ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
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タヌキくん、再来
夜中の12時前、鶏舎からニワトリの叫び声が聞こえた。
いそいで飛び起きて駆けつける。
鶏舎の外で塊のようなものが動いている。
懐中電灯で照らしてみると、タヌキがニワトリに喰らいついていた。
叫び声をあげるニワトリ。
更に走って近付くも、タヌキはニワトリに夢中で気づかない。
思い切り蹴り上げた。
ドスッ
一瞬、右足首の甲に肉の重い感触があり、
タヌキはぶっ飛んでいった。
前回来たのと同じタヌキだった。
もう来ませんと言っていたはずなのに。
経験した恐怖や痛さを押しのけるほどの空腹感だったのだろう。
奴も食うため、生きるために必死だ。
ニワトリは助かった。
またもや、夕方、入れそこなっていたニワトリだった。
トラックの下に隠れていたものだろう。
何度も見たはずなのに・・・。
ちょっとのミスも許さない自然。
ミスはそのまま、弱肉強食の世界につながっている。
タヌキはタヌキ自身を生きているんであって
奴が悪いとかいいとかの問題ではない。
ごめんな。
今度は決して見落としのないように、と思っていたのに
バカだよ、オレは。
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2009.05.29:
kakinotane
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
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田植えがおわった!
田植えが終わりました。
いやー!終わったのですよ。
温湯法による種もみ消毒(3月下旬)から今日まで続いた60日間の農繁期。ようやくピリオドが打たれます。まだ後片付けなどの仕事が一週間ぶんほどあるけれど、気分がね、違うんですよ。
いい景色ですよ。田んぼに立って、あたりを見回すと、田植えの終わったばかりの水田が水をたたえて広がっていて、一面に鏡を敷き詰めたようです。田んぼには雲や青空、朝日連峰が写っていて、きれいですよ。夜になれば「田ごとの月」の風景ですね。
昨夜、水の入り具合を見るために田んぼに出かけました。元気ですねぇ、カエルたち。想像してみてください。360度からにぎやかな鳴き声が聞こえてくるんです。遠くの声に近くの声・・さまざまな鳴き声の大合唱。立体的に聞こえるんですね。
その声に包まれていますと、大概の事は、ま、いいかぁとなります。
知っていましたか?田んぼの畦はお花畑だってこと。それもチューリップとかクロッカスとかいう華やかな、良く知られた花たちではなく、野花。山形の畦に咲く野生の花々。黄色、桃色、紫、白・・色とりどりの花が咲いています。「忘れな草」と「おおいぬのふぐり」ぐらいは分かりますが、そのほか、名前の知らないたくさんの花たち。外国産のような、強い自己主張がないぶん、どこか上品な感じがしますね。ぼくなどはその控えめなたたずまいに惹かれます。
水田のカエルや草花。他にもたくさんの生き物達がいます。みんなそれぞれの世界を生きようとしているんですね。
そういえば・・・キツネもタヌキもそうかぁ。そうだよなぁ。
我が家の植えた「ひとめぼれ」、「こがねもち」。喰われてしまわない限り、皆様方の世界をできるだけ壊さないようにしますので、どうぞ、よろしく。
さて、片づけが終わったら何をしようか!ウフフ。
(写真はダブルクリックで拡大できます。)
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2009.05.25:
kakinotane
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タヌキがかかった
罠をかけた翌日(20日)、痩せたタヌキがかかっていた。
こら!おまえか、早朝鶏舎を騒がせていたのは。まさか、ニワトリをやったのもお前じゃないだろうな!
違う、違う。オレじゃありません。オレにそんな大それたことできるわけがありませんよぉ。
ごまかしてもだめだぞ!
絶対違いますよぉ。誤解です!
確かにお前にできるわけがないよなぁ。でも騒がせていたのはお前だな?
毎朝、4時ごろにやってきては、ニワトリ達を驚かしていたろう!おかげで田植えの最中であるにもかかわらず、睡眠時間が足りずにヘロヘロになっていたんだぞ、こら!
はい、それは確かにオレです。でも、埋められたニワトリを食べにきただけで、他にはなぁーんにも悪いことはしていませんよ。だから・・・。
勘弁してくれというのか?
