谷川賢作さんにインタビュー④

  • 谷川賢作さんにインタビュー④
公演はもう明日となりました!賢作さんへのインタビュー、最終回をお届けします。



―昨夜、Diva(現代詩に曲をつけ歌う賢作さんの音楽ユニットのひとつ)のライブを聴かせていただいたのですが、詩であれば、自分の普段の「読むテンポ」で最初から最後まで読んでしまうところを、曲がつけられ、他人の声によって歌われるのを耳から聴くことで、長い休符のあとの一言が強く印象に残ったり、予想したのとは違う言葉が現れて突然心をつかまれたり、ということがあり、読むのと聞くのとでは、だいぶ勝手が違うな、と感じました。

「そうなんですよ。詩に曲をつける、ということは、そのもともとの詩が全く別なものになることでもあるので、責任が伴うことなんです。」

―音楽によって強調される言葉が出てくると、ひとつの解釈をそこに与えることにもなりますよね。

「まさにそうですね。なので、よっぽど注意して、曲をつくらなければならないです。」

―その、詩と音楽、というまったく違う表現を選んでいらっしゃる俊太郎さんと賢作さんのなかで、なにか根底に流れている共通したもの、というのはあるのでしょうか。

「うーん(すこし考え込まれて)…笑うことと、泣くこと、ですね。人間は、このふたつができれば、大丈夫、だと思うんです。このこと(こう思っていること)は、俊太郎もぼくも、一緒ですね。共通しています。」

―…なんとも深いですね…言われてみると、わかるような気がします…大人にも子供にも共通していますし、もう本当に悲しいときというのは、涙さえでなくなる、ということもありますね…。

「うん、そうですね。舞台に出るときなんかも、子供たちの姿が最前列に見えた時には、『おなら』の詩なんかを最初に選んで、まず笑わせる。だと、子供たちが喜んで笑う。そうしたら、そこからはもう大丈夫、という感じですね、まず、会場の空気をつかんで。」

―なるほど…まだ、お話を伺っていたいのですが、そろそろお時間となりました。俊太郎さんと賢作さんが作品を通して一番伝えたいメッセージ、について最後に教えていただきたいのですが…。

「うーん、メッセージ、というのが…、今は求められすぎている、と思うんですよ…。大事なこと、というのは、もっとそうじゃない、もやもやとして訳のわからないところにあるんじゃないかな、と思うんですよ。そこをうまくなかなか伝えられないんですけど…」

・・・・

最後の一言に、こちらもはっとさせられながら、インタビューは終わりとなりました。ピアノで奏でる音楽に言葉は必要ありませんが、そのピアノを演奏する賢作さんの内側の言葉や深い考え方が伺えた、貴重な時間でした。

その後タクシーに乗られる際に、米沢のみなさんへ、なにか…と尋ねたところ「…米沢は文化度の高いところだからなぁ…、勝負しましょう。」と挑戦的に(?)言い残していかれました。みなさん、この勝負、受けて立たなければいけません!とはいえ、決闘ではありませんので、ぜひ、そんな賢作さんの人柄とピアノと、俊太郎さんに会いにいらしてください!

多くの人にとって「谷川俊太郎」という詩人は“敬愛の対象”であり、“先生”であるところを、賢作さんは息子の立場から「僕だけが俊太郎を“いじる”ことができるんですよね。」と言われました。確かにCD『家族の肖像』をはじめとしたお二人のコラボレーション作品は、詩人とピアニストが親子でなければ、生まれなかった作品だということを、あらためて思い出しました。当日は書籍やCDの販売も予定しています。また、7/5付山形新聞夕刊にも、インタビューの模様が掲載されました。合わせてご覧ください!


■公演情報
「谷川俊太郎・谷川賢作 語られる音と奏でられる言葉」
7/8(火)18:00開場 18:30開演
全席指定 一般2,500円 学生1,000円(当日券500円増)※未就学児はご遠慮ください
お問合せ・チケット予約:伝国の杜0238-26-2666 

※前日までお電話いただけましたら、前売料金で予約を承ります。当日は朝から電話予約・窓口とも当日料金となりますのでご注意ください。
2008.07.04:denkoku:[ホール情報]