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企画展「上杉家の古写真」 展示資料のご紹介5

この展覧会の会期も残り4日、3月21日(月・祝)までとなりました。

さて、展示資料のうち2枚の写真をご紹介します。

 

1、上杉茂憲と家臣達
幕末期(1860年代)
6.2×10.0cm    上杉家蔵

 慶応2年(1866)の写真をもとに、左から3人目の椅子に座っている人物を上杉茂憲と推定しました。その他の人物は未詳ですが、上杉家の親戚や米沢藩の家臣達でしょうか。後列に立って煙管を持つ人物と、茂憲の右隣に座る人物は、茂憲と同程度の地位(大名かその子息)の可能性が考えられます。左右の端には、小姓らしき近臣が控えています。
 背景には布を垂らし、床にはゴザのようなものがひかれています。専用のスタジオができる以前、幕末に撮影されたもののようです。未詳の点も多くありますが、幕末の米沢藩の人々を写した、貴重な一枚です。
 
 この他、米沢新田藩主・上杉勝道の湿版写真、上杉茂憲の兄弟と思しき人物の名刺判写真などを第一章で展示しています。

 

2、目隠し鬼に興じる女性たち
明治後期
11.0×13.8cm    上杉家蔵

 白い布で目をおおった女性が他の女性を捕まえようとしており、目隠し鬼の最中のようです。中央の2名は「鬼さん、こちら」とでも言うのか、手を叩いて囃しているようにみえます。女性はいずれも10代半ば以降のようです。鷹司房子(上杉憲章の妻)のアルバムに貼り込まれており、写っているのは女学校時代の友人達でしょうか。房子本人の姿は写っていません。上杉家伝来写真のなかでは、珍しく動きのある、楽しげな一枚です。

 

 房子は嫁入りに際し、大量の写真を持参したようです。幼少期から20歳くらいまでの成長記録のアルバム、家族写真、華族女学校時代の集合写真など、明治20年代後半から大正初期にかけての写真が、上杉家に数多く伝来しています。
 展示では第4章で展示しています。

この他、あと4日しか見ることができない、貴重な写真が目白押しです。
お見逃しなく!

お問い合わせ

米沢市上杉博物館 0238-26-8001

 

2016.03.18:denkoku:[博物館情報]

企画展「上杉家の古写真」 展示資料のご紹介 4

米沢の行事と建物

好評開催中の企画展「上杉家の古写真」ですが、会期は3月21日(月・祝)まで、間もなく終了です。お見逃しなく!!
さて、展示資料の紹介の第四弾として、地元・米沢の行事と建物の写真をご紹介します。

 

1、伏見宮下向に際し武徳会古式練兵 1枚
坂根儀一郎 撮影  明治39年(1906)10月10日 
11.8×17.4cm    上杉家蔵

 伏見宮貞愛親王(陸軍大将、大日本武徳会総裁)が武徳会米沢分会出席のため来訪した際に行われた、火縄銃の発砲訓練の様子です。江戸時代、米沢藩では30匁筒など大口径の火縄銃を軍制に取り入れていました。甲冑や笠、火縄銃を放つ人びとの所作と、江戸時代さながらの迫力が伝わってくる一枚です。

 

2、 上杉伯爵邸 玄関  1枚
坂根写真館 撮影  大正14年(1925)10月13日
18.2×22.8cm    上杉家蔵

 上杉伯爵邸は、明治29年、上杉家の本邸として建てられましたが、大正8年に焼失しました。この写真に写っているのは、大正13年に再建された建物(現存)で、翌年10月13日に当時の皇太子(後の昭和天皇)が伯爵邸に宿泊した際の記録写真です。
 玄関付近の建物は、現況とあまり変わらないようです。手前の石灯籠付近には、現在は上杉鷹山の銅像が建てられ、石や植物の配置も変わったので様子が異なっています。
現在の上杉伯爵邸邸については 
http://hakusyakutei.jp/  をご覧ください。
 
 この他、焼失前の伯爵邸を俯瞰的に捉えた写真や庭内の様子、同じく再建前の上杉神社など、明治後期以降の米沢の写真や絵葉書も展示しています。

お問い合わせ

米沢市上杉博物館 0238-26-8001

 

2016.03.18:denkoku:[博物館情報]

ギャラリートークのご案内

 ただいま、企画展「上杉家の古写真-伯爵の暮らしと米沢-」を好評開催中です。

 

上杉家では、幕末から昭和20年にかけての古写真を1000点以上所蔵しており、

そのうち今年度に当館で整理・調査した成果を展示しております。

 

ギャラリートークのご案内です。

 

3月12日(土)14時から、当館学芸員による展示解説を行います。

今回は、古写真と上杉伯爵邸というテーマで、学芸員佐藤正三郎がご案内致します。

ギャラリートーク後は、上杉伯爵邸見学ツアーもございます。

企画展「上杉家の古写真-伯爵の暮らしと米沢-」最後のギャラリートークになります。

みなさまのご来館、お待ちしております。

※企画展入場券が必要です。

 

 

お問い合わせ

米沢市上杉博物館 0238-26-8001

2016.03.11:denkoku:[博物館情報]

