ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

 タイから帰ってきました。元気です。さっそくそのおもしろかった報告をやろうと思っていたのですが、他方でレインボープランについての文章依頼の締め切りが迫っていて、まずそれにかかりました。「玉子を売る」も中途ですが、ま、おいおいやっていきます。

A、生ごみ堆肥化に取り組む背景

山形県長井市では、レインボープランという名の、生ゴミと健康な
農作物が地域のなかで循環するまちづくりに取り組んでいます。この事
業が生まれた背景は大きく分けて二つです。

一つは「土の力の衰え」です。日本の農業が生産性と効率性を優先し、化学肥料と農薬を中心とした農法に変わってからずいぶんたちました。その結果、ある程度生産力は増大しましたが、他方でいのちを育む土の力の衰えや、作物汚染への不安が増大してきました。
土の回復には堆肥が必要です。すべてはここから始まります。その堆肥原料として、これまで役に立たない物として燃やされていた、まちの台所の生ゴミに着目しました。

 二つ目には「食への不安」です。地元の作物は遠くの大消費地を目指し、わが町のスーパーには大消費地からの転送品が並んでいました。同じものが地元でもとれるのに。市民の中に、新鮮で安心できる地元の作物がほしいという気持ちが高まっていました。
 この二つの背景を受けて、まちが堆肥を作り、村が作物をつくる、循環のまちづくりが動き出しました。

B、市民主体のまちづくり

レインボープランは行政主導ではなくあくまで市民主体の事業として成長してきました。
 2,3人の市民から始まった呼びかけに各界、各層の人たちが次々に応え、事業の調査検討に向けた受け皿が形成されました。そのもとに行政やJAが参加し、市民と行政のイコールの関係が形成され、地域が動き、地域が少しずつ変化しながら今日に至る。こんな過程を歩んできたのです。レインボープランは市民(住民)運動への行政(からの)参加と言われる所以です。

このような過程を歩むにあたって、女性の働き、その発言はとても大きな力をもっていました。当時、女性たちの中心になって活躍した方は、「単純なゴミ処理ではなく、自分たちの口に入るものに台所から参加する、そんなプランだから一生懸命になれたのだ。」といいます。

プランの趣旨をきちんと理解したこと、その上で、話し合いに充分な時間をかけたこと、行政がそれを粘り強くまったこと、これらが女性を始めとする市民パワーの盛り上がりの背景にあると思います。

C、土はいのちのみなもと

「土はいのちの源」という考え方こそ、この事業の核心です。生ゴミの堆肥化事業の中にこの考え方がなければ、それは単なるゴミ処理でしかありません。「使い捨て社会」の延命策として、いのちの場である田畑をゴミ捨て場にする、そんな事業になってしまいます。

 私たちが目指すのは、そういうことではありません。生ゴミを分別することから始まる、まちの台所からの土、農、食への参加です。消費が単なる消費に終わるのではなく、生産の場に戻り、いのちの場に参加していこうとする、土を基礎とした循環型社会への合流なのです。「ゴミ捨て」か、消費の現場から土とのいのちの関係を築こうとする事業か。この二つの流れを分かつものこそ「土はいのちの源」という理念であり、私たちの生命線ともいうべき考え方なのです。
 

(注)レインボープランとは;
山形県長井市で始まった台所の生ゴミを活用するまちづくり。市街地に住む5,000世帯の生ゴミを堆肥原料として集め、できた堆肥を活用して作物をつくり、その作物を再びまちの台所で消費しようという循環の事業。




https://kanno-nouen.jp/
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