短歌と写真のコラボ展「視線」を締めくくって、穐田英則さんの作品を紹介したい。写真には穐田さんが詠んだ句が添えられているが、展示会終了後に写真家グループに送付されたものを借用したものである。木造駅舎に静かに佇んでいると入って来た列車の窓に、旅の情景や思い出が映し出されているようだ、といった句であろうか。
「木の香る駅の静寂に佇めば 一両列車の窓に旅映る」
待合室に旅人である自分がいて、列車に乗り込もうとする地元の方と思われる婦人の姿を追っている。駅はそれぞれの人生が交差する場所であるともいわれるが、この作品では待合室という場で、「旅人」が見送る立場になっているように思えた。その逆説が、駅あるいは待合室というものの本質を浮きだたせているように思う。今、列車に乗ろうとしている婦人も旅人なのかもしれない。列車の窓に映る旅は、婦人の人生であったのかもしれない。
コラボ展「視線」の振り返りは、今回をもっていったん終了としたい。歌詠みの人の視線と写真家の視線とが時にはシンクロし、画像の奥に歌人の人生や暮らしの重みが落とし込まれる出会いも多くあった。また今回の穐田さんのように、自身で句を添えようとするチャレンジもみられた。
以前、「長井線乗車リポート」や「長井線読切りエッセー」として記事を連載したことがあった。今展の試みをもとに、画像と文字でフラワー長井線の「旅の魅力」を表現することができればうれしいと思う。その小冊子を手に、旅人も地元民もそれぞれの旅を楽しむ、そんな姿が生まれることを期待したい。
最後に泉米会の皆さん、長井ゆきざさ短歌会の皆さん、そして柳華書道会の皆さんのご協力に感謝して、今展の幕とさせていただきます。ありがとうございました。



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