企画展「上杉家の古写真」 展示資料のご紹介 3

企画展「上杉家の古写真」、好評開催中です(3月21日まで)。

今回の展示の中心は上杉斉憲・茂憲・憲章と三代にわたる当主と、上杉家の家族写真です。
茂憲については、慶応2年に京都で撮影された青年期の姿から、明治4年頃に断髪した姿、華族として活躍した壮年期、晩年の姿、そして葬儀まで、20枚ほどの写真が伝来しています。展示では、第2章で茂憲肖像写真の大部分を年代順にご覧いただけます。
最後の殿様から、英国留学と沖縄県令、そして華族としての姿まで、茂憲の肖像からは、時代の変化を読み取ることができます。

1、京都所司代邸の上杉茂憲1枚
(慶応2年・1866) 8.7×11.3cm    

 帙に「慶応元年上洛ノ節 所司代邸ニ於テ写影」と書かれています。当時、上杉茂憲(左)は米沢藩士を率いて京都の警備にあたっていました。上杉家関係の江戸時代の写真としては、撮影の時期と場所が分かる唯一のものです。

 

2、文官大礼服を着た上杉茂憲 1枚
撮影者 G.KOBAYASHI
明治40年~大正初期(1907~1916)
22.1×14.0cm    

 茂憲の肖像として、もっともよく知られた写真です。首には明治40年に授与された勲三等旭日中綬章をつけています。戦費支出協賛の功績に対して与えられたもので、その記念写真でしょうか。同一の写真が10枚以上、上杉家に伝来しています。何らかの記念に配布されたと考えられます。

展示では、茂憲の着ている文官大礼服の現物も展示しています。茂憲の体格をうかがい知ることができる資料です。お見逃しなく。

 

お問い合わせ 米沢市上杉博物館 0238-26-8001まで

皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

2016.03.03:denkoku:[博物館情報]

上杉文華館「明治政府のもとで」

「上杉文華館」の3月の展示をご紹介します。

 当館常設展室内では国宝上杉家文書を常時見ることができる上杉文華館があります。

 今年度のテーマは「 国宝『上杉家文書』に見る幕末の米沢藩」です。

 上杉家文書のうち幕末期のものは未だ活字化されていないものも多く、初公開の資料もご紹介します。

 平成27年度、全12シリーズの最後は…

「明治政府のもとで」です。

【展示期間】:平成28年3月1日(火)

            ~平成28年3月27日(日)

 明治元年(1868)12月、奥羽諸藩に対する戊辰戦争の処罰が示され、米沢藩は藩主・上杉斉憲の隠居と茂憲の家督相続、4万石の減封、首謀者重臣の届け出を命じられました。この後、米沢藩は戊辰戦争での「朝敵」の汚名をそそぎ、「勤皇」の姿勢を示すため、中央集権体制構築を進める明治政府のもと、大胆な改革を進めていきます。

 明治2年3月、他藩の動向に合わせて米沢藩も版籍奉還(土地と人民を朝廷に返すこと)を願い出、6月に許可されると、茂憲は改めて藩知事に任じられました。改革は、斉憲が藩知事・上杉茂憲を助け、宮島誠一郎や大滝新十郎(忠義)といった新たな人材の意見を取りつつ、守旧派の反対にあいながらも実施されました。その背景には、三条実美はじめ新政府の有力者も関与していました。

 明治4年になると、士族の文武の常職解除、家産として売買可能な禄券の給付といった急進的な改革が、親戚でもある土佐藩にならって進められ、改革派諸藩として中央政局にも影響を与えます。しかし7月に廃藩置県の詔勅が出され、米沢藩は終焉を迎えたのです。

 

国宝「上杉家文書」

上杉斉憲宛三条実美書状

時代:明治2年(1869)12月22日

法量:18.3×144.0

所蔵:上杉博物館

〔解説〕

 明治政府で右大臣の要職にあった三条実美から、上杉斉憲宛の書状です。千坂高雅(号・嘉遯斉)を米沢藩大参事に任命した事情を説明している内容から、明治二年の文書と分かります。

 この書状に先立って、米沢藩では千坂を権大参事(大参事に次ぐ第二位の役職)に任命すべく政府に届け出ましたが、政府からは最高位の大参事に任じる命令が届きました。斉憲は実美にこの齟齬の理由を問い合わせ、その返信が本文書です。

 実美は、齟齬ではなく、明治政府が千坂を有用で大参事に適していると判断して任命したのであり、速やかに人事を実行するよう求めています。さらに、詳細は米沢に戻る少参事(小川源太郎)から直接聞くよう記しています。別紙には多忙なので代筆で失礼する、とあります。

 米沢藩では、戊辰戦争での「朝敵」の汚名をそそぐためにも、藩政改革と人事刷新を進めることが重要な課題でしたが、藩内には守旧派による反対の声も根強くありました。改革推進派の藩士宮島誠一郎の働きかけを受けて、三条はこの書状を出し、千坂の大参事就任を推し進めるよう、米沢藩に働きかけたことが明らかにされています。

 

◆コレクショントーク 

  平成28年3月5日(土)14:00~

担当:当館学芸員 佐藤 正三郎

場所:常設展示室 上杉文華館

※入館料が必要です。

 

上杉文華館 、平成28年度の予定は…

 「謙信を生んだ一族・長尾氏」です!

「長尾氏、越後へ」

【展示期間】:平成28年3月29日(火)~4月26日(火)

◆コレクショントーク  平成28年4月2日(土)14:00~

 

お問い合わせ 米沢市上杉博物館 0238-26-8001まで

皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

2016.03.03:denkoku:[博物館情報]