ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

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今日はご先祖様がお帰りになる日。盆の15日だ。
ダンゴを作って、送り火焚いてご先祖さまをお墓に送っていく。あっという間の三日間だった。それでもお盆の間は、こんな俺でも何かしら先祖を意識しながら過ごす特別の日だ。はたから見たら、接客がてら昼間から酒だ、ビールだと大騒ぎし、メタボの腹つき出して,だらしなく過ごしているように見えるだろうが、おさえどころはちゃんとおさえているよ。

 「霊」とか「魂」などについては詳しくはないが、故人となった方々に思いをはせ、感謝の気持ちを新たにする。そんな機会はお盆やお彼岸や法事、それに日常生活のなかにもたくさんあって、村人は昔から手を合わせる機会を多く持ちながら暮らしてきた。でも、ここで紹介したいのは同じように霊や魂への感謝なのだけど、相手は人間のそれではない。牛や馬などの家畜でもない。草や木や土だ。

 これらの魂をなぐさめ、感謝する碑が山形県の南部、置賜地方に60基ほど分布している。「草木塔」と呼ばれているもので1mほどの自然石に「草木塔」または「草木供養塔」という文字が刻まれている。だいたいが江戸の中期に建立されたもの。碑の一部には「草木国土悉皆成仏」というお経の1節が刻まれていることから、建立の趣旨がうかがえる。草木はもちろんのこと土にいたるまで、皆、悉(ことごとく)成仏できるということだが、先人の自然観、生きることへの謙虚さ、心根の豊かさが感じられておもしろい。えらいもんだ。

 俺たちだけでなく、草も木もみんな等しく土の化身。土からいのちの糧をいただいて生きている。その点では平等だ。俺たちには草や木や土の喜びや悲しみは分からないが、生まれたからには、やはり、天寿を全うしたいはず。それなのに生きるためとはいえ、草木を倒さなければならない。刈らなければならない。焼かなければならない。本当に申し訳ないことだという謝罪と感謝の思いがその碑のなかに込められている。

 山形県置賜地方には、高畠町有機農業研究会を筆頭に早くから自然と共生する農業が芽生え、俺たちの町にはレインボープランという、街中の生ゴミを土に戻すことで、森の循環の営みを人々の暮らしの中に取り戻そうという取組みが行なわれている。
これらの根っこにはこの地方に伝承されている、遠い祖先からの「草木塔」の思想があるのではないかと思っている。・・・合掌。

 写真は朝日連峰を背にした我が家の遠景。前は鶏舎。ダブルクリックで拡大できます。


おもしろいです
草木塔の話おもしろいです。レインボープランの根っこがそこにあるかもしれないという話、なるほどと思わされます。
2008.08.16:えーちゃん:修正削除
上野動物園の園長さんの話を思い出します。
草木塔の話は心に沁みるものがありますね。
地上にあるすべてのものに等しく命があるという考え方。
それらの上に自分たちの生活がありいのちがあるという。
1992年から上野動物園の園長を務めた増井光子氏が、経済動物(牛や豚、鶏など)と人間の関係について語った中に細胞のレベルから見れば、人間も草も、全く同じ。ベジタリアンがいのちを大切にしていて、ステーキを食べる人間がそうでないと言うわけではないというのを読んでとてもビックリしたことがありました。
草木塔、すでに先人はそこまで見抜いていたのですね。
2008.08.16:くみこ:URL修正削除
いってきます
園長さんの話はいいですね。
草木塔を建てるのだって、当時の地域の方々にとってはかなりの出費のはず。よくやったなぁ。個人で建てたのか、地域で建てたのか・・そのへんを本日、いくつかをめぐって・・・地域の人に尋ねてきます。
2008.08.17:菅野芳秀:修正削除
土に帰りたいのだけど…
後何年生きなければならないかわかりませんので、エンディングノートを書いております。『命のめぐり』に加わるべく、土に帰る方法を探しております。これがなかなか難しいものです。納骨堂に入るのが一番簡単でした。
2008.08.31:魔女婆:修正削除
そうなんだよ
そう・・・。おれも、山にいって行方不明なんて世間さまを騒がせるだけじゃないか。最期ぐらいはご迷惑をかけないようにいったら・・といわれましたよ。難しいんですよね。
2008.08.31:菅野芳秀:修正削除
草木に感謝!
草木塔は感謝の表現
今、‘環境保全’という言葉が流行り言葉ともなっていますが、まずは草木について感謝することでしょうか。草や木によって、私らの良好な生活が守られてきたのは否めない歴史的事実です。緑の中の生活こそ、将来に向かって不可欠です。草木の存在に感謝!
2008.09.03:種子原人:URL修正削除
https://kanno-nouen.jp/
菅野農園のホームページで
お米を販売しています


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