Farm to table ファームトゥテーブル

コンシューマーから一言
農薬問題やトレーサビリティなど、食の安全・安心について関心が高まるなか、そうした食生活を実現するためには、どうしたらいいのか。立場が異なる方々に意見交換を行っていただきました。


◎安全・安心に関して取り組んでいることがあればお聞かせください。

佐藤:観光果樹園を開いたのは、消費者に近い立場で栽培をしたかったからなんです。レストランをオープンすることをきっかけに、本格的に低農薬に取り組むことにしました。

椎名:金曜市は生産者が直接販売する形なので、たとえ虫食いがあったり、形が整っていなくとも「それは生産者の方々の顔が見える、責任ある生産物だから」と消費者の方々は信頼してかっていかれます。

瀬尾:直売所は販売しているおばちゃん達から料理法を聞いたり、おまけをもらったり、楽しんで買い物できますよね。「安全」については、無登録農薬の問題が出たときに、再認識することになりました。一番まちがいなのは自分なりの方法として、20年ほど前から、レタス、トマト、キュウリなどの家庭菜園をやっています。でも無農薬だから虫が付くんです。家で食べるので気にしませんが。

佐藤:虫がついているものは食べて安全なのだけど、売り物にはならないんですよね。見た目がいいものを作ろうと思えば、農薬を使わざるを得なくなるし。私が疑問に思うのは、皆さん農薬に対して厳しい反応をされる割りに、日頃インスタントなどの添加物たっぷりの加工食品は平気で食べているような。

深瀬:最近は学校でも「食」に関する教育を取り入れているようです。私の子どもも一人暮らしを始めたのですが、加工食品を買う時は表示を見て、添加物が少ないものを選ぶようにしているって言っていました。

瀬尾:やはり一人一人が勉強することが大事なんですよね。賢い消費者にならないと。



◎安全・安心への思いや、これから実現するために必要なことは何でしょう?

椎名:金曜市は、農薬やBSEなどの食に関するニュースが流れた時期でも集客が落ちなかったんです。毎年、顔ぶれの同じ生産者に出店してもらっていますので、固定客がついています。やはり、作る側と買う側の信頼関係を確立してこその安全・安心といえるのではないでしょうか。

瀬尾:直売は新鮮さが違うし、スーパーにはない価格交渉だとか、生産者との対話が楽しいですね。年輩者は特に遠くまで買い物に行くことも難しいので、直売所はもっと増えてほしいですね。

深瀬:最近、スーパーは有機栽培や低農薬といった表示が少なくなった気がするんですよ。産地だけでなく、信頼できる生産者の表示も徹底してほしいです。消費者は少なからず、農薬使用には疑問を感じています。でもそこから一歩踏み込むことがなかなか出来ていないんです。

佐藤:農薬を使った安いピカピカの野菜を買うか、無農薬だけど割高なデコボコ野菜を買うかということですよね。アオムシが付いているキャベツをきたないと思ってしまう消費者でも、子どもの頃は平気だったんじゃないかな。小さいうちから、作物はどうやってできるのか、どんな作物が安全なのかを、きちんと教えていくことが、今の大人に課せられた責任なのではないでしょうか。


コンシューマー達


山形は共稼ぎの家庭が多いので、郷土料理を知っているお母さんが少なくなっているのではないか、という発想が「おらほの郷土料理」という冊子をまとめるきっかけでした。
発行後、たくさんの問い合わせがあって、もう在庫がない状態なんですよ。子供を育てる立場としても、「地元の食」に対する関心は高まっていると感じています。
食事は毎日行うものですから、安全、安心は基本。その意味でも「地産地消」は意識しています。大型スーパーは1年中同じ品揃えで便利ですが、旬を感じにくい面もありますね。直売所は鮮度がいいし、生産者の名前が入っているので安心感も得られます。
エコファーマーという制度がありますが、その方々が育てた作物がどこで買えるのかを知りたいです。マークなどを作って表示してもらえたら、商品を選ぶ時の参考になるのではないでしょうか。

山形県山形市立第八中学校PTA母親委員会の
志田教諭と大山前母親委員長