今月の10日、長井市西根地区の公民館で、「菜の花の村・未来づくりの会」の新年会がおこなわれた。
菜の花を楽しみ、その実であるナタネを搾って油をとり、使った後の廃食油を精製して車を走らせる。そんな目的をもった20名の老若男女が集まって会を結成したのは昨年の9月初旬のことだ。
2.6ヘクタールの畑に種をまき、生育状態を見守りつつ始めての新年をむかえた
2、6ヘクタールという面積は決して小さくはない。昨年、ナタネ油用の栽培面積が山形県全体で5ヘクタール弱しかなかったことを考えれば、お分かりいただけるだろう。初めての年としてはいいスタートがきれたと思う。菜の花の成育も順調だ。みんなの気分はいい。
「春になって花が咲いたらきれいだろうね。」「花畑のまん中にゴザを敷いて酒宴というのはどうだろうか。」鍋をつつきながら、話題はとっくに5月にとんでいる。
そんなとき「これから先の菜の花の栽培だけど・・・」と言葉を選びながら話しだしたのは、会の世話役の敏夫さんだった。
菜の花の栽培は転作作物として補助金の対象にはなっていない。そのため収入はナタネの販売利益だけだが、粗収入はうまくいって10アールあたり6万円ぐらいしか見込めず採算があわない。この現実の中でこれから先どうすすめるか。敏夫さんの話はこういうことだった。
栽培面積がふえている滋賀県などでは県や町の補助金をあてて小麦などと同じ10アールあたり10万円になるように不足分を補っているという。
しかし山形県にはその仕組みがない。いくら菜の花畑がきれいで、ナタネ油が安全でおいしくてもそれだけでは栽培は広がらない。その話を聞きながら「理と利の調和」ということを考えていた。
私は地域づくりには理念と利益のほどよい調和が大切だと思っている。このことは25.6年ほど前の減反拒否の手痛い失敗から学んだものだ。
理念の正しさだけでは仲間は増えず、地域を変える力にはなれない。理念の示すところには同時に利益があるということが、運動のダイナミズムを獲得するうえでは大事だ。これがなければ事業は広がりにくいし、継続しづらいだろう。
生活している立場にたてば、このことはしごく当たり前のことなのだが、その渦中にいると時には見えにくくなることがある。
ささやかな利益でいい。なるべくならそれを自力で確保したい。簡単なことではないことは分かっている。その難しさが「未来づくり」の醍醐味でもあると思えるのだが、現実には敏夫さんの話をどう受けとめたらいいのか。
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