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変貌するビジネスシステム

 加護野忠男氏(神戸大学教授)の「変貌するビジネスシステム」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。事業(ビジネス)システムとは、顧客に価値を届けるために必要な諸活動を統括する能力と仕組みであり、取引先との連携関係、社内の分業体制、情報システム、資金の循環システム、人事制度、ロジスティックスなどを言う。

 商品の競争は華々しい成功が得られるが、模倣が可能であり競争優位の持続時間が短い。一方、事業システムの競争は目立たない勝利だが、模倣が難しく競争優位の持続時間が長いと言う特徴がある。

 具体的な事業システムとしては、一つ目は、灘の酒蔵の制度があり、丹波杜氏としてコア技術をアウトソーシングし、蔵元は製造設備とブランドしか持たない方法がある。二つ目は、京都の革新性があり、麦踏としてサポートするのでなく鍛える、違う商品を扱う棲み分けから、室町産業や村田製作所が生まれた。

 実践共同体における技術の伝承は、7~8人程度の小さな集団で行うのが良い。集団間の競争、集団内の競争と学習、教え合いには価値があり、雑用にも価値がある。

 伝統的な古典の勉強には価値がある。その理由は、一つは古い事業システムには強靭さがあり、直接対話ができることである。二つは社会・経済の中には分かってないことが多く、先人たちの合理性を学ぶことができることである。三つはビジネスの創造的借用(例えばナショナル・ショップなど)ができる。
2005.04.26:dai:コメント(0):[学習]

組織の活性化は中小企業の人材育成に学べ

 川喜多 喬(法政大学キャリアデザイン学部教授)の「組織の活性化は中小企業の人材育成に学べ」と言う講演を聴きました。

 キャリアデザイン学会を立ち上げた先生の講演であり、興味深く受講させて頂きました。キャリアデザインとは、個人が社会生活の中で経験する仕事、余暇、学習、地域コミュニティなどについて、レベルアップ(キャリア発達)を図るためのスキルアップ、能力開発、支援などを考えることである。

 個人のキャリア開発支援をすることは、組織としての活性化と成長・発展にも大いに通じる。企業にとって個人のキャリア形成に組して得することは、①企業の成長は個人の成長が基本であること、②個人の成長は意欲の再生産を促すこと、③企業への新しい忠誠心の拠りどころとなることにある。

 大企業には元々頭の良い人が多く、中小企業にこそ学ぶべきことが多い。功成り名を挙げた人の話は、「周りの皆さんに励まされて、一生懸命頑張ってきた。」と言う話を聴くことが多い。「皆が学ぶ風土作り」こそ人材育成の基本である。

 身の丈に合わせた人材育成が大切である。人材育成ノウハウは企業秘密であり、他社からは容易に窺い知れないようにすること、即ち人材育成ノウハウをブラックボックス化すべきである。人材育成は将に企業競争力の源泉である。

 人材育成は、長所を誉めることで能力向上することが多い。その点、人事考課面接は、欠点を指摘することが多く、ほとんどの会社でゲームになっている。

 心構えや態度を教える「躾」教育も大切である。礼儀についてもしっかり教えることが大事である。人材育成の要諦は、職場々々で先輩の動きに学ぶことである。
2004.11.26:dai:コメント(0):[学習]

これからどうなる年金問題

 「これからどうなる年金問題」~分かりにくい年金問題を従業員に説明できるようになろう~講師 森谷順二(社会保険労務士・年金コンサルタント)の話を聞いてきました。

 年金は、最近ニュースで盛んに取り上げられているように、ライフ(キャリア)プランを考える上で重要なアイテムになってきている。特に、中高年のライフタイムを考える上で大切であり、ライフプラン研修に盛り込んで行くべきと感じた。

 今回の主な年金改正
○厚生年金保険料率(H16年10月)…現在13.58%の保険料を毎年0.354%ずつ引き上げ、H29年9月以降18.30%に。

○国民年金の保険料額(H17年4月)…現在月額13,300円の保険料を毎年280円ずつ上げて、H29年4月以降は16,900円に。

○マクロ経済スライド(H16年10月)…被保険者数の減少や平均余命の伸び率等を勘案し、物価上昇率から0.9%差し引いた数が上昇率となる。

○60歳~64歳の在職老齢年金の一律2割カットが廃止(H17年4月)

○離婚時の厚生年金の分割(H19年4月)

○第3号被保険者の特例届出(H17年4月)…未届出期間について、特例で届出することができ、保険料納付済み期間とする。

○定額部分の被保険者期間の上限を480月に(H17年4月)…定額部分の444月の上限が、生年月日により段階的に上がり、昭和21年4月2日生から480月に変わる。

○70歳以降も在職カット(H19年4月)…老齢厚生年金は、在職老齢年金となり支給停止の対象。

○年金見込み額は55歳以上なら社会保険事務所で教えてもらえる。(H16年1月)

○58歳の人に対して年金加入記録の送付サービスが始まった。(H16年3月)

○短時間労働者(週20時間以上30時間未満)の厚生年金加入は今回見送られた。

○保険料を払わなくとも良い第3号被保険者制度の見直しが今後の検討課題。

○基礎年金国庫負担の引上げ(1/3→1/2)によって、消費税導入が検討課題に。
2004.06.26:dai:コメント(1):[学習]