老兵の半生(友達)

ある休日、弟弟子の千ちゃんが、見知らぬ男の子を連れて
きました。「善治ですよろしく」「良夫ですよろしく」
二人とも私と年齢は同じか一つ上くらいでした。
善ちゃんは、角刈りの頭で背は、170くらいですが
逆三角形のがっしりした体格でした。良ちゃんは同じ位の
背丈ですが、なで肩の優男でした。
善ちゃんは、彫金見習い、良ちゃんは大工見習い
いずれも地方より、上京していました。
「今日は雷門に遊びに行こう」善ちゃんがそういうと
みんな「いこう」「いこう」初めての出会いなのに
みんなすっかり意気投合です。
当時都電がどこまで乗っても片道13円で、往復買うと25円
でした。タクシーが小型で一区間が、60円
善ちゃんが「タクシーで行こう、60円でいけるところで
降りそこから歩いてすぐだから。」
「都電より2円高いが、一人15円だから、そんなに違わない」
そう言うと彼は、さっと右手を上げ、黄色いルノータクシー
をとめました。その時から彼はもう我々のリーダーでした。
その後仕事を終われば、銭湯に行くのも何をするにも
4人の仲間は、一緒でした。
色々な交友関係を、重ねていくうちに、様々な情報の中で
自分の将来を見たような気がして、とても憂鬱になってきた
のも、事実でした。
・・つづく・・

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