Farm to table ファームトゥテーブル

山形市内の落合、バイパスにもほど近い場所にある南蛮畑。いつもは車で通り過ぎてしまいがちですが、一面に緑が広がり、ほっとできる場所になっています。一口に南蛮といっても品種はいろいろあって、以前は中辛タイプを作っていたそうですが、「もっと辛いのを!」という東京市場の要望に応えて、一番辛いタイプを栽培しているとか。取材中、お茶請けに出してくださったのは、南蛮っ葉の煮物。ほどよく辛くて、ビールが欲しくなりました(笑)

by Kaori Asakura
4月になると、桃畑には淡いピンク色の花が咲き始めます。桃の原産地は中国の黄河や揚子江の流域といわれ、故事によると「桃源郷」はすなわち「理想郷」のこと。春雨の中、うっすらと霧がかった光景は幻想的で、おとぎ話の世界に紛れ込んだかのようです。

温暖な気候を好む桃は、
山形が日本北限の生産地です。
日中の暑さと朝夜の涼しさで甘さが綴じ込められて、
むっちり丸い果実に育ちます。
阿部さんが作る、安心安全は当たり前の自慢のもも「いけだ」。

甘さがあって多汁。見た目はあまりいいとは言えませんが、肉質がしまっており、収穫してから2、3日後が最高です。その反面表面にひびが入りやすく作り方は難しいですが、あのはじめて食べた時の美味しさを消費者のみなさんにも味わってほしいです。
・「いけだ」は紫紅に色づく特徴がある。

<出荷の流れ>
阿部さんの畑→直販→JA→横浜の金港青果市場→消費者のみなさん
※出回るのは7月下旬〜9月末まで。表面の色の赤い部分が濃く、全体に産毛が密生しているものを選びましょう。

>>> もも農家 阿部一男さん

>>> 阿部さんの安全栽培にかける熱き思い

山形の風物詩<芋煮鍋>には欠かせない名脇役といえば、
甘みと辛味が調和する長ネギ。
これがなくては味のしまりがでませんからね。
「葉っぱの部分はカロチン(ビタミンA効果)などの栄養価が高いので、細かく刻んで炒め物にしたり、残さず食べてほしいです。この地域で作る芋煮は、煮込むほかに食べる時にも刻みネギをぱっと乗せて食べます。風味がきいておいしいですよ」。加藤さんの長ネギは直売所の「あぐり」でも販売されています。

なすとはながーいお付き合い


なすは原産がインドの熱帯性植物だけに、高温多湿を好み、熱帯夜が続く山形は好適地。家庭菜園で露地栽培を楽しんでいる人も多いですね。とはいえ「規格にあった商品を、安定した量で市場に出す」となると、そう簡単にはいきません。なすに関しては約20年のキャリアを持つベテランの井澤さんですが、「品種が変われば栽培方法も変わる。最近も高知まで視察に行ってきて勉強してきたところですよ」。
山形は共稼ぎの家庭が多いので、郷土料理を知っているお母さんが少なくなっているのではないか、という発想が「おらほの郷土料理」という冊子をまとめるきっかけでした。
発行後、たくさんの問い合わせがあって、もう在庫がない状態なんですよ。子供を育てる立場としても、「地元の食」に対する関心は高まっていると感じています。
食事は毎日行うものですから、安全、安心は基本。その意味でも「地産地消」は意識しています。大型スーパーは1年中同じ品揃えで便利ですが、旬を感じにくい面もありますね。直売所は鮮度がいいし、生産者の名前が入っているので安心感も得られます。
エコファーマーという制度がありますが、その方々が育てた作物がどこで買えるのかを知りたいです。マークなどを作って表示してもらえたら、商品を選ぶ時の参考になるのではないでしょうか。

