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§16 敗者型の親について

お母さんの気分、都合で、『買いたくないけれど、しょうがない』と思いながらついつい子どもの要求とおり買ってしまうことはあると思います。
そういう親の行動をみて、子どもは次第に要領よく要求してくるように育っていきます。
そうなると親は、いやいやながら子どもの欲求に屈してしまいます。
 敗者型の親とは、親と子が対立したときに、親が負け、子どもが勝つ型です。
親は普通、親の意見を押しつけようとした後に、子どもが親の言うことを聞かないと仕方なく負ける方にまわることがあります。
そしてその時親は、「我が子はどうしてこんなに我が儘なのだろうか。どうして親の言うことをわかってくれないのだろうか。」と悲しく情けなくなります。
この悲しい気持ちが子どもに伝わり、子どもは 「親は自分を愛していない。好いていない」といった、親の愛情に対して不安を持つようになります。
親の愛情を確かめるためにエスカレートしていくことがあります。

また、自分の気持ちをすべて受け入れられてきた子どもは社会にでたときに、適応するのが難しくなりがちです。社会はまだまだ力で行動を管理する場合が多いと思います。


 講座の中で、今の職場の上司と私の関係が、まさにこれです!と言った受講生さんがいました。
上司が敗者型の親ですというのです。
組織を活性化しようと提案書を上司に持って行くと、「わかった、検討する。」とすぐ受け取ってくれるが、
実は面倒くさい・取り合えす受け取れば文句言わないだろう・という上司の気持ちが、本当にビシビシ伝わってくるのだそうです。
※講座修了後、受講生さんから、「わたしメッセージで簡潔に伝えるよう心がけたことで、相手にスマートに伝わり問題が解決した。」と報告がありました。

2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§15 勝者型の親について

親子の間では、普通対立はつきものと言われています。
その時の親の対応の仕方は、勝者型・敗者型・動揺型・勝負なし型の四つのタイプに分けられます。
 勝者型タイプの親は、対立したとき、親がすべて解決策を決めて親の言うとおりに子どもを従わせます。
子どもがその解決策に従わない場合は、従うまで力ずくで説得します。
 この場合は親が勝ち、子どもが負けです。
相手が勝ち自分が負けた時、その人間は勝った人間を好ましいとは思いません。
親が勝てば、子どもは親に不満を感じます。解決策を押しつけられた子どもは、それを実行したいという自主的な気持ちが持てないのです。
もしここで従わなかった場合、親の罰が怖いので『そうせざるをえない』という気持ちで従ってしまうことになり、不満を感じながら行動するわけです。
だから親に対してよい感情を持つ訳がないのです。
これは決して親子関係でなく、人間関係すべてに言えることでしょう。
 「親の権威、権力」を使って子どもに何かさせようと強制した場合、
子どもが自らを律すること、
また責任感を学ぶチャンスを
奪ってしまっているといえます。
例えば、親の見ているところではよい行動をし、
見ていないところでは親の意に反する行動をする、といった子ども等が
その例と言えます。
自分より力のある人が何かを自分に押しつけてきたとき、
人間のとる反応は、大体次のように分類されます。
反抗、恨み、報復、嘘をつく、つげ口、弱いものイジメ、負けず嫌いになる、従順、ご機嫌とり、新しいことをやるのを恐れる等、
親が勝ってばかりいると、
以上のようなものを子どもの中に植え付けていることになります。
親の押しつけに対する子どもの対応は戦闘性(反抗・恨み・報復等)と従順性(従順・ご機嫌とり・新しいことをやるのを恐れる等)
とに大きく分けることが出来ます。

 親の言うなりに育てられた子ども達が、大変多くなったと感じられます。
親が勝ち子どもが負けている状態は、親にとって都合がいいし、よい子なのかもしれません。
でもここで考えなくてはならないことは、
その子どもが大人になったとき、自立(自律)をしていない、
自主性のない人間になってしまうのではないかということです。

2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§14 親と子の対立について

親子の間には、どんな家庭でも大なり小なりの対立はつきものです。
内容は小さな意見の相違から大きなケンカを伴うものまで、いろいろあります。
親と子といえども別の考えがあり、感じ方が違うのですから対立があるのが当たり前といえるでしょう。
子どもも一人の人格を持った人間であり、親の所有物ではないのですから、
親のいいなりになってもらっては逆に困るわけなのですが、
あまり子どもが自分の意見を通そうとし、親のいうことを聞かないと、
『親という役割業』を辞めたくなることもあるでしょう。
 よく夏休み前になると
「夏休みの間子ども達とケンカをしないで過ごすにはどうしたらいいのでしょうか。」
と質問が多くなります。
子どもも大きくなってくると小さいときと違って自分の意見を通そうとしますし、
親も自分の意見を言い聞かせようとします。
そこで対立が起こるわけです。
意外に子どもの意見を聞いていると『なるほど』と思うときがあるのですが、
そのときはすでに遅くお互い引っ込みがつかなくなってしまっていることがあるものです。
対立したときは相手と口をきくのはイヤになりますね。

