Farm to table
4月になると、桃畑には淡いピンク色の花が咲き始めます。桃の原産地は中国の黄河や揚子江の流域といわれ、故事によると「桃源郷」はすなわち「理想郷」のこと。春雨の中、うっすらと霧がかった光景は幻想的で、おとぎ話の世界に紛れ込んだかのようです。
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日本の栽培方法は棚づくりです。外国では、ほとんどが垣根づくりですが、湿気を嫌うぶどうの性質に合わせて生み出された独自の方法といわれているとか。 6月下旬から出荷されるハウスものは栽培の準備も早く、毎年2月下旬からスタート。 最も積雪量が多い時期にぶどう棚の雪下ろしとハウスのビニールのはりかえをしなければなりません。「これが1年で最初の大仕事ですね」。そして3月中旬には芽が出始めます。副芽と言われる余分な芽を摘み取る作業が4月まで続き、最初のジベ処理(ジベレリン処理)が行われます。「ジベレリンという植物ホルモンをぶどうの房に浸すことで、植物ホルモンの作用により1つ1つの粒の種をなくすことができるんですよ」。たしかにデラウェアは種なしぶどうとも呼ばれています。果実なのに種がない・・・。不思議に思っていた人もいたのでは?
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お話をうかがったのは、5月の受粉期。さくらんぼは自分の花粉では実を着けないので、人工受粉をしなければなりません。川口さんは約5万匹のミツバチを放して受粉させています。ハチたちが木から木へ、せっせと花粉を集めまわることで受粉する訳です。足りない部分は、川口さんが毛バタキがついた花粉交配機で、花をそっとなでるようにしながら補っていきます。「たまにだけど、刺されたり、耳や鼻の穴に入ってくる時もあるね(笑)」。その後は、多くなりすぎた実を間引きする摘果、雨から守るためのビニールがけ、ルビーのように輝く実にするために反射シートを敷いて、日陰ができないようこまめに摘葉します。たっぷりと太陽の光を受けることで、糖度は18度以上になり、25度までアップしたこともあるそう。「この辺りの土壌は赤土だし、雨量が少なくて寒暖の差がある内陸性気候。蔵王連峰のおかげもあって、糖度が勝負の佐藤錦を育てるにはぴったりなんだ」
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