二度とここに来ないというなら、考えないでもない。
「お父さん、それは止めようよ。
逃がすとしても遠いところに放すべぇ。」
「そんなことをしたらこのタヌキ、二度と家族とは会えなくなるではないか。大丈夫だ。二度と来ないといっているし、最近は騒がしてはいないのだから。」
はい、二度とまいりません。これだけ痛めつけられたら、恐ろしくて来れはしません。足はほとんど麻痺していますし、怖い思いもしました。来れたもんじゃありません。
放したタヌキは、片足をひきずりながら後ろを振り返り振り返り・・・、帰っていった。
自然養鶏だ。
ニワトリたちの暮らす環境をできるだけ自然に近づけて飼おうと
してきた。だから当然のことながら自然の方も近付いてくる。
肝心のキツネはまだ来ない。
写真はトラバサミにかかったタヌキ
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2009.05.23:
kakinotane
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
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またやられた!
幼鶏がやられたその翌日、朝5時ごろ(19日)、鶏舎の方を見ると、ニワトリ達が外に出ているではないか。
どうしたんだろうと思って、近付いてみたら・・・
「あっ!」
思わず身体が凍ってしまった。
大人のニワトリ達の死体があっちにもこっちにも広がっている。
その数、全部で15羽。
キツネだ。
でも今回は金網ではなく、ドアが開いていた。
昨晩、閉め忘れたのだ。
オレのミスだ。
薄暗くなって田んぼから帰ってきた。
まだ数羽のニワトリ達が外に出ていたので、
息子も疲れているだろうからやってあげようと、係りは違うが、鶏舎に誘い込んで戸締りをしたつもりでいた。
だけど、もう一部屋のニワトリ達も一緒に出ていたのだ。それに気づかずに、一部屋だけの戸締りをして、
「戸締りはしておいたよ。」
そう息子に声をかけ、家に入った。
普通ならば考えられないミスだった。
疲れていたのだろう。
その結果、多くのニワトリ達を犠牲にしてしまった。
身体の疲れに、またドカッと重石が加わったように思えた。
それにしてもキツネめ!
息子は、捕まえたらぶったたいて埋めてしまうといっている。
「お父さんはきっと逃がしてしまう。でも、今回は絶対に許さない。」
無理もない。
幼鶏のときから自分で育ててきたのだから。
これで犠牲は45羽になる。
「ゴンギツネの例もあるでないか。秋になればキノコなどを持って・・・」
一瞬、疲れた頭に浮かんだこの言葉。
とても口に出せる雰囲気ではなかった。
トラバサミをかけよう。
前回もこれで捕まえた。
奴らは、鶏の死骸を埋めたところにやってきて、それを掘り返しては食べていく。そこに罠をかけて捕まえるのだ。
それとは別に、田植え手伝いに来てくれていた清蔵さんが、生け捕りにしようといって、箱方のもので、入れば戸が閉まってしまう仕組みの罠を持ってきてくれた。
ようし、これで捕まえる。
(写真は、朝5時の現場。ダブルクリックで見てください。)
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2009.05.21:
kakinotane
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キツネが来た!
田植えが始まって2日めの18日、
キツネが来た。
まだ産まれて60日ほどの幼鶏が30羽ほどやられた。
こんなことはタヌキはしない。
タヌキは自分の食べるものを、その範囲で持っていくだけだ。
でもキツネは違う。
いっぺんに10羽でも20羽でも殺し、あたりに鶏の死骸を
転ばして行く。(バックナンバー参照)
鶏舎の金網を破って入った。これもキツネの特徴だ。
タヌキは穴を掘って入っていく。どこかこっそりしている。
それに比べてキツネはどうどうとしたものだ。
正面からドアを蹴破って入ってきて、機関銃をぶっ放す・・・
こんな感じだ。
破られた金網を補給し、田んぼに向かう。
必ず捕まえてやる。
写真は穴をあけられた金網を補強したあと。
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2009.05.21:
kakinotane
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明日から田植え
もうじき田植えです。
息子はニワトリ関係、私は主に田んぼ関係と分担をしながら
ここまできました。
田んぼでのケイフン散布、レインボープラン堆肥散布、耕運、代掻き・・・
一方で鶏舎の止まり木の撤去、ケイフンの耕運、田んぼへの運搬、その後の止まり木の取り付け・・これをくり返し、
また他方で苗の生育管理と500羽のヒナの準備と導入、玉子の配達、発送、集金・・・。
ま、口笛吹きながらやってきましたよ。
田植えが終わったなら、温泉に行こうっと。
昨日、突然、札幌からお客様でした。
ラジオ深夜便で菅野さんを知り、ずっとファンでした・・・と。
ご夫妻で。
「想像どおりのところですね。風景がきれいです。」
「これが話されていたニワトリさんですか。幸せそうですね。」
突然でしたので、、また、農繁期でもあり
30分ほどしかお相手できませんでした。
ごめん!田植えすぎにまたゆっくりとおいで下さい。
というわけでさ、
ブログはね、しばらくはこんな感じの文章しかかけません。
空が明るくなり、小鳥が鳴きだしました。
玉子の配達に行ってきます。
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2009.05.16:
kakinotane
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タヌキに起こされた
いまは朝の4時半。まだ薄暗い。
今日もタヌキに起こされた。
ヤッコサンは朝の4時にやってきて
鶏舎の周りをはいかいする。
すると1,000羽のニワトリが驚き、一斉に騒ぎ出すんだ。
寝てなんからんないよなぁ!