山形県山形市立第八中学校PTA母親委員会の
志田教諭と大山前母親委員長


大豆は枝豆が成熟したもの。「畑のお肉」とはよく言ったもので、
まるまるとした粒の中に、良質のたんぱく質がたっぷり含まれています。
なす農家の笹沼さんは、前向きの発想を常に持ち続けているそうです。例えば、新たな害虫が出た場合、「虫でた!どうしよう」ではなく「このやろ次なにくんのやー」という思いで、楽しみながらも前向きにそういったアクシデントとも向き合っていました。自分もへこんだりせず、「そうきたか、じゃおれはこれでいくぞー」というような前向きの発想で、日々楽しみたいと思いました。 by takahashi
暑さに強く、収量も多い西洋種が盛んに栽培されるようになるにつれ、栽培に手がかかるため、徐々に作られなくなってしまった東洋種。
「あの赤い根をした、甘いほうれん草の味が忘れられない」と、懐かしむ声がささやかれるのが山形赤根です。
日本でも数少ない生産者の一人となった柴田さん。父の代から作り始めて約80年、種を採って、植えてを繰り返してきたそう。「以前は部会もあったんだけど、30年位前かな、長雨で畑に水がたまって、ほとんどが根腐れをおこしてしまった。あの時期、もういいやって止めてしまった人がたくさんいました」。
「甘味が高く、アクがないので、生のサラダにしても食べられます。さっと茹でておひたしにしたら、醤油の他に、ゴマあえ、ピーナツあえ、白あえにしたり、玉子とじの汁物、常夜鍋(ほうれん草やと豚肉の鍋)などにも合いますね」。
こだま工房代表 
生産者   小玉雄一 
スタッフ  奥様
事業内容  青菜の栽培・加工 その他/梅干し 麹みそ
連絡先    村山市大字大久保甲95 0237-54-2034
加工所    0237-54-3906

・青菜のおいしさは、葉っぱよりも茎でしょうね。
・在来種の青菜を植えています。間引きをしながら、虫も手で取っていくようにしています。
・おみ漬けは、天童市内の旅館にも卸しています。
「時間が経ってべっこう色に変わったら、山形では油炒めにしたり、打ち豆と一緒に煮込む「くきな煮」などにします。庄内では、味噌を塗ったおにぎりを青菜漬で巻いて焼く「弁慶めし」などもありますね。おみ漬は、納豆やチャーハンなどに入れてもおいしいですよ」
○発生する主な病害虫
・アオムシ

○病害虫に使用する農薬
・アファーム乳剤

○農薬使用で心掛けていること
根こぶ病に注意して、連作はせず、スイカとの輪作で作っています。
 アオムシも場合によっては、手で取りのぞくようにしています。
おばあちゃんたちから教わった、伝統的な作り方です。

もともと自家用に作っていた漬物を、30年ほど前から商品化するようになりました。うちのは1株4kgになるのもあるんで、桶漬けにして販売してます。これだとべっこう色になってもおいしいんです。添加物は入れずに塩の力でまろみを出し、自家製の調味料で漬け込みます。茎の肉が厚くやわらかいので、シャキシャキ、バリバリ、 歯触りがいいですよ。

60cm以上にもなる大きな葉、一株1kgのビッグサイズにもなる青菜。
丸ごと漬けた青菜漬は山形の食文化を担う漬物になりました。
苦みの原因になるストレスを与えないようにしています。

種蒔きは、早いと虫が付いて病気になりやすいので、9月10日から20日と遅蒔きしています。青菜はストレスを感じると亜硝酸が溜まって苦くなるんですよ。1株1株の間隔をゆったりとって丁寧に間引きする、肥料もあまり加えない、というのが私の作り方です。

<出荷の流れ>
小玉さんの畑 → 加工所 → 直販&直売所・道の駅
※「むらやま」など漬物が出回るのは11月20日頃から。生で買う場合は、茎の肉が厚くて大きい株のものを選びましょう。
小玉さんがかつて東京市場に勤める方から言われたことで忘れられないのが、「おいしいものを知らないと、おいしいものは作れない」という言葉だったそうです。世間から高く評価されるものは、それなりの理由がある。漬物も井の中の蛙ではダメで、自己満足ではなく、とにかく周囲の意見を聞きながら作ってきたそうです。

by Kaori Asakura
JAさがえ西村山 大江梨部部長
生産者   大泉太吉さん
スタッフ  奥様
事業内容  西洋梨の栽培 その他/りんご、なす、米
連絡先    JAさがえ西村山 大江営農生活センター 0237-62-3217 
・光がまんべんなく行き渡るよう、どう剪定するかがポイントです。
・剪定方法は何通りもあるため、自分にあった方法を確立するまでは苦労しました。
・現在の生産者は155名。大江町は県内第5位の生産量を誇ります。
○発生する主な病害虫
・輪紋病・ハダニ類・シンクイムシ類・カメムシ類

