ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

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 今日で稲刈りが終わりますが、農繁期はまだ続きます。ブログはなかなか書けません。そこで、昨年ある雑誌に書いた文章をここに載せました。これなら他にもあります。2,3日後、また違った文章を載せますのでおいで下さい。えっ、この話は以前見たぞ、同じような文章はのっけているではないか・・・とか、いい分はおありでしょうが、ま、いいじゃないですか。


 我が家の農業経営は、水田2ヘクタールに畑が少々、それに自然養鶏900羽。山形県の朝日連峰の麓、純農村地帯の一隅で農業を営んでいる。80代の両親と50代の我が夫婦。そこに昨年4月、農業専門学校を終えた息子が帰ってきた。以来、今日まで、田んぼだ、畑だ、ニワトリだとよく働いている。

 「あんなに働いてくれて悪いなぁ、もごさいなぁ(かわいそうだなぁの意)。家のためなら、うんといいけど・・。でも、よろこべないなぁ。気の毒なような、かわいそうなような・・。こんなことさせていていいものか?このまま歳とらせていいものかといつも思っているよ。」

 息子が出かけた夜に、88歳の母親はため息まじりに話す。

「家の犠牲になっているのではあるまいか。本当に百姓すきならいいけど、でもそうでなければさせられない。もごさくてよぉ、あの子のこと・・・。」

 現在の日本農民の平均年齢は60代後半。我が村の農家の平均年齢も67歳。昼間は田畑にほとんど若い人の姿は見当たらない。
お米は20年前と比べ、一俵(60kg)あたり、1万円も安い。それに3割を超える減反があり、野菜は洪水のごとく海外から押し寄せ・・と、まぁ、こんな按配だ。若い人はとても就農できない。

 百姓仲間の造語に、「とき(時)が来る。トキになる。」という言葉がある。時代は生命系の回復に向かい、農業の価値がみなおされようとしているとは言うのだが、その到来をまえに、われわれ百姓は「佐渡が島のトキ」になっちまうよ、という意味なのだけれど、実感だ。
  
 日本に農業はいらないのかい?日本の穀物自給率はたったの27%。世界でも最低ラインに近い。「飢餓の国・北朝鮮」とはいうけれど、それだって穀物自給率は日本の倍の53%だ。日本の食糧事情はすでに破綻している。輸入によって事実が隠されているにすぎない。

「もうすこし、あの子も世の中見えるようになれば、まだ歳若いから、大丈夫だから・・、何して生きていくか考えんなねごで。」

 88年間、いろんなものを見てきた母が、農業では幸せにはなれない、離れたらいいと話す言葉には説得力がある。でも、息子は充分そのことを知った上で、農業をやろうと帰ってきた。その気持ちが続く限り、それを支えてあげなければと思う。
 


ぼくは統計数字を持っていないのですが、・・
若い人が就農する率は、少しずつ増えているんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。東京のぼくのまわりの若者で、農業に魅力を感じ始めている人は少なくないように思います。

そういう若者がつながれる場所がたくさんあるといいですね。

とりあえず、シンポジウム「地域のチカラ」に息子さんを派遣してみてはどうでしょう。
http://tu-ta.at.webry.info/200810/article_16.html

なんて、ちゃっかり宣伝してしまいました。

ここで、何人かそういう若者を紹介できると思います。
2008.10.20:tu-ta:URL修正削除
お母さんの言葉、いいですね。
本当に方言と言うのはすばらしいと感じました。
もちろん、話の内容と言うのは、非常に重く、含蓄のあるものですが、これを標準語で書いたら、おばあちゃんが孫を思う心がこれほどまでに伝わるかどうか・・・・。
菅野さんのお母さんの面影さえ浮かぶお話でした。
2008.10.21:くみ:修正削除
こういう話は、私には難し過ぎですけど・・・考えてみますね。
6年前→「今、専業農家? 余程巧く考えて経営しないと、やって行けないでしょう。生活できないでしょう」→「うちの連添いは、農業が好き、牛が好きですから」って、澄ましていたけど・・・・複雑。
何か、変わり者(変人)のように思われているなって感じてました。でも、私は、そういう生き方が好きだったので、自分の正しいと思った事(好きな事)に、一生懸命に取り組んでいる生き方を素晴らしいと思っていました。

我が子にも、「最終決断の時には、損か得かでは無く、善か悪かで考えて決めるんだよ」「人の嫌がるエライ仕事や、汚い仕事は進んでするんだよ」って、よく話していました。自分の仕事の手伝いを我が子や私に、しなさいと、言った事はありません。でも、やりたいと言った時には、何でも(失敗しても)やらせてくれました。おかげで、私は田植えと、稲刈りが出来るんですけどね。ルンルンってね。

この10月から、我が家の隣の息子さん(36歳)も、専業農家の後継ぎになりました。10数年勤めていた会社を辞めたとの事です。近所の小母さんたちは「何で、辞めたんやんなぁ〜」「会社に行っきょった方が、ええと思うんやけどなぁ〜」「田んぼ、せないかんきんって言よるわ」「ふ〜ん?」って、世間話しています。

私は、人それぞれ価値観が違うのだから、自分のやりたい事に、思いっきり挑戦したらいいと思います。ただ、仙人ではないので、収入も人並みに有り、家族が笑顔で生活でき、自分の仕事が好きで、人の役に立っていると感じられるのであればですけどね。これは、厳しいですかね。
 
なんやかんや言っても、私は農業が大好きです。自分が全て出来ない分、農業や自然を守ろうとしている人たちを尊敬しています。そして、自然を相手に、半年先、いや1年先を見越して計画して、実践して、汗を流して、収穫の喜びを味わえるって、最高の喜び、最高の生き方なんじゃないですか。と、いつも思っています。やり方を考えて、頭と身体を使ってですね。

10月17日に「帰農」を、読んで{これは私には、難し過ぎて、浅はかな思いは書けないね}って思っていました。なのに、書いてしまって、ちょっと、いや、ようけ不安になっています。気分を害したら、いっぱい反論してください。もっともっといっぱい勉強したいと思っていますので。

質問で〜す → 稲刈り終わっての農繁期って、何をしているんですか? うちは、刈り取ったらすぐ、JAのカントリーに運んで、その日で終わりになりますよ。 後は、機械の片付けぐらいかな?
2008.10.22:山さくら:修正削除
https://kanno-nouen.jp/
菅野農園のホームページで
お米を販売しています


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