すごい騒ぎになるんだからよぉ。
今日で4日続けてだぁ・・・。
近所に申し訳ないし、眠たいし・・。
こんど捕まえたら、絶対にタヌキ汁にして食ってやる。
まずい、うまいは関係ない。
自然界の生き物通しだ。
奴も必死かもしれないけれどこっちだって必死なんだから。
もしかしたらお前がねぐらに帰れば
「とぉちゃん、腹へったよぉ!なんか獲ってきてぇ。」
と騒ぐ子ども達がいて、更にその上に「あんた、行くしかないよ。あぶないって?バカいうんじゃないよ。
私たちの危険は産まれた時からだよ。ぐずぐず言わんと
ニワトリ捕まえておいで!」
と尻を叩く女房がいるのかもしれない。
うん、お前のつらさも分からないではない。
けど、だからといって、じゃ一羽やるかって言うわけにはいかないぞ。
来れば俺だって棒もって駆けつけなければならない。
来るなよ。
よその家の猫かねずみでも襲っていろ。
どうしても来たいなら
せめて一週間に2度以内にしてくれ。
毎日ではオレも大変だぁ。
あぁあ、今日も寝不足だ。
堆肥散布と耕運はおわった。
今日は水田に水を入れる。
代掻きの準備だ。
いよいよ田植えも近い。
それにしてもタヌキめ!
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2009.05.12:
kakinotane
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
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堆肥を撒く・・かつてのブログから
田植えが始まり、水田は久しぶりに活気づいている。
ここ数年、田植えと同時に化学肥料を根元に落とす便利な機械が広まり、田植えまでの作業がいっそう短くなった。田んぼに堆肥を撒いている私の作業が、どうしても遅れてしまう。
「まだかぁ、いつごろ耕運できる?」
隣の田んぼの持ち主が、自分の田んぼに水を引き入れれば私の田にも浸透し、耕運しにくくなることを気づかい、声をかけてくれた。
「申し訳ないなぁ。もう少しまってけろ。」
せっかくの春なのだから、畦の野花をながめ、残雪と新緑の朝日連峰の風景を楽しみながら、のんびりと作業をすすめたいのだが、周囲のペースがそれを許さない。腰の痛みに耐え二種類の堆肥を撒き続ける。レインボープラン堆肥と醗酵ケイフン。実際のところ、この作業が終われば、米作り作業の半分がかたづいたような気分になる。つらい仕事だ。
それでもなお、私が堆肥にこだわるのは、私たちは「土を食べている」と思うからだ。土など食べたことないという人もいるだろうが、みんな食べている。
米に限らず、すべての作物は、土のなかのいいものも悪いものも区別せずに吸収し、その茎、葉、実にたくわえる。だから私たちは作物を食べながら、その作物を通して、土を食べているというわけだ。
スーパーに行けば、海の向こうの農作物がたくさん並んでいる。私たちはそれらを食べながら、中国の、アメリカの、あるいは他のたくさんの国々の土を食べている。はたしてその土は安全か?食べるに足る土なのか?はなはだこころもとない。
“食は土からはじめよう”、“土は命の源”。堆肥散布は土を守る基本だ。はずせない。
田植え作業までもうすぐだ。たんぼに漂うほのかな堆肥の臭いがうれしい。
2009.05.09:
kakinotane
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜農業版〜」
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頭で食ってもらう・・・
春は山菜の季節。
採りに言っている時間はないが
近所の方からさまざまな種類の山菜をいただく。
山菜特有の風味がたまらない。
微妙な苦さ、香り、味・・・
なんと言ったらいいのか・・・
野菜にはないおいしさだ。
山菜を食べながら、朝日連峰の大自然を思う。
おいしさがまた一段と広がる。
若い頃はこのおいしさが分からなかった。
濃厚な味がよかった。
最近ですね、野菜を含め、微妙な味を楽しめるようになったのは。
日本人一人当たりの食品添加物の摂取量は年間4kg。一日に11g。塩分は一日に10g以下と呼びかけられているのに添加物は11gだ。すごいねぇ。ハンパじゃない。身体にも有機農業を!
