倒産企業に学ぶ

 経営家者は、常に会社を安泰にもっていくために安全経営を考える。危険な橋は渡りたくない。人が渡っているのを見ても万が一の事を考え、石橋を叩いても渡らない保守的な態度をとる経営者もいる。そのようにすることが一番安心だと思っているからである。それが、新しい時代になっても、あいも変わらず式のやり方をしても成り立っていくのだからこれでよいのだと、ついつい慢心経営になって時代に取り残されていく。

 産業構造が変わるとき、異種業界に進出するとき、新しい理論や技術革新を軸として事業を起こすとき、これらはすべてベンチャービジネスである。かってスーパー理論が入ってきたとき、百貨店と小売店の間隙を狙ったスーパーマーケットは、ベンチャーであった。

このままで何とかやっていけると思うから、それがたまたま続くと慢心経営になる。頑強なまでに自説を固持しているから、気がついたときにはすでに遅く、それから先は倒産への道しか残されていない。安全経営は安心経営に連なり、それが慢心経営となって倒産していくのだ。企業経営の道は遠く、また厳しい幾山河を乗り越えていかねばならない。それがためには、常に危機感をもつことである。このままのやり方でよいのだろうか、今歩みつつある道は間違っていないだろうかと、政治、経済、経営、管理の移り変わりを内外ともに注視し、自社のやり方を批判し、反省していくことである。

惰性に流れた経営、時代の変化とは無縁の自分のやり方を変えようとしない経営者。一発当てた味が忘れられず、商人の本質を忘れ投機に走る経営は、いつかは蹉跌をきたすものである。商売とは原価と売値の差を追い、経費を支払えるよう、常に顧客の動向をつかみ、顧客指向の姿勢が第一であることを忘れてはならない。


2006.10.20:反田快舟:[経営箴言]

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