ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

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つばめが飛ぶ季節になった。今年、我が家に来てくれるのだろうか。複雑な気持ちで空を眺めている。というのはこんな背景があったからだ。
 昨年の6月、我が家の玄関の内側に巣を作り、卵を産んだばかりのツバメが1羽、猫の部屋に引きずり込まれて冷たくなっていた。巣では残された1羽のツバメが、卵を温めることなく、いつまでももう1羽の帰りを待っていた。
 2年前、子ツバメがスズメに全部殺された時には、安全なところに巣を移し、もう一度卵を産んで育てたのだが、今度は夫婦の一方が殺されたのだ。
果たして立ち直ることができるか。結局、数日間、連れ合いの帰りを待っていたツバメは、そのまま卵を温めることなくどこかへと去って行った。
 あれから1年たち、近所の友人が「ツバメがきたよ」と教えてくれた。果たして我が家に戻って来てくれるだろうか?来てほしい。そう思いながら、空を眺める日が多くなった。玄関を終日開放して待った。
 それから20日経つが我が家にツバメはやって来ない。もうだめかもしれない。玄関の戸を閉めよう。そう思っていた。
 ところが今朝、突然、玄関先からツバメのにぎやかな鳴き声が聞こえて来た。「えっ、まさか!」
ツバメだ。2羽のツバメが内玄関の中で戯れている。来てくれたのか?いや、まだ分からない。立ち寄っただけかもしれない。それから夕方まで、何度も空を見あげた。近くにはいる。でも、我が家におさまってくれるか、その確証はない。

 まるで恋しい人を待つかのような気持ちだ。

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