WBC日本代表の皆さま。そして日本代表を応援していた皆さま。
WBC優勝おめでとうございます。
今回は、不振だった村上選手のサヨナラ打や吉田選手の3ランなど感動した場面が沢山ありましたが、
私がもっとも感動したシーンは大谷選手の「最後のマウンド」と試合前と後の「言葉」でした。
そのシーンを振りかえってみたいと思います。
決勝のアメリカ戦、1点差で9回のマウンドには先発で2勝していた大谷選手が上がりました。
この日、大谷はDHで4度打席に立ち2度出塁してユニフォームのひざ下は泥まみれでした。
まずは先頭打者、昨年ナ・リーグ首位打者のジェフ・マクニールに粘られてフォアボール。
次の打者は、2018年ア・リーグMVPのムーキー・ベッツで正直これはヤバいかなと思ったが、
内野ゴロゲッツーに仕留めて2アウトランナー無しで、勝利まであと一人という状況になる。
そして、3人目の打者は、アメリカチームの象徴でMVP3回受賞の強打者マイク・トラウト。
メジャーではチームメイトで、一番対戦したい選手が最後に回ってくるという映画のような展開。
大谷は100マイル越えの速球を連発し、最後はフルカウントからのスライダーで空振り三振。
グローブもキャップも投げ飛ばしマウンドで雄たけびを上げ喜びを表現した姿に感動しました。
この日の試合前、ロッカールームで声出しを務めたのは大谷でした。
第一声は「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう」でした。その真意を続けます。
「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、
外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手
たちがいると思う。」
「憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので
今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」
そう言うと、決意を込めた表情で「さあ、行こう!」と鼓舞しました。
ロッカールーム全体に拍手が響く。大谷の一言で最高のムードができた。
「二刀流は無理だ」と批判の声もあった中、メジャーに挑戦し成功した大谷の言葉だから意味があり
そして選手達に響き、選手たちの大きなチカラになったと思います。
選手達は奮起し、投手陣は6人のリレーで8回まで強力打線のアメリカを2失点に抑えました。
20歳の高橋投手が、トラウトから三振を奪うなど若手投手も活躍しました。
打者は、アメリカと同じソロホームランが2発(村上と岡本)飛び出しました。そして地味ながら
ヒットとフォアボールでつないで、内野ゴロで挙げた1点(2-1とリード)がポイントでした。
このつないで取った1点のリードが投手陣にとっては大きく、結果的に大きな1点だったと思います。
試合後、インタビュアーから「これで日本の野球が、ますます世界で注目されていくと思いますが」と
問われた大谷選手は次のように答えたのがとても印象的でした。
「日本だけじゃなくて、韓国もそうですし、台湾も中国も、その他の国も、もっともっと
野球を大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できたことが良かったなと
思いますし、そうなってくれることを願っています」
プレーで人々に感動を与え、対戦相手をリスペクトする姿勢が素晴らしかったです。