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「あがる」心理

「あがる」というのは、通常の意識状態と異なる意識の状態である。
だから、思いがけない失敗をしたり、平素の力が出なかったりする。
そこで、「あがる」のを防ごうということになるのだが、はたして、あがらないことはいいことなのだろうか。

そもそも舞台に立ったり、講演するということ自体「普通」でないことをしている。
それを観る観客、聴く聴衆にしても「普通」ではないのではなかろうか。
「あがる」とはその表現どおり、意識が高揚し、普通でない状態になっているのだ。

「あがる」からこそ、名演技や名演奏ができたりする。そして観客も感動する。
「あがりすぎないあがり方」、あるいは、どんなに「あがる」ことがあっても失敗しない人、それができる人がプロではなかろうか。
どれほどあがっても失敗しない、というのは十分な練習によって支えられている。

(ココロの止まり木より)
2006.10.26:反田快舟:コメント(0):[自分を見つめる]

「機会均等と絶対平等」

日本人は個人の能力差を認めない「絶対平等主義」をもっている。しかし、現実をみると、人間には能力差があることは厳然たる事実である。私はいくら努力してもプロ野球の選手になれなかっただろう。
山形県鶴岡市にある藩校「致道館」によると、昔は盛んに「飛び級」が行われていたそうである。荻生徂徠の考えに従って「天性の大なる者は大成し、小なるものは小成」すると考え、個々人の天性を見抜いて指導していた。戦前にも、ある程度の「飛び級」はあったが終戦後、日本人が縛られていた「身分差」をなくそうと極端な絶対平等観を持つに至った。欧米人の考える平等は「機会の平等」であるが、個人差つまり能力差の存在を明確に認めている。かといってアメリカ的な弱肉強食では感心しない。日本人は、天の配剤としての「天性」を認めて、それが偉いとか得するとかではなく、その人の「天性」の実現として努力すると考えるのがよいのではないか。それは、個であって全体につながっている。

(「縦糸横糸」より)

2006.10.26:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

経営道ということ

人の性格、人生行路、日常生活そのものを決定するのは当人の考え方である。どのような人生観、仕事観、事業観を持つかによって、その人の一生も、事業も決定されるといってよい。われわれ経営にたずさわっているものが知っていなければならない基本が二つある。一つは経営の仕方、すなわち手段である。もう一つは経営のルールであり、教えであり、意図する目的である。これを道という。

目的のためには手段を選ばぬというが、これは長続きしない。試合といい勝負といい、戦いには公平なルールがある。卑怯なやり方をせず、フェアプレイで力を争うのである。商人には商人道があり、経営者には、経営者として同業者、仕入先、得意先、銀行、従業員、公共社会に対して責任と義務があるのだ。

己一人の立場を考えての行動は許されない。商売というテクニックには駆け引きや色々な技術がある。

しかし、それより先に、事業を経営するものとして、商いに打ち込むための行動の基本となる理念がなくてはならない。約束をたがえぬということが武士道の基本であったのと同じく、経営者にとっても、それは信用の基礎である。

つくる人も売る人も使う人も皆が利益を得るようにもっていかなければ恒久的な繁栄はありえない。術とは人間性や道徳を超越したものであるが、道には人間性があり哲学がある。

事業経営は、企業の永遠の発展を期するためのものでなければならない。それがためにも、正しい利益の追求をしなければならない。

罪悪意識のあるやり方では真の発展は遂げられない。たとえ巨富を築くとも虚業家といわれ、蜃気楼的な繁栄にしか過ぎない。事業活動について正しい知識がないからである。経営道を知らないからである。

人の値打ちは、金と時間の使い方で決まるといわれる。経済力だけがすべてではない。また経済力が優れていれば何をやってもよいというものでもない。経営者には、社会に対して責任と義務があるのだ。
2006.10.25:反田快舟:コメント(0):[経営箴言]

中小企業企業の本質を知ろう

 日本の法人企業は約300万社あります。その内、株式公開企業は東証一部上場1600社、東証二部上場600社、ジャスダック1000社、東証マザーズ100社、大証ヘラクレス100社、合計3400社。その他に地方単独上場企業も含めて約3600社に過ぎません。(全企業数の0.12%)。未上場でも資本金1億円以上のいわゆる商法上の大企業を除いても、99%は中小企業なのです。これ以外に、個人事業主(自営業)があります。

 これからは「中小企業の時代」といわれています。大企業は立地最適を求めて、国内外の移転を繰り返すのが歴史です。真に「その地の利益」は考えてはくれません。地域の活性化のためには、どうしても「中小企業」と「自営業者」が活力を持たねばならないのです。

 私は、中小企業の「経営協力援助」を使命としております。一人でできることは限られています。しかし、一人から始めなければ何もできません。目の前の一人の経営者と社員のために少しでも力になればと考えて活動しています。

