Farm to table
トマト倶楽部で栽培している品種は『桃太郎ファイト』。水は磐梯朝日国立公園や、蛍が生息している澄んだ沢から引いています。菊池さんの水やりは、点滴チューブという特殊なチューブを使い、肥料とあわせて一定の間隔で、必要な分だけを少しずつ
与える方法。「人間の健康の秘訣と同じで、腹八分目がいいんだよ」。 また、大敵である灰カビ病を予防するために専用のファンを回して風をあてたり、虫にとって真っ黒に見えるという紫外線をカットするフィルムをハウス内に張るなど、設備面の工夫も特徴的です。「こうすることで、防除剤の使用を減らすことができるからね」綿密な栄養管理と環境の中で育ったトマトたち。果肉が厚く、フルーティな香りと甘さが広がります。 |
すいか生産部会部会長の大山弘一郎さんは、16歳からこの仕事を始め、今年でキャリア55年になる大ベテランです。現在栽培しているのは富士光TR。
20年近く作られてきた富士光をバージョンアップしたもので、寒さに強く、「形もいいし、味はさっぱりしてザブッとした食べ応え」と大山さん。かぶりついた時にみずみずしいさが口いっぱいに広がるそう。 3月の下旬になると、いよいよ土づくりの開始です。炭の粉を融雪剤としてまいて雪をとかし、4月には雨から守るビニールトンネルを設置して、土を温めます。畑を歩くと、足が沈むほどやわらか。「良質の堆肥を混ぜてあるから、大きくて、甘い果肉になるんだよ」。長年の積み重ねによって作り出された、大山さん流の土だそうです。 |
スイカの大敵がカビの一種であるつる枯病です。梅雨の時期以降から収穫期直前まで発生する可能性があり、一度発病したら止めることは出来ません。
つる枯病の原因は高温多湿。尾花沢は冬の間に1m50cmも雪が積もる地域ですから、はじめは土を適度に温め、7月になれば通気をよくしておくことが必要に。大山さんはトンネルの開け閉めと、年間通して消毒、防除剤で対策を図っています。 「ただ、この辺りは夏でも半袖でいられないほど、冷たい風が吹くんですよ。そのおかげで病気の発生が少ないんです。結果的に防除剤の使用も少なくて済みますね」。最適な気候条件と技術がぴったり合うことで、見事な味が生まれるんですね。 |
ハウス栽培の場合は、4月中旬から11月初旬までと収穫期が長く、収穫後は株を抜いて畑を平らに戻し、冬の間にもみ殻入りの堆肥作り。種まき後は、成育中病気にならないよう接ぎ木をします。「ハウスの環境は温度管理も難しい。あまり温かいと苗がモヤシにようになってしまうんです。子どもと同じ。甘やかしすぎてもダメですね(笑)」。
そして、1月中旬には着果させるためのホルモン処理がスタート。開花に合わせ、霧吹きでホルモン剤をかけていきます。「1本の株につき20数花ずつ行います」。と聞けば簡単そうですが、約300坪の広さのハウスにある花の数は何万花。光がまんべんなく当たるよう、余分な葉を取りながらと、もっとも手間がかかるのがこ の作業です。 |
(C) Stepup Communications Co.,LTD.
おなじみの「桃太郎シリーズ」から、
さらにバージョンアップしたのがこの品種。
丈夫でしかも、糖度も高い。通常3〜4度に対して、
7度前後と、まるで果物のようなトマトです。