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長井古写真物語 100 株式会社羽前銀行 長井支店

  • 長井古写真物語 100 株式会社羽前銀行 長井支店

古写真から情報を読み取ります。長井の昔を楽しんでください。「長井市文教の杜」に保管している古写真のコレクションを紹介します。

 

 

   羽前銀行長井支店の建物 現在のNTT敷地にあった 

   緑色のタイルが貼られていた

    昭和28年8月15日撮影 山形県中央信用組合三十年史より

 

羽前銀行は昭和3年10月10日、赤湯銀行・沖郷銀行・荒砥銀行が合併し、荒砥町大字石那田958番地に資本金100万円をもって新立された。長井町には、長井町大字宮境町西1 460番地2(現NTT敷地)に長井支店が昭和4年10月、設置された。他に赤湯と沖郷郡山、高擶(たかだま)村(現天童市)に支店が置かれた。昭和12年11月4日には小国村に支店が置かれる。昭和15年8月1日には両羽銀行に合併、羽前銀行は姿を消す。これが羽前銀行の歴史だが、建物の歴史は波乱に富む。

ここで、山形中央信用組合の歴史が登場する。当組合の前身は、昭和26年4月10日に大蔵大臣の認可、そして4月14日に開店する「置賜信用組合」。認可申請の所在地には「長井町大字宮境町西1 460番地2(現NTT敷地)」と書かれている。開業して間もない昭和27年、敷地が電報電話局に売り渡されことになる。当組合は困り果て、電気通信大臣:佐藤栄作に陳情書を提出。そこに、この建物の流れが浮き出てきた。その内容を要約すると・・・・

羽前銀行の建物は、西置賜商業統制組合(戦中、昭和16年以降、全国に作られ統制された)が使用していた(統制組合の前には西置賜商業組合が入居)が昭和26年に清算し解散することから、3月に置賜信用協同組合が入居して、設立の準備をする。建物の建坪は50坪。他に倉庫2棟が建ち敷地は400坪であった。無事開業するが、電報電話局の敷地となるため、やむなく移転をすることに。

移転先は「長井町境町東1 421番地」でちょうど真東だった。建物を道路横断して曳き移転した。請け負ったのは現在の四釜建設、80万円の予算で昭和28年9月15日の竣工予定だった。

昭和34年には山形県中央信用組組合に改称、昭和42年5月1日に新建物が現在地に完成開業し、旧羽前銀行の建物から離れることになる。建物のその後の顛末は残念ながら不明だ。

 

     昭和34年以降の写真 入口部が増築されている

 

昭和37年の写真 右側に旧羽前銀行長井支店の建物  その隣は長井市消防署  左に建設中の長井郵便局

 

(協力:山形中央信用組合)

 

 

 

2015.02.23:n-old:[歴史的建造物]

長井古写真物語 99 両羽銀行長井出張所と長井支店

  • 長井古写真物語 99 両羽銀行長井出張所と長井支店

古写真から情報を読み取ります。長井の昔を楽しんでください。「長井市文教の杜」に保管している古写真のコレクションを紹介します。

 

  長井市宮十日町にあった両羽銀行長井支店

      大正3年発行「新装の長井」グラビアから

 

両羽銀行(現山形銀行)は、明治29年4月14日に山形市に開業した。長井町にお目見えしたのは明治30年3月15日、長井町宮十日町635番地(第八十八国立銀行長井出張所内)に「両羽銀行長井出張所」として開設し同年4月1日に開業した。明治30年6月30日に第八十八国立銀行長井出張所が廃止となり、その業務を引き継ぐこととなる。明治33年11月6日、同じ十日町560番地に移転。明治34年8月1日には長井出張所から長井支店に昇格した。上記写真は十日町560番地にあったときのもの。

 

 

大正15年9月25日、宮境町東2 428・429・430番地に新築移転する。赤レンガ造りだった。両羽銀行はその後昭和15年8月1日、羽前銀行を買収、昭和16年11月1日羽陽銀行を買収、昭和40年には山形銀行と改称した。

2015.02.20:n-old:[歴史的建造物]

長井古写真物語 98 株式会社 第百廿五銀行支店

  • 長井古写真物語 98 株式会社 第百廿五銀行支店

古写真から情報を読み取ります。長井の昔を楽しんでください。「長井市文教の杜」に保管している古写真のコレクションを紹介します。

 

 

この写真も前回に続く、大正3年発行の「新装の長井」グラビアから写し取ったものなので、見にくい点はご容赦願いたい。「新装の長井」は大正3年11月3日、長井駅開業・鉄道開通・電気通電を記念して、民間で作られた町勢要覧。その中に多くの当時の情報が詰め込まれている。

