老兵の半生(背中)

昭和23年、私小学校2年生一年間右足治療のため、小学校を
全休したため、落第し一年下の学年で2年生の仲間入り
未だ完全に治癒したわけでもないので、松葉杖の助けを
借りないと歩行困難な状態でした。
早生まれのせいかあまり、級友との年齢による違和感は
無かったです。
その頃一番の楽しみが、映画鑑賞でした。長井小学校から
隊列を組んで、駅前にある「菊水館」まで距離にして約2k弱
ありました。担任の先生は白鷹町より嫁いで着たばかりの
若い女の先生でふっくらとした美人でした。
玉虫色の道行きを羽織った着物姿で、もんぺを履いた姿は
優しさも加えて、学年の先生がたのうちでも、子供達には
人気ばっぐんでした。
映画鑑賞の日校門の前で、しゃがんで私に背をむけ「負んぶして
行こう」「・・・・・」私はもじもじしていると、「早く」
と声をかけられ、先生の背中に負んぶして「菊水館」までの
往復の道のりを、先生の背中のぬくもりを感じながらの
ひと時を過ごしました。
先生のうなじに、光る一筋の汗を今も鮮明に記憶してます。
今教育機関の中で、様々な不祥事が報道されていますが
「我伝引水」自分だけ楽しよう、自分の利益優先が闊歩する
風潮の中、この先生のような人が沢山いれば、子供達
にも、もっと素敵な人の心を大切にする考え方を、教え込んで
いける様な気がします。

先生は今もご健在で、ご活躍なさっています。

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