ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

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列車の窓などから、雪でおおわれた寒村を眺めていますと、こんな寒々とした村に住む人たちの暮らしって大変だろうなぁ、などと思ったりしませんか?小さく歩いている人がいて、その方が老人だったりすると余計に同情的になったりする。しますよねぇ。
 でね、私の村はそんな寒村なのです。老人がときど〜き、雪の中をポツンと歩いていたりします。もし旅行者が通ったりすれば(そんな人はまったく来ませんが)、見るからに淋しい風景とうつるでしょう。
「寒そうだなぁ。年寄りの身には堪えるだろうなぁ。早く春が来ないかと思っているのだろうなぁ。」
 一方、そんな寒村の世界も中に入ればちょっと違った姿になります。外は雪。田畑の仕事はまったくの休み。雪片付けの仕事はあるものの、時間はぜいたくにあります。日頃、読むことができなかった本や、訪ねて行きたくてもできなかったところに行ってみるとか・・、そんなことはしなくても、隣近所にお茶のみにでかけゆっくりと過ごしてくるなど、お金は無いけれど、何ものにも代えがたい豊かな時間があるんです。
 関西の百姓仲間は
「菅野のところは雪があって、暮らしにメリハリがあるからいいなぁ。俺たちのところは年がら年中畑仕事だよ。それは多少稼げるけれど、あわただしい。」
と言ったことがあり、私はそれに
「冬に暮らすために春から秋にかけて働いているようなものだよ。さっぱりのこらない。」
と返したことがありました。どちらがいいかはその人の考え方、生き方によりますね。私は断然に雪の寒村が好きです。列車の窓から同情の目がそそがれていることも知っていますよ。今度はわざと腰を曲げて手を振ってやりましょうか。列車の人は喜んでくれるだろうか。



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