「訪ね来し父母見送る成田駅 白き花ゆれ虫の音すだく」(恭子)
恭子さんの作品である。駅舎に佇めば、父母を見送った時の記憶が蘇る。あの時も白い花が風に揺れ、虫の音も心せわしく鳴いていた。そんな情景が詠まれているように思う。
写真は田舎の単三電池さんの作品。待合室からホーム側を望むアングルは、よくあるように思うのだが、低いアングルでしかもやや斜めの構図が新鮮に感じる。そしてモノクローム撮影によって、あやめ号の花びらが白く浮き上り、列車の前を急ぐ家族の姿が遠い記憶のようにみえてくる。
会場に掲げた本企画の挨拶文には、「言葉(短歌)と画像(写真)は住処が違うものですが、同じ空間に並べることで、言葉と画像の隔たりを超えてゆけるのか・・・・そんな実験的ともいえる内容になっています」とあります。今回紹介した2作品は、短歌の余白を写真が広げ、写真の余白を短歌が深め合っているように思います。
恭子さんの他の作品を紹介しておきたい。
「夕暮れて里より戻る成田駅 灯台のごと佇みておりき」(恭子)
「アルバムに五十年前の成田駅 セピア色してただに懐かし」(恭子)



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