 親業訓練講座を提唱した臨床心理学者のトマス・ゴードン博士は、
「対立は人間関係の真実の瞬間である。」と言っています。
対立は必ずしも悪いことではないと言うことです。
たとえ親子といえども、
別の人格を持った人間がいつも同じように、考えたり、感じたりすることはないということです。
人間が二人いれば、対立はあるのが当たり前といえるでしょう。
親と子の間に対立をなくそうとするよりも、当然でてくる対立をいかに解決するかの方が重要でしょう。
対立をいかに処するかで親子の関係を強くもし、弱くも出来ます。
親子が互いにしっかりした絆で結ばれるか、
あるいは心理的な傷を後まで残すような破壊的な関係へ進んでしまうことになるのか、
いずれの可能性も含んでいるのです。
「対立が何度起こるかではなく、いかに解決されるかが、あらゆる人間関係を左右する決定的要因である。」
とトマス・ゴードン博士(親業訓練講座の提唱者)は言います。



2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§13 明子さん(仮名)のお母さんの受講の動機

今年の4月に高校を卒業して、専門学校に入学した明子(仮名)は、5月の連休明けから学校に行けなくなりました。
連休前も明子(仮名)は、重い足を引きずつて行っているように感じてはいましたが、
新しい環境だし、遠い学校だから慣れるまでは仕方が無いと思っていました。
うちは夫と明子(仮名)弟の4人家族です。小中高の受け持ちの先生方には、「おとなしく 素直で本当によい子です。」と必ずほめられる素直な子どもでした。
成績は中の上位、私はもう少し意欲的になって勉強すれば成績も上がるのでないかと思っていましたが、
でも女の子だしそんなに勉強だけできてもなぁ、そんなことを思っていたのです。
ずっと親のいうことをよく聞くし、何か行動する時は私にもきちんと断り、几帳面な子でした。
でも今から思えば、人から誘われると出かけるけど、あまり自分から遊びに行くこともなく、元気がある方でもなかったです。
高校卒業後の進路についてもアドバイスはしたけれど、明子が自分で選んだと思っていました。
7月に入り、明子からこんなことを言われて驚きました。
『私は今まで何のために生きてきたのだろう。
親に言われるまま素直に聞くだけで、自分で考えて行動したことは何も無い。
学校もお稽古事も全部お母さんの希望だった。
もう一度人生をやり直したい』
それで、私は親子のよい関係を作れるという親業の講座を受講することにしました。

 24時間のプログラム終了時に、明子さん(仮名)のお母さんはこう言いました。
子どもと自分は違う人間なんだ、考え方が違っていいんだ、それは当たり前のことなのですね。
私は子どものためと言いながら、子どもを親の指示通り動かしてきてしまったのですね。子どもを自分の所有物のように考えていたのですね。


 毎日の生活の中で知らず知らずのうちに親は命令して、子どもの行動を変えさせようとします。
でも行動を変えるのは何歳くらいまででしょうか。。
 力の押しつけではなく、親が言ったことで子どもが行動を変えやすいのは、『わたしメッセージ』であり、
親子がよい関係であるということが絶対必要条件ではないかと思われます。
それには小さいときからの関わりが大切だと思うのです。






2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§12 親の気持ちの伝え方

私たち親は、子どもに対して 「○○しなさい。」と命令口調で子どもの行動を変えようとしがちです。
しかし、子どもが大きくなるとなかなか言うことを聞かなくなってきます。

 高校生の順子ちゃん(仮名)の家庭は一人っ子であるということもあって、遅く帰って来ると両親は心配でたまりません。
門限を少しでも過ぎると両親で怒ってしまいます。そのたびにお互いイヤな思いをします。
ある日順子ちゃん(仮名)が
「我が家の両親は厳しくて怒ってばかり、早く高校を卒業して家を出たい。」
と友人に話しているのが聞こえてきました。
『私はそんなにうるさい親なのだろうか。確かに早く帰って来いとは言うけれど、
わたしにとってはかけがいのない子どもで可愛くてしょうがないのに。
どうしてわたしの気持ちが伝わらないのだろう。』
そんな思いで順子ちゃん(仮名)のお父さんお母さんは、親業の勉強を始めました。
「わたしメッセージ」で順子ちゃん(仮名)に伝えるようになって少し経つた頃、
順子ちゃん(仮名)が友人からの誘いを
「私は一人っ子だから両親はわたしが遅くなると心配でしょうがないみたいで、あまり心配させたくないからダメなの」
と誘いをことわっているのを聞き、気持ちをわかってもらったと嬉しかったそうです。
今までも同じ気持ちでいたのに、言い方一つでこんなにも違うのかとびっくりした、と話してくれました。

 私たち親は、子どもが可愛いから毎日一生懸命子育てをしています。
何か子どもに問題が起こると、こんなに一生懸命関わったのにどうしてわかってもらえないのかと思うこともあると思います。
でもそれは決して間違っていたわけではなく
同じ一生懸命でも親の気持ちが伝わらなかっただけだったのです。
「わたしメッセージ」で親がイヤだと思っていることを伝え、
子どもが困って悩んでいることを聞く(白いボールは白いまま返す)ことは、
人間関係を水平な形でお互いを大切にして関わり合っていることになります。
それによりいい関係が生まれてきます。
あなたも大切、わたしも大切である人間関係は、お互いの人格を大切にすることです。
あなたと私の間に水平に架け橋のかかっている状態であれば、
架け橋をつかい躾をしたり、
自分の価値観を伝えることは出来るのではないでしょうか。
2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]