株式会社 第百廿五銀行の前身は、明治11年12月19日から明治30年8月まで開設された株式会社 第百廿五国立銀行で米沢に。その後明治30年8月11日に株式会社 第百廿五銀行となり、昭和2年4月11日まであった。その年に買収される。長井支店の開設年、閉設年は不明だが、本町の郵便局北にあった。大正3年当時の支店長は石口寅之助。

2015.02.18:n-old:[歴史的建造物]

長井古写真物語 97 株式会社 長井銀行

  • 長井古写真物語 97 株式会社 長井銀行

古写真から情報を読み取ります。長井の昔を楽しんでください。「長井市文教の杜」に保管している古写真のコレクションを紹介します。

 

       明治41年の絵葉書

 

株式会社長井銀行は明治30年10月27日、長井町小出2458番地に資本金6万円で設立された。前身として明治24年3月に共(芝)興会がある。()書きはどちらか確認できていないため。明治37年11月にあら町(現越後屋呉服店北)に移転する。下記の写真は、大正3年に発行された「新装の長井」のグラビアに掲載されたもの。ちょっと見にくいがお許しいただきたい。大正3年当時の頭取は横山孫助。長井銀行は昭和8年8月11日に羽陽銀行に買収され、姿を消した。

 

 

       新装の長井のグラビアページ

2015.02.16:n-old:[歴史的建造物]

長井古写真物語 96 最初の郡会議事堂

  • 長井古写真物語 96 最初の郡会議事堂

古写真から情報を読み取ります。長井の昔を楽しんでください。「長井市文教の杜」に保管している古写真のコレクションを紹介します。

 

旧郡会議事堂のことは、旧郡役所とも幾度もでてきたが、旧郡会議事堂ができる前の「初代郡会議事堂」のことは、あまりわからなかった。写真も見つかっていなかった。

大正3年に発行された「町勢要覧」のグラビアに「置賜織物同業組合事務所」として掲載されていた写真があった。洋館である。そして、同じ町勢要覧に地図(略図)がついているが、現在の文教の杜のところに、「織物事務所・郡役所・郡会議事堂」の表示がある。

この地図の「織物事務所」こそ「置賜織物同業組合」の事務所ではないか、と考えた。これまで謎だった初代郡会議事堂がわかるかもしれない。要覧のグラビアの置賜織物同業組合事務所の写真には、これまで見たことのない洋館が写っていた。

 

  要覧のグラビアページ

 

もしこれが初代郡会議事堂であるならば、長井市史によれば6間・10間の洋館。人の背丈から見ると、サイズ的には合致している。郡役所は15間・4.5間。郡役所は東側から見ると横長だが、初代郡会議事堂は縦長ということになる。

町勢要覧は「立原和愛・加藤数馬」が発行、大正3年というと長井駅が開業した年で記念に作られたものだ。その中に添付されている地図を下に示す。

 

    宮地区の部分図

 

現在の文教の杜部分拡大図。今は郡役所しか残っていない

 

当時は、洋館が3棟並んで建ってたのだろう。全景写真も残っている。

 

 

北側手前が郡会議事堂、真ん中が郡役所、そしてその南に初代郡会議事堂(屋根の部分が写っている)。堂々とした風景だったにちがいない。それぞれの写真は以下のとおり。初代郡会議事堂は、以下の資料から推定したもの。

         新郡会議事堂   

 

                西置賜郡役所

 

  上記写真の左部のアップ。下記写真の北面が写っている

 

      置賜織物同業組合事務所:初代郡会議事堂

 

このように、洋館が3棟並んでいた。初代の郡会議事堂のバルコニーには屋根がかかり、窓は郡役所と同じ上げ下げ式。

この3棟に関することが長井市史に載っている。抜粋して下記に記す。

 

■西置賜郡役所 明治11年11月に落成 12月1日に開業式 

            勧進代獅子踊・河原沢村神楽

            明治11年11月23日~29日 一般観覧許す 

 

■郡会議事堂(初代)に附属する土蔵 建築落成 明治17年度 

■議場建築(初代)  明治20年度 梁間六間、桁間十間、二階造西洋風の造作。予算千円

■新郡会議事堂建築案まとまる 明治44年 特別会計で  

 初代議事堂の売却金も充てる

 議事堂建設設計費として150円 

 議事堂新築 

 

 

その時の建議書は下記のとおりだ。

 

  建議書

一、  明治四十四年度に於いて西置賜郡会議事堂を改築せらん事を望む

理由  

本郡会議事堂は建設以来、年所を経て大に腐朽頽廃(たいはい)の状を呈せるのみならず、旧式の建築なるを以って、其の設計宜(よろ)しきを得ず、実際の不便甚だ少なしとせず。且(か)つ堂狭隘にして、多数の公会に適せざるの憾(うらみ)あり。

随(したがっ)て郡会益に至大の関係ある教育、勧業等、各種の品評会、展覧会等を開催する場合の如き、之を利用するの便益を得ること能(あた)わず。其の結果、郡事業の発展を沮碍(そがい)するに至るなきことを保せず。

