玉庭から米沢市の万世と、まるで反対方向に同じ年に建立された草木供養塔がある。
米沢市内から国道13号線を栗子峠方面へ向かうと、右側に刈安集落が見えてくる。
この地は、昔の万世大路に繋がる交通の要所ではなかったかと想像できる。集落の米沢側のこんもりとした山があり、この頂上に山神が祀られている神社がある。
山の向こう側が米沢方面になる。
向かって右側の下が国道13号線で、ひっきりなしに車が通る音がしている。
逆側の向かって左側は、新しいルートの道路が建設中で、工事と工事車両の音が絶え間なく聞こえてくる。
その真ん中にあって、この場所は、まるで砦のように残っているのではないかという気がしてきた。
草木供養塔は、まさに神社の入り口、鳥居の足元のところにまったく目立たないで建っている。
1m足らずの自然石は、やや地面に埋もれがちで、草木供養塔の塔の字が見えにくい状態になっている。
草の上に「バン」という梵字が彫られているのが見える。
建立日などは肉眼で確認できない。
資料によると、弘化2年(1845年)八月八日、建立者は東原寺とあるらしい。
字体は玉庭の矢の沢のものとは違って、平易な書体のようだ。
草木供養塔の隣には、2倍もあるはるかに立派な湯殿山の塔があり、この左手には、「月山、湯殿山、羽黒山」と刻まれた珍しい石塔もある。
鳥居をくぐってこの山を直登する石段が、急角度で苔が雨で滑る状態におびえながら頂上の神社まで行った。
巨大な岩がご神体になっているようだ。
この場所は、この集落の人々の手によって、とてもきれいに手入れされている。
鎮守の森というか、何かを守ってくれる特別な場所のような感じがした。
はたして、もともとこの場所にあったものはよくわからないのだけれど、この地にあっても不思議ではないような気持になっている。
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