「上杉文華館」の9月の展示をご紹介します。
当館常設展室内では国宝上杉家文書を常時見ることができる上杉文華館がございます。
今年度のテーマは「 国宝『上杉家文書』に見る幕末の米沢藩」です。
上杉家文書のうち幕末期のものは未だ活字化されていないものも多く、初公開の資料もご紹介いたします。
平成27年度、全12シリーズの第6弾は…
「京都を守る」
【展示期間】:平成27年9月25日(金)~10月27日(火)
文久3年、上杉斉憲率いる米沢藩士一行は、将軍徳川家茂に供奉するため京都に上ります。開港政策を進める幕府と、攘夷(外国の排除)の実行を求める朝廷との対立が深刻化し、有力諸藩と公家を含めて政争が続き、浪士たちによる暗殺や事件が多発するなど、京都は混乱の渦中にありました。
2月30日、米沢藩は朝廷から京都の警備を、翌日には火の番を命じられました。上洛当初、米沢藩の目的は将軍の御供でしたが、朝廷の命令によって京都の警備が加わり、滞在は予想外に長期化していきます。さらに5月20日に公家の姉小路公知が暗殺されると、御所門前の警備)や犯人の探索を命じられました。長州藩が攘夷を決行すると、西欧諸国の報復を受け、世情はますます混乱していきました。
朝廷からの京都警備命令
国宝「上杉家文書」
上杉斉憲自筆伝奏達書写
文久3年(1863)二月晦日
法量:15.1×34.5
所蔵:米沢市上杉博物館
〔解説〕
第12代米沢藩主上杉斉憲に対し京都の警備を命じた、朝廷からの沙汰書の写しです。二月晦日の夜中、武家伝奏(武家への連絡・調整にあたる朝廷の役職)の野宮定功に呼び出されたので、米沢藩士・江口縫殿右衛門(親常)を派遣して受け取った、とあります。末尾には、翌日に武家伝奏や関白のもとへお礼の使者を出したことが記されています。
朝廷から米沢藩への命令は、イギリス(「英夷」)軍艦が渡来し容易でない状況なので、京都に滞在し警備にあたること、というものでした。イギリス軍艦は、薩摩藩士がイギリス人を殺傷した生麦事件に対する補償を求め、横浜に渡来し幕府に圧力をかけていたのです。朝廷が攘夷(外国の排除)を強く求める中、戦争が始まる危機感が高まっていました。
◆コレクショントーク
平成27年9月26日(土)14:00~
担当:当館学芸員 佐藤 正三郎
場所:常設展示室 上杉文華館
※入館料が必要です。
次回、平成27年度予定
上杉文華館 《 国宝上杉家文書にみる幕末の米沢藩 》
「幕府と朝廷の間で」
【展示期間】:平成27年10月29日(木)~11月24日(火)
◆コレクショントーク 平成27年10月31日(土)14:00~
.。o○.。o○ お問い合わせ 米沢市上杉博物館 0238-26-8001まで .。o○.。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。