○病害虫に使用する農薬
・ドキリン水和剤80・タイタロンフロアブル・ダーズバン水和剤25・MR.ジョーカー水和剤

○農薬使用で心掛けていること
生協との交流を始めたので、除草剤の使用は一切禁止しています。最低でも年間5回の草刈りが必要で、労力面で大変ですが、安全面での信頼を大切にしたいと思っています。
どんな枝振りにするか、経験と感覚で決まります。

剪定による枝の残し方には「主幹形」と「開心形」があって、うちは「開心形」です。いい樹になるまで5〜7年かかるのですが、果実の肥大がいいんですよ。また6年前から、部会全員で土づくりに取り組み、カニ殻とカキ殻を入れた土壌改良材を使って、食味が良い果実を生産する工夫をしています。

本国フランスでは栽培するのが難しく絶滅してしまった ラ・フランス。
いま世界を代表する生産地が山形なのです。

果肉が緻密で香り高き果実の女王、大江の『ラ・フランス』です。

肩の部分が少しやわらかくなった頃が食べ頃です。
冷やしても常温でも、菓子などに加工しても楽しめる西洋梨。うちで栽培しているのは、糖度が16度以上で450gにもなる大玉のバラードと野生味ある肉質のシルバーベル、果肉が緻密でまろやかなラ・フランス。カリッと固めを好む人、柔らか目が好きな人と、食べ方の好みは分かれるようですが、やはり皮を剥いて汁がぽたぽた流れる頃に食べるラ・フランスが一番好きです。

<出荷の流れ>
大泉さんの畑 → JA → 県内のスーパー・生活クラブ生協&関東・関西の市場
※出回るのはバラードが10月上旬〜、ラ・フランスが10月下旬〜、シルバーベルが11月中旬〜12月下旬。
「開心形」で育てた実は、たしかに大ききかったです。片手で持ちあげると、ずっしり重い。甘さばかり追求すると酸味が減るので、味のバランスを考えながら作っているそうです。

by Kaori Asakura

まるまると肥え、ゴロン、ゴロンと畑に鎮座する、
夏の味覚といえば「尾花沢スイカ」。
日本一と称され続ける理由は、
みずみずしい歯触り、そして糖度11度以上の甘さにあり。
安達さんが作る、夏の風物詩、シャリ感がたまらないスイカ「祭ばやしスリーセブン」。

空洞が少なく、実がしっかりかたいから歯触りが良い。それでいて糖度は2割増し。大玉に育てるため、1株から2〜3個しか採りません。露地ものですから、梅雨の時期の交配など、気候の変化をみながら工夫をしています。

<出荷の流れ>
安達さんの畑→JA→関東、仙台などの市場→大石田町内
※出回るのは7月中旬〜お盆過ぎまで。「祭ばやし777」は、皮の縁が濃く、果肉も鮮明です。

>>> スイカ農家 安達但男さん

>>> 安達さんの安全栽培にかける熱き思い
3月になると土作り、そして苗の定植がスタート。通常は40cmの間隔で植えるそうですが、菊池さんのやり方は80cm間隔。ハウスの広さに対して、これでは収穫量が少ないのでは?
「いやいや、これは<主枝更新3本仕立て>という特別な仕立て方で、こっちの方が根っこがよく張るから、今まで以上に実がなるんだよ」。
苗を植えたばかりの4月下旬は、トマトの生長に合わせて土を温める時期。ハウスは赤ちゃんの保育室と同じ状態です。「トマトのことが気になるから外泊もしない」。十分に養分を蓄えられるよう、温度管理に細心の注意をはらわなけばならないのです。いつしか風、雨など天気によるわずかな変化を身体で感じるようになり、ハウスの中のにおいでトマトの状態も分かるようになったとか。
生産者  工藤高男
スタッフ 奥様
事業内容 ももとさくらんぼの栽培
所在地  東根市
連絡先  東根市農業協同組合 東根支所
     東根市大字東根甲1390-1 0237-43-1121(代)
自 宅  東根市大字東根甲2116 0237-43-2010
生産者  森谷栄助
スタッフ 奥様、他
事業内容 いちごの栽培
所在地  東根市
連絡先  東根市神町中央1-8-1
     JA神町 0237-48-1504
自宅   0237-47-2056