経営道ということ

人の性格、人生行路、日常生活そのものを決定するのは当人の考え方である。どのような人生観、仕事観、事業観を持つかによって、その人の一生も、事業も決定されるといってよい。われわれ経営にたずさわっているものが知っていなければならない基本が二つある。一つは経営の仕方、すなわち手段である。もう一つは経営のルールであり、教えであり、意図する目的である。これを道という。

目的のためには手段を選ばぬというが、これは長続きしない。試合といい勝負といい、戦いには公平なルールがある。卑怯なやり方をせず、フェアプレイで力を争うのである。商人には商人道があり、経営者には、経営者として同業者、仕入先、得意先、銀行、従業員、公共社会に対して責任と義務があるのだ。

己一人の立場を考えての行動は許されない。商売というテクニックには駆け引きや色々な技術がある。

しかし、それより先に、事業を経営するものとして、商いに打ち込むための行動の基本となる理念がなくてはならない。約束をたがえぬということが武士道の基本であったのと同じく、経営者にとっても、それは信用の基礎である。

つくる人も売る人も使う人も皆が利益を得るようにもっていかなければ恒久的な繁栄はありえない。術とは人間性や道徳を超越したものであるが、道には人間性があり哲学がある。

事業経営は、企業の永遠の発展を期するためのものでなければならない。それがためにも、正しい利益の追求をしなければならない。

罪悪意識のあるやり方では真の発展は遂げられない。たとえ巨富を築くとも虚業家といわれ、蜃気楼的な繁栄にしか過ぎない。事業活動について正しい知識がないからである。経営道を知らないからである。

人の値打ちは、金と時間の使い方で決まるといわれる。経済力だけがすべてではない。また経済力が優れていれば何をやってもよいというものでもない。経営者には、社会に対して責任と義務があるのだ。
2006.10.25:反田快舟:[経営箴言]

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