 以下は、私たちの先達が残してくれた「経営に対する基本的な考え方」です。日本の将来は中小企業にかかっています。少しでも多くの人が中小企業の本質を知り、中小企業の「経営者」を目指すお手伝いができればと思います。


<中小企業の本質を知ろう>
 企業の良し悪しは、資本金や売上げや従業員数の大小ではない。一つの目的に向かつて、全員のカがいかに結集し集約しているかが判定の基準である。カが結集しているから、どのような経済や産業構造の変化にも速やかに対処できる。全員がアンテナとなって時代が求める商品やサービスについての情報活動を行っているから、新分野への進出や新製品開発についても、手の打ちどころが早く、撤収も時機を逃さない。無限の可能性を信じて行動に移す。希望と目標の焔を点じて全社員の力を結集するのだ。みんなの気持ちを一致させるには少人数の中小企業こそ一番条件に恵まれているのである。中小企業の本質を知ろう。そして、それを伸ばしていくのだ。

<経営理念を明確にする>
日本は、人種も言語も同じ、同質的・均質的社会により経済発展してきた。こうした時代の企業の採用基準は、人柄や学歴であった。しかし、今や日本人が持ってい た優れた特性、誠実さ、几帳面さ、勤勉さなどは失われ、親子の意思疎通ができない家庭、フリーターやニートと呼ばれる人も増加の一途をたどっている。日本社会は急速に異質化しているといえる。企業が人を選ぶ社会から、人が企業を選ぶ社会に転換したのだ。今こそ経営理念や目的を明確にし、志を同じくする社員の集団をつくり上げることが重要である。



<経営理念>
“何のために経営するのか” 経営者の心底から発する生き様そのものである。
企業としての目的や使命を明らかにし、働く社員の行動基準を明確にすること。
・利益は社会に貢献するための原資であり、社会的貢献の結果が利益である
・社員は最も信頼しあえる頼もしいパートナーである

<経営方針・戦略>
経営理念に基づいて、経営の基本的方向を確立すること。時代の流れを鋭く洞察し、変化の中から事業機会を見つけ出し、自社の長所、 短所を見極め、長所を生かし、短所を改善し、未来を切り拓く目標とそれを達成するための戦略を明らかにすること。

<経営計画>
設定された目標と戦略に基づき、それを達成するための手段、方策、手順を具体的に策定すること。

<自立した企業とは>
(1) 事業内容そのものが社会的に有用である
(2) 経営理念、経営方針が明確である
(3) 地域社会に貢献している
(4) 元請などに頼らない独自の商品、自主価格決定権をもつ
(5) 経済環境や政策に左右されにくい
(6) 社員を最も信頼できるパートナーとしている
(7) 利益を上げている

<自立した個人とは>
(1) 相手の立場に立てる人
(2) 相手の喜びを自らの喜びとする人
(3) 自ら学び考える人
(4) 能動的・積極的な人

<強調的競争主義>
競争至上主義は多くの敗者を生み、人間としての尊厳を喪失させ、時には生きる権利さえ奪ってしまう。人々の心からは安寧が失われ、絶望は独りよがりや利那的な行動を芽生えさせ社会の連帯は失われていく。競争至上主義ではなく協調的競争主義 の確立が必要である。(赤石義男 人を活かす経営より)
2006.10.23:反田快舟:コメント(0):[起業のすすめ]

経営者の問題とすべきものは何か

先行きの読みにくい現代において短期、長期の見通しに立って、打つべき手は複雑にして難しい。

これに対処するやり方として、ピーター・F・ドラッカーの発想法を借りると面白い。

①第一になすべきこと
 現在の資源と人員を用いて、できる限り最高の経営成果を上げること。ないものねだりをしていても、解決にはならない。まず行動。それも現状において最大限の努力をせよというわけである。

②必要なもの
・このときに当り、経営者の職務は何かをもう一度考えてみる。
 ・そして、その内でも何が一番大切かを考えてみる。
 ・直面する問題を見極め、分析する原理はないかを研究する。

③知るべき事柄
 ・企業のもつ資源(ひと、もの、かね、時間、環境)と努力を、経済的に意味のある成果を生み出す機会をつくる方向に向けさせる。
 ・能率性ではなく、効力度、価値領域を見極める方法で考え、それに向いての努力を集中するやり方は何かを見定める。
 ・企業は自然現象ではなく、社会現象であることを認識する。社会現象では、事柄が正規分布を示さず必ず異変がある。

④企業のあるべき姿
 ・適正な収益を確保しているか。
 ・労使関係は安定しているといえるか。
  社員が結束して、どのような困難な問題にも立ち向かう活力に満ちているか。
 ・新製品開発や研究開発の力は十分か。
 ・会社の成長力、競争力に自信があるか。
 ・組織の力と企業内のパイオニア精神に不足はないか。

 改めてわが社を取り巻く内外の環境変化を見定め、問題にすべきものとは何かと、このチェックリストにしたがって考えてみよう。
2006.10.23:反田快舟:コメント(0):[経営箴言]