老兵の半生(初恋)

「お兄ちゃん、西瓜食べない」休日なのに、小遣いも無く
暑くて、ドァーをあけっぴろぎで、三畳の部屋で
ごろごろしていた私に、セーラー姿の隣の部屋の高校生が
三角に切った,数切れの西瓜をお盆に乗せ、入り口前で
声をかけてきました。
朝夕顔をあわせる、事があっても話はしたことも
無かったのです
その子は、大阪に実家があって、
東京の大学を目指しているので
高校は東京のある有名高校を受験し、商社に勤めている
お兄ちゃんの部屋に、同居して高校に通学していました。
少し小太りの眼のくりくりした、丸顔のセーラー服が
よく似合う可愛いこでした。年は一つ上なのに、私には
もっと年上のお姉さん的感じでした。
時々話しをするようになりましたが、そのご2ヶ月くらいで
引越しして行きました。
不思議と今でも名前だけは、覚えています。
私もまもなく、この職場をやめ在京の従兄弟の紹介で
浅草にある、靴職人の親方の所に、住み込みで弟子入れ
したのも、多分その子が、引越ししていったのが原因
であったろうと思います。
陽炎にも似た、私の17歳の初恋でした。
・・つづく・・

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