でもこれが入るとおいしいんだよな。
以前、90歳の母親に、昔食べた「カレーライス」を作ってもらったことがあった。
小麦粉、カレー粉・・・肉じゃなくて、鯨の白身の部分が入っていた。そしてたくさんの野菜。
このカレーは、はなたれ小僧のころのご馳走だった。
懐かしい香り、色・・・。
これを再現してもらって食べてみた。まずかった。あまりにもあっさりしていて、コクになれた今の舌にはうまさを感じられなかった。
「これがあのときのカレーか?」
「そうだよ。これをお前達はおいしい、おいしいと食べていたんだ。」
すっかり添加物のうまさに慣れている。
うまさは添加物から。
特に若い人達にとってはそうなのかもしれない。
うまい、うまいと食べているうちに・・ガンになって・・か。
添加物世代が山菜の微妙な味、食べ物本来の味を楽しめるようになるには
どのような行程を経ていけばいいのだろうか。
自然養鶏の玉子は「あっさり」系。
最近のゲージ飼いのタマゴは濃いミルキーな味だ。
消費者好みの味付けで、クスリや添加物漬けを覆い隠す。
食べ比べてみたらきっと・・特に若い人にとってはゲージ飼いのタマゴの方がおいしいとなるのだろうか。
自然養鶏の玉子。その微妙な味ではなく、1個58円の高さだけが印象に残るようではちょっとつらい。
単純なオレには「まずは頭で喰ってもらおう。」ぐらいしか思い浮かばないが、他に何があるだろう。
今日はこれから田んぼにケイフン振りだ。
むちゃくちゃ忙しくなってきた。
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2009.05.02:
kakinotane
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農繁期です
しかし、寒いですねぇ。
冷たい春ですよ。
いっとき、暖かくなって、半袖で充分かなというやわらかいお天気を
経験したあとのこの寒さ。こたえますね。
冬に比べたらずっと暖かいはずなのにそうは感じません。
一度貧乏から自由になって、少しの余裕を楽しめるようになった後の
貧乏再びというのも同じようにこたえるだろうなぁ。
オレの場合はずっと貧乏だったから、どおっていうことはありませんがね。
この寒さ、いつまで続くのだろうか?
「どんなもんだ、この低温。夏は大丈夫かなぁ」
近所の優さんが先ほどお茶のみにきて話していった。
百姓は、寒いにつけ暖かいにつけ、田んぼや畑のできに関連付けて受け止める。
種まきが終わって、芽がでてきた。
田んぼには二種類の堆肥を撒くが、レインボープラン堆肥は振り終わった。
後はケイフンだ。今年はケイフン散布用の機械を共同で買った。
うまくいくかどうか。
5月7日には300羽ほどのヒナがくる。
いよいよ忙しくなるなぁ。
・・・ということでまとまった文章は書けないでいます。
忙しさにひと段落着くまでは、こちらの様子を知らせる
短い記事となります。どなた様も、もう少し、おまち下さい。
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2009.04.27:
kakinotane
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
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種もみの消毒・再掲載
下の文章は、このブログに「種もみの消毒」として一度掲載したものです。
「温湯法」は増えていますが、まだまだ薬剤が幅をきかせており
問題は深刻です。ぜひ、ご一読ください。
春になった。
春になると米作農家は種モミの準備にはいる。まず始めは塩水に浸して、沈むモミと浮き上がるモミを選別する「塩水選」。私たちの地方ではこの作業を「しおどり」と呼んでいる。実の充実した種を選ぶ大切な作業だ。
その後引き続いて、種モミの消毒をおこなう。種モミに付着しているいもち病、バカ苗病などの、もろもろの病原体を取り除くためだ。私はこれを「温湯法」でおこなっている。
「温湯法」とは60度のお湯に種モミを5分間浸け込み、その後冷水で冷やすという方法だ。それまでの私は農薬を使ってこの消毒をおこなっていた。でも、ある出来事をきっかけに今の方法に変えた。15年ほど前のことだ。
「チョット来てみてくれ。大変なことになった。池の鯉がみんな死んでしまったよ。」緊張した表情で訪ねてきたのは近所で同じ米づくりをしている優さんだった。急いで行ってみると池の鯉がすべて白い腹を上にして浮いていた。その数、およそ60匹。上流から種モミ消毒の廃液が流されてきたらしい。川の流れは細く、水に薄められることなく池にはいってきたのだろうと優さんはいっていた。
種モミは農薬のはいった水に浸けられ、殺菌処理されるが、問題はその後の廃液の処理だ。河川に流せば水生生物に被害をあたえる。下流では飲み水として活用する地域もある。流せない。
