日本の医療機器メーカーで画像処理技術を担当していた渡辺は、43歳で部長に昇進、開発の場を離れた。
予算の管理や社内調整に追われる中で、湧き上がってきた思いがあった。
「自分がワクワクできないという、ある意味での失望感。これでは自分が働いている意味がない」
辞表を出した後、会社を立ち上げようとシリコンバレーに乗り込んだ。
投資家を訪ね歩きプランを説明。独創的なアイデアに懸けてほしいと願い出た。
しかし、投資はなかなか得られなかった。
何とか会社設立にはこぎ着けたものの、逆境はつづき社員7名を抱えて倒産の危機に瀕した。
家族も連れてきた異国の地で、眠れない日が続いた。
追い詰められたある日、こう思った。
「悩んでいるだけのこの時間を、次の手立てを考える時間に使おう」
徹夜の研究が続いた。回り道になろうが、行き止まりにぶつかろうが、必死にもがき続けた。
そして三年。出来上がった製品は異例の高評価を受けた。
ある人が言った、「あなたのような開発を、泥の中をもがきながらのブレイク・スルー、マドル・スルーといいます」。
渡辺がシリコンバレーで認められた瞬間だった。
(プロフェッショナル仕事の流儀14 File No.42より)
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破壊的な創造性を持たせるには
破壊的な創造性とは、今まで他の誰もが考えられなかったようなことをあえて見つけようとする意思ですね。
いろいろな人がいろいろなことを言っているけれど、それらをすべて疑うことのできる芯を持つことだと思います。
ただし、それは多産多死になるわけですから、多くの失敗も覚悟しなければなりません。
それを限られたリソースの中でいかにやりくりするかが難しいところです。
そんな破壊的創造ができる人は、一見おとなしい人の中にもいます。
おとなしいゆえに、その能力はすぐには見いだされないし、引き出そうと思っても自分から引っ込めてしまうことがある。
だから、「この人は何か面白い芽を見つけているんだろうな」という感覚を持ったら、どんどん励ましてあげることですね。
ただし、それになじまないタイプもいて、むしろ苦痛に感じてしまうことがある。
だから、初めから枠を決めて接しないことです。
一緒に遊ぶのがいいと、私は思うんです。
何か面白そうなテーマをやってもらい、どこまでいけるのか見てみる。
そういったチャンスを、おとなしいタイプの人にも与えることは、可能性を見出す一つの方法として有効だと思います。
By渡辺誠一郎
(プロフェッショナル仕事の流儀114 File No.42より)
いろいろな人がいろいろなことを言っているけれど、それらをすべて疑うことのできる芯を持つことだと思います。
ただし、それは多産多死になるわけですから、多くの失敗も覚悟しなければなりません。
それを限られたリソースの中でいかにやりくりするかが難しいところです。
そんな破壊的創造ができる人は、一見おとなしい人の中にもいます。
おとなしいゆえに、その能力はすぐには見いだされないし、引き出そうと思っても自分から引っ込めてしまうことがある。
だから、「この人は何か面白い芽を見つけているんだろうな」という感覚を持ったら、どんどん励ましてあげることですね。
ただし、それになじまないタイプもいて、むしろ苦痛に感じてしまうことがある。
だから、初めから枠を決めて接しないことです。
一緒に遊ぶのがいいと、私は思うんです。
何か面白そうなテーマをやってもらい、どこまでいけるのか見てみる。
そういったチャンスを、おとなしいタイプの人にも与えることは、可能性を見出す一つの方法として有効だと思います。
By渡辺誠一郎
(プロフェッショナル仕事の流儀114 File No.42より)
シリコンバレーは技術者を幸せにするか
私はシリコンバレー至上主義ではありませんが、
個人の専門性を生かせる環境の方が幸せになれるタイプは、日本人の中にも恐らく大勢いると思います。
実際、社長よりも技術者の方が高給取りだったりします。
要するに、その人の“かけがえのなさ”で値段が決まるという感じです。
シリコンバレーには、外国人が起業した会社がものすごく多いんです。
ただし、日本人は少ないですね。
日本は非常に恵まれた環境にあったので、あえて外に出てリスクをとる必要がなかったのかも知れません。
もっとも、最近は増えています。
どんどん起業家に出てきてほしいですね。
By渡辺誠一郎
(プロフェッショナル仕事の流儀14 File No.42より)
個人の専門性を生かせる環境の方が幸せになれるタイプは、日本人の中にも恐らく大勢いると思います。
実際、社長よりも技術者の方が高給取りだったりします。
要するに、その人の“かけがえのなさ”で値段が決まるという感じです。
シリコンバレーには、外国人が起業した会社がものすごく多いんです。
ただし、日本人は少ないですね。
日本は非常に恵まれた環境にあったので、あえて外に出てリスクをとる必要がなかったのかも知れません。
もっとも、最近は増えています。
どんどん起業家に出てきてほしいですね。
By渡辺誠一郎
(プロフェッショナル仕事の流儀14 File No.42より)