今や社会の趨勢は、益々之に応ずべき相当施設を為する最も緊要なるを認むるに依り、明治四十四年度に於いて、郡有苗圃地を該敷地に充用し、以上の欠陥を補うにるべき、相当設計の下に、比較的完全なる議事堂を建築せられん事を望む。

即ち当局者は速かに郡会議事堂建築に要する具体的成案を作り、其予算を郡会に附議せられ度(た)し。而(しか)して其経費支弁の方法は、之を特別会計となし、郡蓄積金及び中学校設備積立金を、其歳入に繰入れ、以て郡財政の調和を得せしむることとし、之が工事は、年度開始と共に成る可(べ)く速やかに着手して、本年冬期前に竣工を告げしめ度く、又、在来の議事堂は、改築予算の成立と同時に、随時契約を以て、郡公益に関係ある置賜織物同業組合へ、相当価格にて、特売するの提案を発せられんことを望む。

右郡会の決議に依り、建議候也

明治四十四年二月八日     西置賜郡会議長  菅 四郎兵衛

   西置賜郡長  武石速水 殿

 

建議書は直ちに採択され、新郡会議事堂は明治44年10月に完成した。

 

■置賜紬織物同業組合のこと

西置賜郡紬織物同業組合 認可 明治35年12月  設立総会は明治36年6月2日郡会議事堂で 

置賜織物同業組合に改名  明治43年4月  

置賜織物同業組合終わる 企業整備令により 昭和16年12月

西置賜郡立図書館・物産陳列館 大正4年11月12日に開館 

現在の中村循環器科医院あたりに。郡制廃止後、置賜織物同業組合の事務所に。戦後中央会館の建物に

郡区町村編成法は明治11年7月22日

 

■長井紬(本場米琉)の歴史 川村吉弥 著 発行:昭和50年8月31日

織物組合事務所のところを抜出し、そのまま記述する。

 

 組合事務所

置賜織物同業組合が初めてつくられたのは、明治36年9月のことであるが、創設当時の事務所は当然のことながら間借りの借家住まいだった。その場所は長井市小出本町で、森旅館すなわちいまの末広の向かいであった。つまり今の竹田市太郎さんの場所に当たる。

 次には同じ本町で故佐藤門右衛門さんの店先を借りて移った。もとの郵便局今の山形殖産相互銀行の向かいの家だ。今はオリエンタル電器店というようだ。

 そこも移らなければならなくなったので、今度は長井町役場といっても今は小野医院の向かいの小松安兵エさんの家に引っ越した。これで三度変わったわけだが、今度は相当長くおられる所というので宮境町(栄町)446番地大木周益医院を貸してもらって移った。それは明治43年1月1日のことだ。今は置賜石油のスタンドに変わったけれど。

 ところが、明治44年に郡役所の南にならんでいた郡会議事堂が、北側に新築されて不要になったので払下げられることになった。組合としては自分の事務所を必要としていたし、事務量も多くなったし、染色試験室や標本室も必要になっていたから、どうしてもこれを組合事務所として買受けたいのであった。さいわい組合も基礎もようやく固まっていたので、これの払下げを受けて移った。組合の機関雑誌置賜染色界の第三巻第一号(明治44年9月)の表紙裏に次のような公告を出した。

今般本組合事務所用として長井町大字宮千百二十二番地に建設しある旧西置賜郡会議事堂を譲受け本年六月一日より同所に移転して組合事務所を取扱う。追て目下起工中の庁舎内部の模様替並付属建物増築工事竣工の上は、事務所階上に工芸品陳列場を常設して公衆の縦覧に供す可(べ)し。

ここに移ってから組合の事務は極めて円滑にまた活発に行われた。この建物(初代郡会議事堂)は大正12年にまた移転したので大友惣八の世話で荒砥繭市場の建物に買い取られていった。

 

 

 

概観すると、初代郡会議事堂は、明治20年度に郡役所南側に新築されたが、老朽化のため明治44年、郡役所北側に二代目として新築された。初代郡会議事堂は同年に置賜織物同業組合に売却、その6月には事務所として入居している。庁舎内部の模様替えと増築を行っている。郡制廃止の大正12年に同業組合は現在の中村循環器科医院あたりにあった「西置賜郡立図書館・物産陳列館」に移る。それまで同組合事務所として使用していた初代郡会議事堂は荒砥繭市場の建物に買い取られ、長井からその姿を消した。初代郡会議事堂があった場所に長井税務署が新築された。その年は昭和4年3月10日のことである。

威風堂々としたこれらの洋館、長井に電気が通ずる大正3年までは相当暗かったに違いない。初代郡会議事堂では多くの催しが行われたが、暗くて困ったことが長井市史に載っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015.02.02:n-old:[歴史的建造物]