農協は、河川に流さず、畑に穴を掘り、そこに捨てるようにと呼びかけていた。でも、畑に捨てたとしても土が汚染するだろうし、地下水だって汚れないともかぎらない。どうしようか。種モミの殺菌効果は完璧だが、毎年おとずれる廃液処理に頭を悩ましていた。
そんな中でであったのが「温湯法」である。これを教えてくれたのは、高畠町で有機農業に取り組む友人。この方法はきわめて簡単で、しかも、単なるお湯なのだから環境は汚さないし、薬代もいらない。モミの匂いを気にしなければ使用後、お風呂にだってなってしまう。なんともいいことずくめの方法なのだ。
へぇー、こんな方法があったんだぁ。始めて知ったときは驚いた。環境にいいし、第一お金がかからない。
幾年か経験を重ねた後、近所の農家に進めてまわったが、我が集落で同調する農家はごく少数。15年間増えてはいない。どうも私には技術的な信用がないらしいとあきらめていたのだが、この間、農業改良普及センターにいったら、うれしいニュースにであえた。
「庄内地方に「温湯法」が増加。今年は1,500〜2,000haの見込み」。
いらっしゃったのですねぇ。ねばり強く普及に取り組んでいた方々が。
単純に計算すれば、県内でおよそ400万リットルの廃液ができる見込みだ。
やっぱり俺もあきらめずにPRしなくちゃ。
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2009.04.16:
kakinotane
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老けたねぇ
いま、JR東日本の駅に置いてある「やまがた花回廊」キャンペーンの冊子に、ニワトリたちに囲まれたオレが笑顔ででているらしい。それを見た座間のご婦人から電話がはいった。
「見たよ。何年前の写真なの。」
「えっ、この間撮っていったんだよ。」
「まさかぁ、ずいぶん若いじゃないのよ。」
「あったりまえだぁ、まだ50代だよ。田舎のシティボーイのつもりでいるんだぜ。」
「へー、信じられないよ。」
ウソを言ってどうするんだよ。
実物は写真よりも歳をとって見えるということか。写真うつりがわるいと思って見たのだったが。
また10日ほど前にもこんなことがあった。2年ぶりぐらいにまちでばったりあった友人が
「あら、菅野さん、しばらく見ないうちに、ずいぶん老けたわねぇ。」開口一番こうぬかした。
なにをいってんだよ、お前だって一緒だろうがぁ。
こんなことが続いていた昨日、大きな鏡に映った自分の姿を見る機会があった。顔を映す鏡はあるけれど、全体を見ることができる鏡は我が家にはない。久しぶりのことだ。そして・・。
そこに映っていたのは、白髪まじりの薄い髪。顔の肉はだぶつき、しわのようになって垂れ下がっているどこかうらぶれた男。大きな身体であることには変わりはないが、心なしか腰が曲がって見えるくたびれた農夫。
そして最も肝心なことだが・・・オーラがない。エネルギーが感じられない。全体的にくすんでいるのだ。
なに、これ!これはオレではない。
鏡の中の自分の姿を見ながら、オレは、我が家のオンドリのことを思ったね。覚えておいでだろうか?たくさんのメンドリたちに囲まれたオンドリの悲哀。「もてすぎるのも困りもの」(05,9,1)にすでに書き、たくさんの男達の涙をさそったあの切なくも悲しい物語・・。
100羽のメンドリの中の一羽のオンドリ。若いときにはハールムであった世界は、やがてメンドリたちの要求に応じられなくなって一変する。求愛に応じられないオンドリを「ツン、ツン」とつっつくメンドリたち。朝から晩まで、あっちでツン、こっちでツン、ツン・・・。みるみる間にオンドリの姿から羽根がぬけだし、鳥肌がむき出しになる。やがてオンドリはメンドリが近付くだけで逃げ出し、時には上に渡した横木の上に避難する。かつてあれほどエネルギッシュで、惚れ惚れするほどの勇壮さを誇ったあのオンドリが・・同じオンドリとは思えないみじめな姿に。オレは心からオンドリに同情したものだった。同じ男としてこころを寄せずにはいられない悲しい世界がそこにはあった。
鏡に映ったオレの姿はまさにそれ。オンドリ。もっとも誰も「ツン、ツン」してはくれなかったけどね。
さてどうするべなぁ。
姿かたちの衰えはしょうがないよ。
でもオーラやエネルギーの問題は別だ。そこには年齢に応じたものがなければならない。くすんでいるとすれば・・・。こころざしに向かって歩めているか、見失わずにその方向を見つめているか。そこのところだよ、問題は。あした、オンドリにも何が大切かを教え・・・いや、まず、おれ自身を点検、整理してからだ。
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2009.04.05:
kakinotane
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