「上杉文華館」の9月の展示をご紹介します。
当館常設展室内では国宝上杉家文書を常時見ることができる上杉文華館があります。
今年度のテーマは「 国宝『上杉家文書』に見る幕末の米沢藩」です。
上杉家文書のうち幕末期のものは未だ活字化されていないものも多く、初公開の資料もご紹介します。
平成27年度、全12シリーズの第6弾は…
「文久三年、京都へ」
【展示期間】:平成27年8月27日(木)~9月23日(水・祝)
文久3年(1863)、米沢藩主上杉斉憲は、将軍として229年ぶりに上洛する徳川家茂に供奉するため、京都へ赴きました。開港政策を進める幕府と攘夷(外国の排除)を求める朝廷との対立が深刻化し、薩摩をはじめ有力諸藩と公家を含めて政争が続き、浪士たちによる暗殺や事件が多発するなど、幕末の混乱が高まりつつある時期でした。
これに先立つ文久2年9月、米沢藩では二代藩主定勝の先例を挙げて幕府に上洛供奉を願い出、「勝手次第」という形で許可されます。明けて文久3年1月1日、斉憲一行は米沢を出発、江戸で11日間準備をし、東海道を通り、2月10日に京都に到着しました。3月7日、斉憲は御所に参内する将軍家茂の供を務めました。以後、斉憲一行は9月23日まで京都に滞在し、幕府と朝廷の間で一定の役割を果たしていきます。
将軍のお供は待機ばかりなり
国宝「上杉家文書」
参内日記草案
文久3年(1863)3月7日
法量:15.1×34.5
所蔵:米沢市上杉博物館
〔解説〕
文久三年三月七日、上杉斉憲が将軍徳川家茂の供として御所に赴いた日の日記です。別に展示中の斉憲自筆「上洛日記」の同日条とほぼ同文言です。本文書は加筆訂正の跡が多くみられることから、日記の下書きと考えられます。
徳川家茂は文久三年三月四日に京都二条城に到着し、同七日に初めて孝明天皇に面会するため御所に赴きました。この上洛は幕府にとって、朝廷との関係を改善し、改めて政務委任を受けることで威信回復を図る、一大行事でした。
一方、斉憲にとっては供のため待機するばかりで、飽きてしまうこともあったようで、この文書からはそんな本音もうかがい知ることができます。
◆コレクショントーク
平成27年8月29日(日)14:00~
担当:当館学芸員 佐藤 正三郎
場所:常設展示室 上杉文華館
※入館料が必要です。
次回、平成27年度予定
上杉文華館 《 国宝上杉家文書にみる幕末の米沢藩 》
「京都を守る」
【展示期間】:平成27年9月25日(金)~10月27日(火)
◆コレクショントーク 平成27年9月26日(土)14:00~
.。o○.。o○ お問い合わせ 米沢市上杉博物館 0238-26-8001まで .。o○.。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。