太さがまちまちでも曲がっていても味や栄養は変わりませんし、1本使ってもわずか11キロカロリー程度。体重が気になる方にも安心です。
夏が旬のきゅうりですが、最近はハウス栽培によって一年中出回るようになりました。
18歳からきゅうりの栽培をしている武田さん。現在手がけている品種は、寒さに強いオーシャンと、今年から始めたグリーンラックスの2種類。「グリーンラックスは、その名の通り、グリーンが濃くて見た目の色ツヤが鮮やかなんですよ。歯触りもパリパリッとしていますから、サラダや漬物にはもってこいです」。
きゅうりの苗づくりは年明け早々、1月10日頃に始まり、約1週間後に種まき開始。土の堆肥はもみ殻、米ぬかなどで、時々カブトムシの幼虫がまぎれていることもあるそう。苦労する点は、苗づくりの温度管理。「20年ほど前から温水器を導入し、うねの中を地下暖房のような状態にしています。あったかくしながら育てるんですよ」。
3月の下旬からはいよいよ収穫です。1本が100gから130g、20から23センチなら、規格基準の最高ASにランク夏場は朝どりきゅうりとして販売するスーパーに合わせて、朝4時半から8時半までに1回目の収穫を終え、午後から2回目を行います。
「最初に収穫したきゅうりは、まず家の仏壇に供えるんです」。農業に対する実直な姿勢がうかがえました。
生産者  武田政則
スタッフ 家族
事業内容 きゅうりの栽培
所在地  JAやまがた西部営農センター
連絡先   023-646-5522 
自 宅  山形市南石関49−1
「もぎたては、生のまま味噌をつけて食べるのがイチバン。漬物なら醤油、塩、酢、ぬかと、どんな漬け方でも合いますし、中華料理では炒め物に使ったりします。保存する時は水を良く拭いて、へたの部分を上にして立てて保存しましょう。常温で1〜2日、冷蔵庫(10度前後)で4〜5日です」。
現在約30名のメンバーで構成している山形農協広域きゅうり部会代表の武田さん。減農薬、減化学肥料を実践するエコファーマーの認定も受け、抵抗性品質のものをつくるために、いろいろな工夫をしているそう。「収穫しながら食べるんですが、もぎたては特に甘みが分かりますよ」。奥様はビール漬をよく作るそうです。

「ハレシリーズ」として市場に登場している、朝日町のりんご。
今注目を浴び始めています。
県内で代表的な産地といえば朝日町。昭和40年代、蜜がたっぷり入った<無袋りんご>のヒット商品を作りだしたことで、山形産の知名度は全国区に。
一個一個袋をかけずに栽培する従来とは逆の方法は、今でこそ各地で行われていますが、朝日町が先駆けなのです。「りんごは品種の数も多いし流行もあるんですよ。
うちではつがる、さんさ、千秋、スターキング、王林などを栽培しているけど、生育の特徴、味はまったく違う。組合では、栽培方法や天候によってどんなりんごができるのか、また品種ごとに光センサーを通してチェックした糖度などを記録に取って、ずっと分析してきたんです」。
『アダムとイブの伝説』、『ニュートンの法則』、『一日一個のりんごで医者いらず』など、世界のさまざまなエピソードやことわざなどに登場するりんご。
トルコでは新石器時代りんごも発掘されているそうで、人類の歩みとともにあった果物です。
コーカサス地方からヨーロッパに渡り、江戸時代に中国から日本へ伝わりました。そして明治初期から本格的な栽培が始まったといわれています。
消費者がおいしそうと思うのは、まず見た目。ムラなく真っ赤に色づいたりんごを手に取ります。そのために、生産者は葉摘みをして、まんべんなく太陽の光が当たるようにしてきました。
けれど養分を果実に送る葉を採ることで、甘さは低くなってしまうのです。「これからは味で勝負しようと。光が当たるところは葉を残して、できるだけ自然と同じ状態で作ってみたんです。
省力化にもつながるから、道楽りんごなんて冗談を言いながら(笑)」。結果は当然ながら糖度がアップ。甘さがあって、後味さっぱり。3年前から関東の有名百貨店などから引き合いが増え、
今年から<shinanoすい〜と>の名前でデビューが決定。山形りんごはますます売れっ子になりそうですよ。
ゼリーやジュースなど、
りんごを使ったデザートも作っています。
生産者  井沢寿一
スタッフ 家族
事業内容 りんごの栽培
所在地  朝日町
連絡先  朝日町営農生活センター
     0237-67-7179