ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

もし、あなたが稲作農家の友人でしたら、ぜひ、この文章を最後までお読みください。決して長い文章ではありません。

以下

春。なんといっても我が家は米の生産農家だ。雪解けと同時に気持ちは高ぶり、田んぼに向かう。
作業の手始めは種籾の消毒作業だ。種籾に付着している「いもち病」、「バカ苗病」などの雑菌を退治する重要な仕事で、この作業をおろそかにすれば、苗の生育にダメージを与えるだけでなく、秋の収量にも大きく影響する。このため、多くの農家は完璧を求めて農薬を使っているが、我が家では30年ほど前からそれをやめ、薬によらない方法でおこなっている。

それは「温湯法」と呼ばれている方法で、モミを60℃の温度に10分間浸すだけの簡単な方法だ。60℃という温度は生玉子が白く固まり、ゆで卵に変質していく温度。種にとっても危険な温度なのだが、漬け込む時間を守りさえすれば、ほとんど農薬使用と同じぐらいの効果を上げることができる。更にこの方が農薬代はかからないし、使用後の廃液に頭を悩ますことも環境を汚すこともない。私がこの方法に改めたのはある事件がきっかけになっている。その事件とはこんなことだ。

「チョット来てみてくれ。大変なことになった。」緊張した表情で我が家を訪ねてきたのは近所で同じ米づくりをしている優さんだった。急いで行ってみると優さんの池の鯉がすべて白い腹を上にして浮いていた。その数、およそ60匹。上流から種モミ消毒の廃液が流れてきて我が家の池に入ったに違いないと優さんはいっていた。こんなことになるとは・・それらの鯉は優さんが長年かけて育てて来た自慢の鯉だった。

農薬の袋には、魚に対する毒性があるので使用後の廃液は「適正に処理するように」と書かれている。農協も、河川に直に流さず、畑に穴を掘り、そこに浸透させるようにと呼びかけていた。でも、畑に捨てたら土が汚染し、浸透させれば地下水だって汚れかねない。また浸透させたつもりでも雨が降って、再び表面水となり流れ出すことだって充分考えられる。たいがいの農家は廃液を自分の農地の下流に捨てていた。一軒の農家の下流はもう一軒の農家の上流にあたる。そんな数珠つながりが上流から下流まで続いていた。更にひどいことに下流では飲み水にも利用している。そのため、廃液をどうするか。種モミの殺菌効果は完璧だが、毎年おとずれるその処理に頭を悩ましていた。そんな中での優さんの事件だった。


そこでであったのが「温湯法」である。この方法を教えてくれたのは、高畠町で有機農業に取り組む友人。方法はきわめて簡単で、しかも、単なるお湯なのだから環境は汚さないし、薬代もいらない。モミの匂いを気にしなければ使用後、お風呂にだってなってしまう。なんともいいことずくめの方法なのだ。
 へぇー、こんな方法があったんだぁ。始めて知ったときは驚いた。いつのころから行われていたのか詳しくは分からないが、あっという間に広がっていくだろうと思っていた。もちろん私も近所の農家に進めてまわったのだけれど、我が集落で同調する農家はごく少数。どうも私には技術的な信用がないらしいとしばらくの間、あきらめていたのだが、先日、農業改良普及センター経由で山形県のうれしいニュースにであえた。

 山形県では「温湯法」で種子消毒をする面積はずいぶん増えて、全水田面積の28%に及ぶと言う(平成29年)。少しずづ増えてはいると思っていたのだが、これほどまでとはおもわなかった。いらっしゃったのですねぇ。ねばり強く環境を壊さない農法の普及に取り組んでいた方々が。久しぶりにいい気持にさせていただきました。俺もあきらめずにがんばるべえ!そんな気持ちになりましたよ。

まだまだ毒性をもった膨大な量の廃液が日本の河川から海へと流れて行っている。どうぞ皆さん!お取引のある農家があれば、くれぐれも農薬に寄らない「温湯法」を進めてください。必ずお近くに「温湯法」の農家がいるはずですから。今年はまだ間に合います。



▼<新米のご案内です。> 1、品種;「ひとめぼれ」と、「コシヒカリ」、それにもち米の「黄金もち」です。 2、肥料;自然発酵鶏糞とレインボー堆肥中心で育てました。化学肥料は使用していません。 3、農薬(殺菌剤・殺虫剤);使用していません。 4、除草剤;一回のみ使用。あとは除草機を動かし、田んぼの中を歩きました。 5、価格;品種問わず、白米、七分とも10kgあたり5,000円(送料別)、玄米は4,600円です。もち米も同じ価格(3kgは別価格)です。 6、保管と発送;お米はモミのまま貯蔵し、夏は低温倉庫で保管します。毎月10日が到着日。風味が損なわれないように発送直前に精米しお届けいたします。 7、お申し込み;同封の(添付の)用紙に月ごとのお届け量をご記入しお送りください。また、毎月お届けする方につきましてはAとBの二つの品種パターンがあります。隔月や不定期のかたはこの限りではございません。 A;「ひとめぼれ」と「コシヒカリ」とを交互にお送りします。 B;どちらか一方の品種に限定します。 注文用紙にAかBかのどちらかをお書きください。Bの場合は品種名をお書きください。作付け面積は6;4で「ひとめぼれ」が多くなっています。よって、途中からどちらか一方になるかもしれません。あらかじめご承知おきください。 また、10月分は生育の速さの違いから全てが「ひとめぼれ」となります。 ご注文はメールかファックスでお受けいたします。 田んぼは昨年より少し増えました。お仲間にご紹介いただけたらうれしいです。 8、ご注文の変更;品種、つき方、量の変更などは前月の月末までお知らせ下さい。 9、お支払い;郵便局の振込み用紙を同封いたします。  <ウラへ> <オモテより> 10、お米の発送;お米のお届け日は毎月10日着にいたします。新米は10月中にはお届けで来ますが、稲刈りが始まらなければ分からないところがあります。できるだけ10日にお送りできるよういたします。 11、申し込みの取り消し;いつでも自由に行えます。   土・いのち・循環の下に       菅野農園     2011,9 この記事へのコメントはこちら
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